大人になるということ

先週末、数十年振りに家族4人で旅行へ行った。
4人というのも、母は仕事で来れなかったので
父、私、弟二人だ。
両親は離婚しており、まさか5人で行く計画が立てられるなんてと最初は驚いたが、少し嬉しかった。

父の家に着き、家族5人が同じ空間にいる。
「養育費ありがとう」「今日はよろしくね」と母。
堂々とした口調の中に緊張が隠し切れていない。
父も何か返していたが、忘れてしまった。
ただ、目線は常に私の方にあった。
異様な空気感に子供達は苦笑いした。

実家は父の手によって私たちが住んでいた頃から
大きく改造されていた。
和室は車庫に変わり、外壁はグレーからチャコールへ

父はかっこいい車に乗っている。
大興奮の弟二人は窓枠に手を添えて、我が物顔で写真を撮った。

この日が待ち遠しく、車の状態を万全に整え、お菓子や飲み物も買い揃えてくれていた。
保冷バッグの底には、ワインも見えていた。

母に見送られ、出発した。
しばらくして、私にLINEが届いた。
「久しぶりに５人で会って
　離れてても　いい家族なんだなって思って涙出た。
　旅行楽しんできてねー！」

これを見て、私も涙が止まらなかった。
離婚を告げられた日、数回の引っ越し、大好きだった家族がいつの間にか嫌いになっていたこと。
色々なことが思い出されて、旅行へ送り出した母はどんな気持ちなのだろうと勝手な罪悪感が湧いてさらに涙が溢れた。

私を見て大笑いする父。
後部座席で酎ハイを開ける夜勤明けの長男。
お菓子を食べる次男。

今思い返すと笑えてくる。

この日は数日振りの晴天だった。