ありがとう、ひめたん。『ありがとう、わたし』を読んで。
乃木坂46の1期生である、『ひめたん』こと中元日芽香ちゃん。
今は心理カウンセラーのお仕事をしている、彼女の著書
『ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』を読みました。
ひめたんは、きょるんとした目、八重歯のちょっと見えた笑顔、ツインテール、笑顔が本当にかわいくて、ピンクの似合う女の子。そんな印象でした。
中学3年生の時に、乃木坂46の1期生として芸能活動をスタートさせた彼女が徐々に体調を崩していき、適応障害と診断され活動休止を経て、グループ卒業、そして現在の仕事に就き、新しい人生をスタートさせたことが書いているこちらの本。
アイドル、それだけでも厳しい世界なのに、
AKB48の公式ライバルとして生まれた乃木坂46は、きっと今の人気からは考えられないような辛いことが多かったと思います。
比べて、乃木坂46は妹グループである櫻坂46(元欅坂46)、日向坂46にはない、選抜制という(ファンとしても正直毎回辛い…)かたちをとっています。
選抜制というのは簡単にいうと、シングルを出す際、多くいるメンバーから選抜して歌唱する子たちを決めること。選ばれなかった子は、『アンダー』と呼ばれます。
アンダーの子たちは毎回シングルのカップリング曲で参加します。
これがアンダー楽曲と呼ばれます。
この選抜制が、いかにひめたんを苦しめていたのか。
もちろん、それだけが全ての理由ではないですが、彼女が苦しめられていたのは紛れもない事実で。
ファンとしては選抜も、アンダーも関係ない。
どんなポジションにいたって、好きに変わりはないのですが。
乃木坂46が大好きな私。もちろんひめたんのことも大好きでした。
選抜に選ばれた喜びも、活動休止を発表したときの寂しさも覚えています。
活動休止から戻ってきた後に、卒業発表。
なんだかひめたんが心配。となった時の記憶もあって、彼女が最後に更新したブログも、そんなこと言わなくていいのに・・・上手くファンの期待に応えられなかった自分を責めてしまっているのだろうか・・・
と寂しい気持ちになっていました。
卒業から数年経ち、心理カウンセラーとして新しい人生を歩み始めたとき、新しい綺麗なひめたんのプロフィール写真を見て、元アイドルだから、とかでは全くなく、まるで憑き物が取れたような
『可愛いくて綺麗だな』と生まれ変わったような彼女を見て嬉しくなりました。
そして心理カウンセラーというのも、上手く言えないのですが、勝手に、
なんだかとっても彼女らしいな、と感じたのです。
元々負けず嫌いで、真面目で、知らず知らずにうちに疲れをためて、でもそれを振り返ることもできない忙しさで
過食を繰り返し、自分の頑張りを認められず自分を嫌いになってしまったり、
ある時の友人との会話からぷつんと糸が切れてしまい、涙が止まらなくなってしまい、大事なお仕事に行けなくなってしまったこと。
そんな辛い状況を、彼女の言葉でまとめられていました。
作中に「ひめたん」という誰からも好かれるアイドルの人格を作ってしまった。とありましたが、
彼女自身がやっぱり優しくて、誰も傷つかないようにしているのでしょう。
あらゆる方向に気を使って書いたんだろうな、と思う丁寧な言葉で、配慮された文章ばかりでした。
この本を通して、間接的でも誰かに寄り添えれば、
カウンセリングというものがもっと身近になってくれれば、とありました。
読んでいてふと、10年ぶりくらいに思い出したことがありました。
「辛かった事柄に関する記憶がごっそり抜け落ちることがあるようです。」という部分を読んで。
あ、私も高校生の時、記憶ない時期あったな、と。
高校3年生の、5月の1ヶ月間の記憶が、翌月の6月になかったのです。
原因はいじめ、とまではいかないかもですが男の子からのちょっとした嫌がらせでした。
ほんとちょっとだけの期間ですが、学校に行けたり行けなかったりを繰り返して当時はそれこそカウンセリングを受けたこともあったのですが、母親曰く、自分で頑張って乗り越えていった。のです。
ただ本当に一番辛かった1ヶ月間は、記憶を無くすほどでした。
本当に克服できた、と心から感じたのはその1年半後に短大の先輩に夜な夜な洗いざらいすべてを話して、聞いてもらったことがきっかけでした。
触れたらほんのちょっとの衝撃でも、動けなくなるような経験を消化したくて、自分自身に真正面から向き合いました。
本のなかにも、ひめたんの同じような経験がありました。
トラウマになってしまった乃木坂46を、心から好きと言える自分になりたい。嫌悪感を持ちたくない。と。
辛い思いをしても、どんな自分でもかけがえのない自分だから。
過去もちゃんと背負って、未来を大事にしていく、そんな勇気をこの本からもらえました。
読み終えて、彼女の卒業するときのコンサートの映像を見ました。
同じタイミングで同期の伊藤万理華ちゃんも卒業していたので、最後二人で手をつないで、1期生のみんなに囲まれて涙を流している映像。
何度も見ているはずなのに、どんな思いで歌っていたのだろう、と考えると涙が自然と出てしまいました。
きっと本を出すまでに、様々な葛藤があったのでは、と勝手に想像しています。
でもきっと読んだ同じような気持ちの誰かの心が、ほんのちょっと軽くなったり、はたまたひめたんのカウンセリングを受けたり、
私みたいに過去を思い出して、頑張ったねって昔の自分を褒めてあげられたり、救われる人が多くいるのだと思います。
ありがとう、ひめたん。
ひめたんのセンター曲の「君は僕と会わない方がよかったのかな」の歌もMVも、大好きだよ!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?