アンチワーク哲学 初級者テストができていた【アンチワーク哲学】
少し前に、彦八さんがAIでアンチワーク哲学のテストをつくってくれた。感謝。
みているとなんだか学生時代に戻った気分にあれて、なんかおもしろい。あとけっこうクオリティも高かった。
ちなみに学習素材は『14歳からのアンチワーク哲学』だけらしい。それだけでこれだけつくれるらしい。びっくりである。
※僕はAIは労働を代替しないし、過大評価されていると考えているが、テクノフォビアではないし、使えるものは使う。なので、こうして新しいテクノロジーを活用して、支援していただけることは嬉しいのだ。
せっかくつくっていただいたので、ちょっと見ていきたい。
これは1問目に相応しい良問。労働をどう定義するかはアンチワーク哲学における中心問題なのだから。、一見A、C、Dも正解っぽいが「アンチワーク哲学においてどう定義するか?」なら、この回答には異論はない。いい質問だ。
これもいい問題。お金や権力といったものも人間は欲望するが、根本的には変化を起こすことが人間の行動原理であると、アンチワーク哲学では考えられている。これは現代において支配的な利己的遺伝子論的な性悪説を否定しつつも、逆張りとして性悪説を唱えるでもなく、「変化を欲望する」という根本的な人間理解を提供する。これもアンチワーク哲学の根幹となる理論の一つである。
これも悪くない。だが、微妙に異論がある。たしかに目指すのは労働のない社会だが、実を言うと共産主義が実現した社会(国家が廃絶され必要に応じて与えられ、能力に応じて貢献する社会)は、労働なき世界に限りなく近いからだ。もちろん共産主義とは共産党一党独裁というプロセスを経由するという点で決定的に方針が異なるわけだが、最終到達点は実は似通っている。
またDの機械が支配する社会は「AIやロボットが発展し人々が生産活動から解放された社会」といった引っ掛けを用意しておくとよりいい。労働なき世界というスローガンはそのような勘違いを招きやすいが、そうではないのだ。
これも悪くない。だが厳密に言えば「D. 学歴を得るため」も正解と言えそうだ。アンチワーク哲学では「学歴という肩書の獲得競争」といった捉え方をしているのだから。
これはあまりいい問題とは言えない。ブルシット・ジョブはアンチワーク哲学の用語ではないし、いまいち質問の意図が見えてこない。修正するなら、「アンチワーク哲学では、特にどのような仕事がなくなっても問題ないと考えられているか?」といったところだろうか。
これは少し曖昧さが残る問題である。実際、収入には運や努力、貢献度の要素も絡んでいると思われる。「収入にもっとも影響を与える要素はなんだと考えられるか?」といったあたりが妥当だろうか(といっても、「政治活動」はお金を集める行為なので、「政治活動の上手さが収入に影響を与える」とはほとんどトートロジーなわけだが)。
これはいい問題。ちょっと、補足説明が必要そうだけれども。
これもいい問題。「力」を「権力」と書いた方がもっといい。
これも意図としては悪くない問題だ。だが、そもそも労働=強制と定義している以上、Cはほぼ説明になっていないし、「労働が辛いから」「労働が退屈だから」も、回答としては妥当だ。なので、「現代において人間が生産活動を嫌う傾向にある理由はなんだと考えられるか?」といった質問の方がより的確だろう。
これは良い問題。ニーチェファンには怒られるだろうが、いい問題だ。
これは検討の余地ありだ。人は利己的でもあるし、合理的でもあるし、競争を好む側面もある。アンチワーク哲学では助け合いを好むという側面を強調して語っているが、それは利己的な側面ばかりがフォーカスされる現代の常識に対して、よりフラットな視点を導入しようとしているからであり、完全な性善説を唱えているわけではない。「助け合いや貢献はなぜ生じると考えられるか? A.正義感 B.道徳の追求 C.ルールやマナーの順守 D.欲望の追求」といった問いの方が、よりアンチワーク哲学の意図が伝わると思われる。
これは定義問題なので異論なしである。いい問題だ。
これもいい問題である。いい。
悪くない。が、Dはブルシット・ジョブのみを問題視しているような印象があるので、労働全般を批判するアンチワーク哲学の解釈とは微妙に外れる気がする。
これはアンチワーク哲学の用語でもないので、その点は訂正する必要があるものの、いい。
これもいい問題。ただし、Cの側面も否定しているわけではないし、Dの側面もあると思われる。ので若干改善の余地はありそうだ。
これはちょっと悪問である。福祉制度の一種でもあるのだし、そもそもBIの定義を問う意図が分かりづらい。「ベーシックインカム導入の狙いはなにか? 答え.支配からの解放」といった質問の方がよさそうだ。
問8と被っているが、いい問題である。が、潤滑油でもあるし、富の尺度でもあってその点を否定しているわけでもないので、ちょっと工夫して問題をつくった方がよさそうだ。
Dも正答であるような気もするが、狙いは悪くない問題だ。
狙いは悪くないが、微調整が必要だろう。「人間の行動原理の根幹はなにであると考えられるか? A.自発的に欲望を追求すること」といった形の方が、より的確だろう。
これにてテストのテストは完了である。
多少辛口評価したところもあるが、本一冊だけでこれだけの問題集をつくれるなら、すごい。人間が最後にみて微調整するだけで普通にいいテストがつくれそうだ。ちゃんとしたやつをつくってみようかしら(アンチワーク哲学は別にテストして覚えてもらう必要はないのだけれどネタとして)。ちなみに中級編もあるので、また近いうちに紹介したい。
ディスコ―ドのコミュニティでは、たまにこういう遊び心溢れたの貢献活動が発生している。こういうおもしろい出来事を目撃したい方は、ぜひ参加してもらえると嬉しい。
あらためて、つくってくれた彦八さんに感謝!
1回でもサポートしてくれれば「ホモ・ネーモはワシが育てた」って言っていいよ!