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ポケモンセンターに行列を作る社会

大丸梅田の13階は、オタク向けフロアになっている。ポケモンセンターオーサカ、ニンテンドーショップ、麦わらストア、カプコンストア、トミカ&プラレールショップ。

カプコンストアは最近できたばかりのようなので気になる。ついでにポケモンの新作も買ったばかりなので、ポケモンセンターも見ていきたい。さらに言えば他のショップも(トミカ&プラレール含め)僕は興味があるので、全てまとめてウィンドーショッピングしたいところだ。そんなわけで、物見遊山することにした。

ワクワクした気持ちで、永遠に感じられるデパートのエレベーターの待ち時間を過ごし、たどり着いた13階。エレベーターの扉が開いた先にあったのは、キャラクターたちが溢れた夢の世界ではなかった。

そこに待ち構えていたのは、人、人、アンド、人。

「本日分の整理券は終了しましたー!」とがなり声で叫ぶ係員。子どもの癇癪を抑えながらレジでわイライラしている家族。オタ活に勤しむ若い女性たち。

特にポケモンセンターとニンテンドーショップの繁盛っぷりは異常で、もう今日は入場できないらしかった。

なぜ、これほどまでに人はアニメやゲームのグッズを求めるのか?

どこかの左翼が、大衆消費社会では、人々はアイデンティティを休日に求める的なことを言っていた。つまり、週40時間(か、それ以上)は、かりそめの人生に過ぎず、その後に訪れる休日にどのように消費して過ごすかによって、自分らしさを確立しようとするわけだ。

一部の人は鉄道オタクになったり、アマチュアボウラーになったり、週末農家になる。しかし、これらのアイデンティティは、つぎ込まなければならないリソースが大きく、スマートフォンから提供される膨大な娯楽に惑わされた僕たちには難易度が高い。

グッズを買うという行為は、アイデンティティを確立するために、最も手っ取り早い方法だと言える。なぜなら、1000円か2000円かそこらのトラファルガー・ローのキーホルダーを買うだけで、ワンピースファンやトラファルガー・ローのファンを自称できるからだ。全国のマニアックな駅の名前を覚えたり、ボウリングに何百時間もつぎ込む必要はない。

そういうインスタントなアイデンティティを確立したいという欲求によって、ポケモンセンターは繁盛する。果たしてこの社会は健全だろうか。

まぁ大っぴらに否定する必要はないように思える。僕だってポケモンやワンピースが好きで、稀にグッズも買う。それでも、どうにも資本にいいように操られているような感覚が拭えない。

なんだか陰謀論者じみて見えるかもしれないが、やっぱり人々が気ままにセーターを編んだり、日曜大工に勤しんだり、友人と朝から晩まで政治談義に時間を費やしたり、そういう過ごし方の方が楽しそうに感じてしまう。

別に好きに過ごせばいいんだけど。あぁ、なんだかモヤモヤするぜ。

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