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シーソーシークワサー【15 シンクロガール】

鹿児島にいる伊佐敷凡人くん、前回のシーソーシークワサーはこちら↓↓



【シーソーシークワサー 15 シンクロガール 】


 財布一つで島を出てきた春未は、ようやく鞄を買う決心をし、駅ビルに入ったのに、どのようなサイズの鞄を買うか迷っていた。
 スーツケースでは大袈裟な気もするし、かといってリュックではカジュアルすぎる。「入れもの」という定義で考えれば、どの売り場にもある。鞄屋にも、服屋の片隅にも置いてある。あれやこれやと駅ビルを上から下まで覗くうち、やっと1階の旅行用品店の店先に置いてあった黒い皮の鞄を手に取った。暫く眺めていると、後ろから若い女の子の声がした。


「何か探してるんですか?」
「財布一つでここまで来ちゃって、鞄、どうしようかなって」
「え?それ、すごくないですか?そんな方に出会ったのは初めてです」
「そだよね。俺も、いまだに信じられない」
「ま、私も、そんな変なお兄さんに声かけたのが信じられないです。っていうのも、さっきから私の行く先、行く先にお兄さんが現れるから、もしかして、同じものを探してるのかなって」  

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