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深い自己探求や洞察につながる大いなる問いの力

コロナ禍で、内省時間が増え、自己探求まっしぐらの毎日です。
前回、AOC(Art of Coachig)の学びのアウトプット第一弾を書きました。

今日は前回に続き、「深い自己探求や洞察につながる大いなる問いの力」について書いていきたいと思います。

コーチングに触れ始めた頃、「傾聴」や「承認」が大切、という事はすぐにイメージできました。
もちろんそれもコーチングをする際のとても大切な要素です。
それを踏まえた上で、他にも「これはとても大切だ」と深く実感したのが「質問(力)」と「フィードバック」です。

コーチが投げかけてくださる問いによって、自分の中に、自分でも思いもしなかった(無意識だった)考えや価値観に出会えたり、答えにたどり着くことができるのです。

これは本当に衝撃でした。


例えば。

「今、あなたの生活の中で欠かせないアイテムベスト5をあげると、それはどんなものですか?」

と、質問されたとします。

すると、あなたは、日々の朝起きてから寝るまでの暮らしを思い巡らし、
その中から取捨選択を行い、ベスト5を選びますよね。

そこから、さらにこんな質問をします。

「あなたが初めて経験した挫折経験はどんなものでしたか?」

すると今度は、今から過去に遡って、かつて経験したほろ苦い思い出を探し始めようとします。
そして「あの経験だったな。。辛……」と、その答えにたどり着いた時には、胸の奥がツーンとしたり、少し呼吸が乱れたり、体感覚として現れたりもするかもしれません。
体は「今、ここ」にあるのに、意識が過去に飛び、その苦い経験を再度味わうことで、あなたはもはや、「今、ここ」ではなく、その時の、その地点、その感覚の中に浸かってしまうのです。


人は投げかけられたり、目の前に現れた問いに対しては、その答えを探したくなります。
それが、空白を埋める、ということです。

さらに、人は、一つのことにしか集中して意識を向けることができません。
その意識を向ける視点を変えることが、焦点をずらす、ということになります。

コーチはそのように、クライアントに対して
・空白を作る
・意識の焦点をずらす

ことをすることで、その人が言葉に出していることの、さらに深いところにあるものを一緒に探求するサポートをします。

では、質問を投げかける時に、どんな軸で焦点を動かしていけば良いのでしょうか?それには、以下の3つの軸があります。

① 時間軸
② 空間軸
③ レベル

それぞれ、こんな感じです。

① 時間軸についての質問
これは、先に事例であげた質問がそれにあたります。
現在から、過去、未来へと焦点をずらしながら、答えを探求していきます。
(質問例)
・そのように考えるようになった、何かきっかけがあったのですか?(過去)
・その時に、あなた自身が声をかけてあげるとしたら、今だったらどのように伝えますか?(過去、今)
・仮に5年後、目標を達成したあなたがいたとしたら、その過程でどのような事を克服しましたか?(未来)

など、客観的に自分をそれぞれの時間軸で見つめることで、
・何がきっかけで、自分の中にそのような価値観を持つようになったのかが分かったり。
・辛かった当時の自分に、今の自分が声をかけることで、その感情や体験が癒されたり、許せるようになったり。
・一歩が踏み出せない今の自分が、少しでも行動できるきっかけを掴めるようになったり。

できるのです。

② 空間軸についての質問
これは、自分に加え、関係している人も含めた視野で、問いを投げかけていきます。
(質問例)
・(最近夫婦喧嘩が絶えない奥さんに対して)旦那さんから見たら、今のあなたはどのように映っていると思いますか?
・(自分を認めようとしない上司がいたとして)その上司の方が、大切にしていそうな価値観はどんなものでしょうか?また、あなたに対して期待をしていることがあるとしたら、そはどのようなことだと思えますか?
・(自分を認めようとしない上司がいたとして2)仮に、あなたが上司の立場だったとします。さらにその上役から相当なプレッシャーをかけられていたとしたら、あなたはどのような精神状態でいると思いますか?

などですね。仮に相手の立場だったらどうだろう?と、今目の前で、あなたの目線で見えている世界から、少し向き合う角度を変えて考えてみると。
不思議と、見え方、その人への感じ方が変化してくることがあります。
いかに、自分の一方的な立場で相手を見ていたか、世界を勝手に作り上げていたか、驚愕することもありました。

③ レベルについての質問
最後は、レベルです。これは、目に見えないもの=表層的なものから、さらに一段深めた質問となります。例えば、行動の奥にある価値観や、目的などですね。
例えば、新規事業のリーダーを任されたが「辛い」「嫌でたまらない」というクライアントがいたとして…
(質問例)
・”新規事業” に抱いているイメージを "新規事業" とは別の言葉で表現するとしたら、どのような言葉に置き換えられそうですか?
・あなたが「新規事業に取り組んだこと」や「リーダーを勤めたこと」で得られる価値、その後の財産につながることがあるとしたら、それはどんなものでしょうか?
・今の状態を克服するために、30cmだけ前に進む行動を取るとしたら、どんなことからとりかかれそうでしょうか?

などですね。
言葉で表現している裏/底には、その人がそう感じるようになった出来事や価値観が潜んでいる可能性があります。もっと言うと、それはその人の思い込みであることもあるのですね。

コーチはそのように、今目の前にいる人に対して、様々な軸から思いを巡らし、問いを投げかけることで、相手はどんどんと、自己探求、洞察が深まっていきます。


私は講座の中で、色々なワークを通して、この問いのおかげで、自分の中にあった無意識化された価値観に気づくことができ、その価値観を持たざるを得なかった事情なども分かって涙することもありました。

それくらい、コーチの投げかける問いには、責任があるのだ、ということも学びました。

そして、この「質問」と「フィードバック」の学びで、一番刺さったことが、「その質問は誰のためか?」ということです。


「目の前の人の課題をなんとか解決してみせよう!」とか
「洞察が深まる、本人だけでは考えられなかったような問いを投げかけてみせるぞ!」とか。
少し大げさに書きましたが、そこに自分のエゴが少しでも入ってしまうと、、それは、全くもってクライアントのための質問にはなっていないのだ、と。

コーチとして腕を上げたい。早く一人前になりたい。
そう感じていた私は、これを聞いた時、この先も深く心に刻んでおこうと思えました。


次回は、そのような「問いの力」を学んでいた際に、壮大な空白として私の中に残った「人生が自分に求めることは?」ということについて、書いていきたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

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