ポケモン

日常_13【ポケモンジムの建築用途を確認審査機関にヒアリングしてみた】

皆さんは現在公開中の映画「名探偵ピカチュウ」はご覧になりましたか?

私はまだ観れておりません。

なかなか1人では観に行く勇気が湧かないので、一緒に行ってくれる方いましたらお声がけお待ちしております。笑

冗談はさておき、今回【建築と日常】で扱うテーマは、タイトルにある通りポケットモンスター(通称ポケモン)です。

私はポケモン世代ですので、小さい頃からゲームもやりましたし、アニメも楽しみに観ていました。

ゲームにおいては、レッド版からブラックホワイト2までやりました。いわゆるポケモンガチ勢です。最近ではレッツゴーピカチュウもプレイしました。

そんなポケモン好きの私が気になったあるシーンについて、建築と絡めて書いていきますので最後までお読み頂けると嬉しいです。

【アニメ「ポケットモンスター」のとあるシーン】

それは、アニメポケットモンスターの初期(第1期と言うのか?)で、主人公であるサトシが始めてジム戦に挑むシーンについてです。

皆さんご存知かと思いますが、始めてのジム戦は、ニビシティのジムリーダーであるタケシです。タケシは岩タイプポケモン使い手でポケモンバトルではイシツブテとイワークを繰り出してきます。

サトシの手持ちは、もちろんポケモン界のアイドルであるピカチュウです。

ゲームをやったことがあれば分かるかと思いますが、ピカチュウでイワークを倒すのは難しいですよね。ピカチュウが電気タイプなのに対して、イワークは岩・じめんタイプであり、「効果はない」からです。

アニメでもピカチュウはイワークに苦戦を強いられます。

アニメ中ではサトシとピカチュウはタケシと2度対戦するのですが、1戦目は歯が立たず棄権します。2戦目はピカチュウの電気量の修行をして再戦し、なんとかイシツブテは倒しますが、イワークには苦戦します。

そして、イワークを倒せずにバトルは終了します。

それにも関わらず、タケシはサトシにジムバッチを手渡すことにするのです。

それはジム戦中にある出来事が起きたからです。

私が気になったあるシーンとはまさにここです。アニメを思い出しながら詳しく書いてみます。

『イワークに締め付けられたピカチュウは所構わず電気技を放ちます。イワークには効かないのですが、ジムの天井に取り付けられていた「スプリンクラー」にピカチュウの電気技が当たり、スプリンクラーが作動し水が放出されるのです。岩タイプのイワークには、水タイプの技は効果抜群なので効きます。そして2階にあるスタンドで観戦していたカスミが「今よ!」と言い、サトシとピカチュウは水を含んだイワークに電気技を打ち込む』という展開になります。

『スプリンクラーの水と電気技に苦しむイワーク。あと少しで倒せそうというところでしたが、「イワークをいじめるな!」と言ってバトルを止めに入るタケシの兄弟達が現れます。そしてサトシは、「スプリンクラーは事故だった。本当の勝利ではない」と言って、攻撃をやめるのです』

『「また再戦しに来る」と言ってジムを去ろうとするサトシ。しかし、タケシは「ポケモンを大事にするサトシ」に感激し、ジムバッチを渡すことにします。』

更には、自分の夢はポケモンブリーダーになることだと言って、サトシと一緒に旅することになるというのがこの話の最後です。

良い話ですよね。

・・・・・・しかし、私はあることに気が付いてしまいました。

それは、・・・・・・

【ポケモンジムって、スプリンクラー設備が必要なのか】ということです。

スプリンクラーっていう消火設備は、比較的大規模な建物で不特定多数の人が利用する施設に付けられることが多いのですが、アニメのポケモンジムを見ると、せいぜいバスケットコートくらいです。

「必要なさそう」と思ったのが正直なところです。

そこで、くだらないかもしれませんが、【ポケモンジムにスプリンクラー設備が必要なのか】を調べることにしました。

1.【ポケモンジムの建築用途】

スプリンクラー設備が必要かどうか判断ためには、まずポケモンジムの建築用途が何に該当するのか調べる必要があります。

考えても調べてもわからないので、確認審査機関に勤めている私の大学時代の友人にヒアリングしてみることにしました。笑

以下、友人との議事録です。

私:「ポケモンジムの建築用途って何?」

友人:「変な事聞くね。笑 ポケモンジム?ってか、ポケモンバトルはスポーツかな?ボーリング場とか卓球場みたいになるなら、『体育館とかその他これらに類するのスポーツ練習場』になる気がするけど、アニメとかゲームにあるような大画面ビジョンがあってスタンドがあって、司会がいて、バトルするみたいな感じだと『興行場』別表だと(1)に入るようなこともあると思う」とのことでした。

私:「特殊建築物に該当するとして、確認申請に出すとしたら、用途はなんて書けば良いのかな?」

友人:「『興行場(ポケモンジム)』って書けば良いよ。建築基準法の括りとしては、劇場とか観覧場と同じと考えてくれて良い」

私:「なるほど。つまり別表(1)の用途で、規模(劇場だと、客席の面積が300平米以上)を見て特殊建築物に該当するか判断するってことで進めます」

友人:「宜しい」

という回答でした。

2.【ポケモンジムの面積(想定)】

スプリンクラー設備が必要かどうか判断するために、次に考えることは「ポケモンジムの床面積」についてです。

先程も書きましたが、アニメから判断するとフィールドの面積は大体バスケットコートと同じくらいな気がします。

バスケットコートの大きさは、【15m×28m】なので、床面積は【420㎡】になります。

少し大きめに見て、今回は【450㎡】と仮定することにしました。ちなみにイワークの高さが8.6mだそうなので、妥当かなと思います。

更には、建築基準法の別表(1)には、劇場などは「客席の面積が300㎡を超えると特殊建築物に該当する」とあります。アニメを見るとそこまで大きくはなさそうですが、判断が難しいため一応300㎡を超えると想定し、「耐火建築物にする必要のある特殊建築物」であることにしました。

以上より、ポケモンジム(ニビシティ)の建築概要をまとめると下記になります。

用途:興行場(ポケモンジム)
規模:(フィールド)450㎡ (客席)300㎡超
構造:鉄骨造2階建

アニメで見た通り、客席が2階にあると判断し2階建としてみました。

【スプリンクラー設備の要否】

上記の建築物において、スプリンクラー設備が必要かどうかは、【消防法施行令第12条】を見ればわかります。

建築基準法別表(1)の用途では、2階建(平屋以外)では、延べ面積が6000㎡を超えるとスプリンクラー設備が必要とあります。

しかし、【ただし書き】「舞台部の面積が500㎡を超える場合」には、延べ面積に関係なく舞台部にスプリンクラーを設置する必要があると記載されています。

まず、延べ床面積が「6000㎡」を超えるわけがないので不要です。次に舞台部の床面積が「500㎡を超える」かどうかですが、今回はバスケットコートと同等と想定したため、フィールドの面積は【450㎡】であり、500㎡は超えていませんので、こちらも不要になります。

まとめると、

【スプリンクラー設備:不要】
①延べ面積が6000㎡以下のため
②舞台部の床面積が500㎡以下のため

【結論】

以上より、アニメに登場したようなポケモンジムには【スプリンクラー設備は不要】という結果になります。

つまりは、ポケモンジムに付いているスプリンクラー設備は「過剰な設備」になり、建築基準法を守りかつ経済的な設計をしていれば、『ピカチュウはイワークには勝てない』という結論になってしまいました。

もちろん、「舞台部が500㎡を超えている」ため、設置していたのかもしれませんし、タケシ、もしくは国(施主)が念のためコストが上がっても良いから、【スプリンクラー設備に投資した】とも考えられます。

まぁ、いつどのタイミングで「尻尾に火をつけたポケモン」が来るかわからないと言うことを考えれば、ポケモン界において【スプリンクラー設備】は標準設備なのかもしれません。


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