科学の最先端として自然農を権威づけしよう

科学教にどっぷり浸かった僕たちは、脳科学という権威から仏教の正しさを説明された方が納得する。マインドフルネスブームは、まさにそういうトレンドなわけだ。

同じように、生態学や地質学の権威から自然農を語っていけば、自然農が科学の最先端であるような印象づけをすることができる。そういうアプローチをするしか、自然農を広める方法はないんじゃないだろうか。

にもかかわらず、自然農の提唱者たちは、すぐに仏教の話や、アンチ資本主義的な話をするのだよ。

ただでさえ不耕起や無肥料というのは科学に反する宗教ちっくなやり方だという印象を与えるというのに、自然農の提唱者たちはすぐに輪廻転生とか、諸行無常とか、無為自然(これは仏教用語じゃないけど)とか、「市場経済が人を大地から引き剥がし‥」とか、そういう左翼ちっくな話をするから、オーガニックでスピリチュアルなヤバい奴らだというレッテルを貼られるのだよ。ほとんどの人間というのは、シニカルで、科学万能主義で、マモンを信仰しており、他人をバカにするのが大好きなんだよ。福岡正信や川口由一が裏でメイクマネーしてるペテン野郎だったという陰謀論が大好きなのだよ。

土壌侵食の話とか、粒根菌の話とか、リンと微生物の話とか、団粒構造の話とか、そういう科学的っぽい話を中心にして、どうしても宗教的な話をしたいならたま~に龍樹を引用するくらいがちょうどいい。最近は「教養や哲学が欠かせない!」的な風潮や「西洋近代的な人間中心主義はダメだよね…」的な風潮もあるから、東洋哲学に軽くあやかるくらいは問題ない。「仏教は哲学」的な風潮も広まりつつあるので、仏陀や達磨、道元あたりのエピソードを軽く引用するのもいい。ただし、あくまで科学に軸足を置いており、物見遊山で宗教に寄り道しているに過ぎないことを装うことが大切だ。それに、親鸞と日蓮はカルト臭さがつくのでやめておこう。空海は…ぎりぎりアウト。

僕は仏教好きだけどね。でも、たいていの凡人は一生悟りを開くことはないわけで、所詮イキリ坊主のなりそこないな訳だから、色即是空とかなんとか蘊蓄を垂れ流しているのを見ると正直痛い。AVマニアの童貞がセックスを語っているようなものだ。我々、涅槃童貞は大人しく娑婆でオナニーしておけばよい。

その点、この本はいい感じだ。

不耕起の自然農法で、大規模農業すら成功できるし、それがどれだけ効率的で、環境にも優しいかを、科学的に書いてくれていた。

この本を読んでいると、慣行農業にこだわる人たちが、視野狭窄で時代遅れのやり方に固執するテクノフォビアであるかのように見えてくる。

こういうやり方だよ。これをもっと広めていこうよ。

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