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360度フィードバックは、愛のメッセージ

先日、自社内で「リアル360度フィードバック」のワークショップを実施しました。

360度評価/360度フィードバックとは?
人事評価において、一般的に上司が部下を評価する一方で、360度評価では、上司から部下だけでなく、同僚から部下に至るまで、文字通り周囲360度から評価を受ける形式です。

また、360度フィードバックは評価と異なり、ジャッジメントという観点が加わらず、結果により人事評価や報酬、昇降格などに影響しないことが特徴です。
*企業によっては、評価指標としているところもあるようですが、あまりオススメはしていません。

自身の目標設定や振り返り、リーダーシップの強化を図る上で、この360度のフィードバックは非常に有効な手段となります。

当社では、毎年、この時期に社内ワークショップの中で360度フィードバックを実施しており、昨年は私がちょうどこの時期に入社したためフィードバックを受けることはできず、代わりにファシリテーターとして参加しました。
しかし、1年が経過した今回は、他のメンバーと一緒に参加者兼ファシリテーターとしてこのワークに取り組みました。

ワークショップ冒頭では、まず、「フィードバック」することの効果や方法についてレクチャーしました。

多くの方が、良いフィードバックは行えるが、ネガティブフィードバックは苦手と感じているため、指摘したいことがあっても自分の中で消化してしまったり、時間が経過してから伝えたりすることがあります。

これは、伝えられる側もたまったもんじゃありません。
「なぜ、その時に言ってくれたかったのか?」と感じたり、上司との関係がギクシャクしたりすることがあります。

そこで、今回は
① 心理学の観点「ニューロロジカルレベル」を踏まえたフィードバックの仕方
② Iメッセージ、Youメッセージのフィードバックの仕方

について、お話ししました。

①ニューロロジカルレベルとは?

人間の「意識のレベル」を段階的に分類したもので、上の段にいくほど、人は自分自身と一体化して認識する傾向があります。

例えば、仕事でミスをしてしまった部下に対して、次のうちどちらのフィードバックをしたら良いでしょうか?

A:なぜあんなミスをしたの?仕事に対する意識が低すぎると思うんだ。
B:今回は、事前準備の時間が足りなかったよね。今度からは時間管理を意識してみて。

Aの場合の問いかけは、部下のアイデンティティへの指摘と受け取られ、人格否定につながる危険性があため、避けるべきです。
一方、Bの場合は、事前準備の時間が足りなかったという具体的な問題にフォーカスし、次回に向けて時間管理を意識することを提案しています。
このように「行動」に対する指摘は「アイデンティティ」に対する指摘よりも受け入れやすく、部下が改善するための具体的なアドバイスであるため、改善行動も取りやすくなります。

ですので、褒める時は、ニューロロジカルの上のレベル、叱る時は、より下のレベル、例えば、具体的な問題点や行動などを指摘し、具体的なアドバイスを提供すると相手が受け取めやすくなります。
このようにフィードバックの伝え方を工夫することで、部下のモチベーションを高めたり、成長を促すことができます。

② Iメッセージ、Youメッセージのフィードバックの仕方


次に、以下のメッセージを受けた時の感じ方の違いを考えてみましょう。

A:君の資料はいつも綺麗だね!
B:君の資料はいつも綺麗で、(私たちは)助かってるよ。

どちらも誉めているシチュエーションですが、微妙なニュアンスの違いがあります。
Aの場合は、若干「ジャッジメント(評価)」が含まれており、上から目線の感覚が入っているかもしれません。これがYouメッセージの抑えておきたい点です。
一方、Bの場合は、Iメッセージで表現しており、Aのような評価のニュアンスがないため、相手にプラスの印象を与えやすくなります。また「助かっている」という状況も伝えることで、相手の承認欲求も満たすことができます。

上記を踏まえて、叱る場合は

君は、いつも資料に抜け漏れがあるな。

と攻撃的、と捉えられかねない伝え方をするよりも、

君はいつも資料に抜け漏れがあるから、私は手直しに時間がかかって、困っているんだよ。

と言い換えた方が、相手は受け取りやすくなるはずです。

以上のようなフィードバックのコツについてお伝えしながら、今回私たちは以下3つの項目について、お互いへのフィードバックを行いました。

START:これからぜひ取り組んでみてほしいこと
STOP:手放した方がよいと思うこと
CONTINUE:強みや特徴として表れていること、ぜひこのまま継続して取り組んでほしいこと

自分の番がくるまで、別の部屋で待機しながら、上記の3つの項目について自分自身でも考え、その後、メンバーからのフィードバック内容と照らし合わせました。

ちなみに、メンバーから私に対するフィードバックは以下のような内容でした↓


全てのポストイットひとつひとつを見ながら感じたのは「なんとまぁ、あたたかい〜」という感想でした。

仕事を抱えがちになってしまうことは自身でも自覚しており、「それじゃあダメだ」と周囲への協力を仰ごうと、意識して動いていること。
その恐る恐る感を「遠慮している」と感じる人もいれば、
「周囲をよく巻き込んでいる」と、感じる人もいる。
また、やりたいことが多すぎて(一人勝手に)キャパオーバーになったり、体調を崩していることに気づいてくれた人もいました笑

こんなにもメンバーが私に対して注意深く見てくれているのか、ということに気づかせてもらうことができました。
また、自分が仕事をする上で大切にしていることについても、CONTINUEに書いてくれていて、とても嬉しくなりました。

常日頃、あえて口には出さない相手へのフィードバック。
こうしてチームで行ってみることのメリットを再確認しました。

今後、他社様へのワークショップや研修を行う際にも、このような体験を踏まえて、フィードバックの効果や影響力についてお伝えしていきたいと思います。

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