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自己紹介に代えて(パクリ企画)

毎日更新を続けているとネタがなくなってくるので、パクるぜ!

いつもお世話になっている江草さん(お世話になりすぎて、もし住所を知っていたらお歳暮を送りたくなるくらいだ)の記事。好きな本と偉人を羅列することで外堀から自己紹介していくというユニークな取り組みだ(ちなみにしれっと僕の本も入れてくれていて、ちょっと照れている)。

本と偉人だけではなく、例えば音楽とか、飯とか、いろんなパターンができそうだが、とりあえず本と偉人でパクってみるのだ。

以前、僕は好きな本ベスト10という企画をやったが、選抜に苦労したのを覚えている。今回は、気にせず好きなだけ論ってやろう。



■社会系

とりあえず社会理論的な話の本たち。ここが多分一番僕の関心に近い本たちだと思われる。

※後に登場する歴史カテゴリーと若干被っている感はあるものの、主題が社会のメカニズムの解明にあるものを「社会系」とし、事実の記述を中心とするものを「歴史系」と分類する。


・ブルシット・ジョブ

この本は間違いなく僕の人生を変えた。自分の仕事が無意味だと感じている人が4割近く存在するという事実を突きつけられて、僕は膝が崩れ落ちる想いだった。この世界が効率的に運営されていないのなら、今まで僕が信じてきた道徳観や労働観、経済システムとはなんだったのか? と。そういう絶望感から生まれたのがアンチワーク哲学である。


・隷属なき道

僕をベーシック・インカム信者に仕立て上げた本。ベーシック・インカムで解決しない問題って逆に何?とまで問いかけてくれる。読みやすいし、もっと売れてほしい。


僕をなんちゃってヴィーガンに仕立て上げた本。実を言うとアンチワーク哲学の自己決定至上主義も、この本に影響されている部分がある。「ヴィーガンが求めるのは、より広い檻ではなく空っぽの檻(うろ覚え)」という文章が印象的で、象徴的。


・万物の黎明

最近の本だが、これを避けては通れない。人間社会の発展を必然性のあるものとして捉えるのではなく、主体的な決定によって生み出されたユニークなモノであると捉えることを提唱する本。当たり前なんだけどね、僕たちは決定論的にものを語る傾向にあるから、当たり前を忘れてしまう。


・測りすぎ

これはもっと売れてほしい。ブルシット・ジョブがなぜ生じるのかというテーマに通じる。計測至上主義に警鐘を鳴らす本。本当は計測の無意味さなんて誰しも知っているのだけれど、大っぴらに批判するのは難しい。「測定主義は科学を装うが、実際は信仰に近い(うろ覚え)」という文章が印象的だった。


・官僚制のユートピア

『測りすぎ』を別の角度から表現した本であり『ブルシット・ジョブ』のバックボーンでもある。「テクノロジーが発展している」という常識に意を唱える面白い本。


・負債論

グレーバーばっかりですみません。でもやっぱり僕はグレーバー信者なのだ。貨幣とはなにか、負債とはなにか、人間とはなにかについての常識をことごとく覆していくこの本ははずせまい。


・君主論

意外なラインナップだと思われるかもしれない。だが僕は君主論は権力に突きつける内部告発文書のようなものだと思っている。そういう観点で読むと面白い。



■哲学系

哲学書はふとした拍子に役に立つことが多い。防災グッズみたいなものだ。


・善悪の彼岸

ニーチェ的な欲望の肯定は、アンチワーク哲学も踏襲している(っていうことでいいと思う)。というか、欲望というキーワードでアンチワーク哲学を構築したのは「人は何も欲しないよりは無を欲する」というこの本に出てくる言葉から着想を得ている。


・哲学探究

「言葉」についての僕の考え方は、ほぼこの本に依拠しているような気がする。「言語ゲーム」という概念が有名だが僕は「家族的類似性」に影響されている。まぁ、読んだら面白いと思う。


・精神と自然

ものの考え方については、ベイトソンからかなり影響を受けた。「説明とはトートロジーの中にマッピングすること(うろ覚え)」という発想は、アンチワーク哲学の理論構築の際にも役立っている。


・アンチ・オイディプス

ニーチェを使って資本主義を読み解いている本だと思っている。社会を読み解くのに、この発想の仕方はかなり役立つと思う。


・道徳と宗教の二つの源泉

あんまり内容は覚えていないのだけれど、ベルクソンの論の進め方にはかなり影響を受けた。カントとかハイデガーとかショーペンハウアーもいいのだけれど、ベルクソンが一番好きだ。


・相互扶助論

これは哲学に分類していいものか悩むが、まぁこちらに。個人主義的な発想になりがちなダーウィニズムに異を唱える本。アンチワーク哲学に登場する「貢献欲」といった発想は、ここから着想を得ている。


・荘子

たまにパラパラ開くと、いいことが書いてある。ちなみに内篇しか読んだことはない。


・パンセ

人間のことをよく見ているなぁと思わされる本。アンチワーク哲学の人間理解はかなりパスカルに助けられている。「部屋でじっとできない」的な話とかね。ただ、パスカルはネガティブすぎるので、その点は意見が合わない。あとキリスト教アゲがちょっとしつこい。


■ビジネス・自己啓発系

あんまり読まないけど、気になったら読む。意外といいこと書いてたりするのだ。


・ティール組織

狩猟採集民への強烈なディスを除けば、かなり好きな本。ティール組織というのはアナキズム界隈からビジネス界隈に送り込まれたスパイのようなもので、実際に説いている内容はほぼ実践的なアナキズムだと思っている。

アナキズムは権力と支配の否定であり、無秩序と混乱を意味しない。秩序の作り方は水平的でボトムアップを指向するわけだが、ティール組織はまさしくそれなのだ。


・「わかりあえない」を越える

これは安手の自己啓発書を装っているが、ぶっちゃけかなり使える。人間の主観や感情、ワガママを徹底的に重視することで、逆にコミュニケーションを円滑にする手法が書かれている。知的興奮の書。アンチワーク哲学の主観重視の傾向は、ここからかなり影響を受けている。


・科学的な適職

大きな声では言えないが、結構好きな本。この本に書いてあることを真面目に受け取れば、社会で行われていることの大部分が無駄ということになるわけだが、そういう意味で革命的で面白い。


■自然科学系

文系だけど、自然科学が好きなのだ。というか、僕はあんまり両者に壁を作る必要を感じていない。結局、全部つながったテーマなのだから。


・菌類が世界を救う

僕を発酵食品作りに向かわせた本。自然をネットワークとして把握する考え方は、こういう本によって補完できる。


・道徳性の起源

ボノボの研究者による道徳性についての議論。利己的な遺伝子論的な発想に対するカウンター。こちらもアンチワーク哲学の貢献欲的な発想に影響を与えた。確か『労働なき世界』でも引用したはず。


・世界は「関係」でできている

ここで紹介されているエルンスト・マッハの考え方にはかなり影響を受けた(いつかマッハの本も読みたいが…時間が…)。量子論関係の本は何冊が読んできたが、これが一番しっくりきた(が、理解したなんて言うと量子論警察のファイマンさんに怒られるので言わない)。


・情動はこうしてつくられる

この本は名著。だが、マッハの危機意識(モデルを現実の実態として捉えてしまうこと)のテーマを「感情」に置き換えただけとも言える。でも、感情を仮想的なモデルとして捉えるというダイナミックな発想は面白い。


・感覚が生物を進化させた

ゴリゴリのネオダーウィニズムを信奉していた僕を、解き放ってくれた本。これは名著だと思う。思いつきの探索行動を重視するアンチワーク哲学にも影響を与えた。


・植物は〈知性〉をもっている

生命、知性といったものの見方を転換してくれるいい本。人間中心主義に毒されるのはやっぱり良くないと痛感する。


■農業・ライフスタイル系

・土・牛・微生物

僕を農業に向かわせた一冊であると同時に大規模農業の非効率さを理解させてくれた本。


・わら一本の革命

実践的な農業の手法はここからかなり影響を受けた。全く再現できていないけど。


・無銭経済宣言

いっときはこの本に書いてあることを全部実践しようとしたくらい、かなり影響を受けた。ただ、清貧思想によっているので、アンチワーク哲学とは微妙に食い違っているが、それでもベースにはなっている。


・実践 日々のアナキズム

アナキズムの有効性や、権力の非効率さを知るにはこの本はいいと思う。日常的に仕事をするときにおいてもかなり役に立つと思われる。


■小説

あんまり読まないけど、たまに読む。なぜかハヤカワ文庫多め。


・浮世の画家

一番好きな小説を聞かれたら、多分これを上げる。誰もこれをミステリー小説とは呼ばないけれど、僕はミステリー小説と思っている。そういうどんでん返しの面白さを味わいたい方はぜひ。


・忘れられた巨人

引き続いて、カズオ・イシグロ。人間の心理のよくわからないところ(それでいて馴染みのあるところ)を描写させれば、彼の右に出るものはいないと思う。記憶の面白さを味わえる小説。


・ニューロマンサー

意味はわからんけれど、やっぱり嫌いになれない。サイバーパンクの草分け。雑多なアジア感とサイバネティクスとハードボイルドを見て興奮しない男子などいないのだ。


・都市と都市

非現実的な設定を、現実的な心理で描写することが小説の醍醐味なわけだが、そういう意味でこの小説はかなりヒリヒリしながら読めた。好き。


・三体シリーズ

これはもうね、少年漫画だ。少年漫画として面白い。


・旅のラゴス

実を言うとアンチワーク哲学に影響を与えている小説。グレーバーの分類する「コミュニズム」が「ヒエラルキー」へと移行していく様を描写し、「ヒエラルキー」を逃れて「コミュニズム」を求めて旅するラゴスが描かれている(と解釈すると面白い)。タイトルが「旅のラゴス」であって「ラゴスの旅」ではないことに注目。


・ボッコちゃん

星新一は『パンセ』を子ども向けに書いてくれた作家だと思っている。星新一を読んでいると、人間がよくわかる。


・戦争は女の顔をしていない

「権力には大きな人間は必要なく、ちっぽけな人間が必要(うろ覚え)」というラインが印象的な本。権力がどんなふうに人間を扱うかを知るのに最適だし、人間の人間らしさの描写も面白い。


■詩・エッセイ

・石垣りん詩集

一番好きな詩人で、『労働なき世界』でも引用した。『鍋とお釜と燃える火と』が、「貢献欲」と言うキーワードを体現した詩なのでおすすめ。


・書を捨てよ、町へ出よう

寺山修司の詩はそんなに好きじゃないけど、エッセイは好き。これも人間理解が面白くて、場末のパスカルって感じだ。


・人間の大地

『星の王子さま』よりも生々しくて好きだ。人間が何を欲望するのかと言う点について学べることが多い。たぶんパスカルに影響受けてると思う。


■歴史・ドキュメンタリー系

たまにこういうのも読む。ひねくれた読み方をするけれども。


・コンテナ物語

グローバル資本主義の根源を知れた気がする本。これは普通に面白いし、資本主義以外のあり方で規模の経済というものをどうやって代替するのかについて考えるには、避けては通れなさそうな本。


・文化大革命

権力の馬鹿馬鹿しさと土着の人々の逞しさを知れる本。民衆の立場から文革を切り取っているので斬新で面白い。


・イノベーターズ

コンピューターとインターネットを馬鹿にしがちな僕だが、こういう本も読むのだ。単純に歴史を知るのは面白い。


・レオナルド・ダ・ヴィンチ

ダヴィンチの生き方は好きで、かなり影響を受けた。好きなことをやっている感じがたまらない。


・株式会社の歴史

「あー株式会社ってゴミなんだなぁ」と思いたいときに読む本。これを読んで現代の資本主義を擁護するのは難しいと思う。


・金融化の世界史

教科書としても読めるし、歴史の切り取り方としてダイナミックで面白かった。金融資本主義のゴミっぷりを知るにはいい本。


■結論

ここまで書いていて気づいた。僕が読んでいる本のエッセンスはだいたい自著の中に詰め込まれている。ならば自己紹介するなら、「本を読んでね」で事足りるではないか。

というわけで、読んでね。

目指せ100万部!


■おまけ

そう言えば好きな偉人について書いていなかった。僕は絵を書かないけれど葛飾北斎が好きだ。好きなことだけやっている感じが。

僕は好きなことをやっていたいし、そういう人が好きだ。人生はまだまだ楽しみたい。

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