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シーソーシークワーサー Ⅱ【58 ダイブto ブルー】

【シーソーシークワサーⅠのあらすじ】

 母を亡くし、その孤独感から、全てを捨てて沖縄から出た凡人(ボンド)こと、元のホストの春未(はるみ)。

 一番に連絡をとったのは、東京の出版社に勤める絢だった。

 絢に会うまでの道のり、人々との出会いで得たことは何だったのだろう。島に帰った凡人は、母亡き後の、半年間時が止まっていた空間に佇みながら、生い立ちを振り返っていた。

 生前の凡人の母、那月は凡人を守って生き抜くためにある決断をしていたのだが……


Ⅱ【58 ダイブtoブルー】


「捨てておいてくれませんか?」

 那月には、湿気と汗を含んだ脱ぎ捨てたセーラー服に未練などなかった。その覚悟が伝わったのか、Masaは笑っていた。

「わかった。そやけど、ほんまに今日はうちで泊まり。お母ちゃんには連絡してあるさかい」

 温かい家庭の匂いに、一歩引いてしまう。那月のなかでは、母という存在は監視人だった。本当にこの人の奥様は良い人なのだろうか。

 雨があがっている。ここにいれば母に見つかることもない。だが、Masaの奥様像が浮かばなかった。着せてくれたワンピースを姿見に写しても、そこにいるのはまだ不安げな家出少女だ。

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