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シーソーシークワーサー 【53 言い訳の雨】

【53 言い訳の雨】


「ごめんね、僕が案内できるのはここまで。ちょっと用事ができちゃったから」

 「えーっ。もう? 寂しいです」アキハルコンビは声を揃えて駄々をこねていた。さも必要に迫られたもっともらしい出来事、用事。さらりとその場を離れるには最適の言葉。

「僕だって、こんな可愛い2人に、ずっと囲まれていたいんだけど」

 その続きを言わないのが、20も年上の、元ホスト、春未こと、凡人という男だった。今春から女子大生となる2人に、これ以上何も言えそうにない。というよりも、触れてはいけない純な部分を感じる。長年の間に身についてしまった営業トークの断片を、自然な範囲で使った。絶妙なタイミングだった。ソーキそばを食べきる前の、次の展開を話し出す前。計ったように一瞬の沈黙が訪れたその機会を逃さない。

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