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こどもは教えなくても自分で遊びを創れる

「くい~!」高らかにうたうみーちゃん。 

「くい~!」リビングのソファーになにかを押し付けている。

そろそろお散歩に行こうよ、と私は30分も前からみーちゃんを誘っていた。
1週間保育園に通いつめて疲れきった体を休ませるために、昨日はさんざん家でゆっくりした。
お絵かき、お母さんの部屋の探検。絵本も10回は読んだはず。となれば日曜日の今日は家の中の遊びはネタ切れだ。
きっと今日は散歩に連れてかないと、飽きちゃってぐずって1日もたないわ。だからお散歩連れてきたいんだけどなぁ…。

「くい~!」みーちゃんが近づいてきた。
おや?
手に持ってるのは…
切れて紐になった輪ゴム、もとい紐ゴム。
丸い指先でびよーんと伸び縮みさせている。

とてとて。
今度は私の膝までやってきて、
ぽすんと座った。
何をするのかな、と思ってみていたら。
私の人差し指に紐ゴムを、そろそろと回しかけたのだった。
「くい~」

その繊細な指使い。まるで科学者が実験しているみたい。
"これをこうしたらどうなるのかしら?"

「頑張って遊びを提供しなきゃ」と、肩肘張らなくてもいいのかもしれないな。その様子をみて私は思った。
みーちゃんは自分で遊びを創っている。 
好奇心の赴くまま、床に落ちてたゴムの切れ端でだって遊べるんだから。
今日は遠くの広い公園に行こうかと思ったけど、やめよう。必要ない。
気のすむまでみーちゃんがやりたいように遊べばいい。
私はそれを側で見届けよう。
みーちゃんが安心して遊べるように。

こどもは大人が思うよりたくましいのかもしれない。