82. Matter ってなんぞ?
はじめに
最近参加した OpenEL の会合で、Matter というプロトコルを耳にしました。
スマートホーム系で既にデファクトということで、調べてみることにします。
…そういえば、この定期購読マガジンのタイトルは、「Azure の最新機能で IoT を改めてやってみる」でした。Matter は全く関係ない(笑)けどまぁいいか、これまでの記事も全く Azure 出てこない回何回もあったし(笑)。でいるならこの定義購読マガジンのタイトル、「実践!IoT・Digital Twins」とか何とか変えたいもの(苦笑)
Matter
”Matter”とは、スマートホームデバイス、および、アプリケーションをつなぐプロトコル標準の名前です。2022年10月に発表され、最新のバージョンは 1.2(2023年10月18日)のようです。つい最近ですね。ネットワークの OSI 7層モデルのアプリケーション層に対応付けられているようです。インターネットプロトコル の IP V6 上でメッシュネットワークを構成可能な THREAD というプロトコル上で(も?)動作します。
”Matter”を策定したのは、Connectivity Standards Alliance という団体で、あらら、元は、ZigBee Alliance という名前の団体だと。いつの間にか名前変えてたのね。ということで、ネットワークの物理層は、ZigBee、Bluetooth(GATT Profile)、Wi-Fi(2.4GHz)が使えるようです。
ちょっと脱線しますが、ZigBee といえば、私がマイクロソフト時代、2010年ごろに初めてセンサークラウドの実証実験(実サービスにもなりました)を Digi International さんと行った際に使ったプロトコルです。電力見える化のソリューションでしたが、当時は、「でも日本はアメリカの田舎と違って電力は安定して供給されるから意味ないんじゃないの」なんて言われていましたが、2011年3月11日の大震災後、計画停電があり、その手のソリューションは一躍脚光を浴びました。想像力の欠如って怖いですね。
Connectivity Standards Alliance:CSA
Our Members | Promoters | Participants | Adopters - CSA-IOT を見ると、amazon、Apple、Google、というスマートホーム系サービス(デバイスも)を提供しているビッグプレーヤーが参加しているので、Matter はデファクトスタンダードといっても良いのでしょう。
チップベンダーをはじめ携帯デバイスベンダー等、果ては、IKEA まで参加しているようです。
Matter のサイト
Welcome to Matter’s documentation! — Matter documentation (project-chip.github.io) が開発者向けのサイトのようです。Matter とは何かをそのまま引用します。
Specification のリンクから、正式なスタンダードの文書
Device Library Specification
Core Specification
Application Cluster Specification
IoT Device Security Specification
をダウンロード可能です。メールアドレスと共に申請すると、そのメールアドレス宛に、ドキュメントのリンクが記載されたメールが送られてきます。
プロトコルスタックのレイヤーは、
こんな風に紹介されています。
Matter 対応アプリ、デバイスの開発
開発は、Visual Studio Code + Matter用拡張で開発可能なようです。ただし、OS は Linux のみ。
Example が、Examples — Matter documentation (project-chip.github.io) から多数紹介されています。
Matter 詳細
具体的な構成、具体的にどんなことができるかについては、
【解説】スマートホーム共通規格「Matter」|エンジニアによりそう、リョーサンのマガジンサイト|リョーサンテクラボ|株式会社リョーサン(RYOSAN)
このサイトがめちゃくちゃ詳しいので、こちらの参照をお勧めします。
幾つか図を拝借しますと、
Matter を理解する
これで終わってしまったら、「おいおい」って感じですよね。はいはい、これで終わりにするつもりはないのでご安心ください。
つい最近の2024年3月に、新実存主義にたどり着いて、漸く”Art of Conceptual Modeling”で解説している概念モデリングの基礎付けが終わったことと、他の場で書いている通り、これまで、最新のテクノロジー・サービス・製品のキャッチアップで、Shlaer-Mellor 法由来のモデリング技術がめちゃくちゃ役立ったと書いていることもあり、Matter とは何ぞやを知るために、仕様書を元に概念モデルを作成してみることにします。
用語を元に概念情報モデルを作ってみる
ここから先は
Azure の最新機能で IoT を改めてやってみる
2022年3月にマイクロソフトの中の人から外の人になった Embedded D. George が、現時点で持っている知識に加えて、頻繁に…
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