行った:行方不明展
行きました。初日に。
といってもものすごい前から楽しみにしてたというわけでもなく、たまたまこの日に手帳類図書室の予約を入れており、ふとツイッター見てたら初日だったので、じゃあついでにいきましょうかと。
梨さんについては大ファンというほどではなくオモコロの記事になってたら見る程度、国内の有名SCPの作者であるというのは知っている、程度です。
展示内容に詳しく触れるのはまあネタバレなのでそこではなく、私がどう感じたか、というのを記録しておきます。浅いです。
全体の印象としては「SCPだなあ……」でした。SCPってのは「異常」(今の日本人には「怪異」って言ったほうがしっくりきやすいかも)の存在そのものを物語として描くのではなく、それらに接した職員のレポートの形で読み、そのレポートから実際には何が起きていたのか、どういうやりとりがあったのか、どんな人生があったのか、を読み取るというような形態の作品群です。
本展覧会もやっていることは同じで、職員のレポートではなくいろんな遺留品やインタビューで「それ」自体を描かず、輪郭をうっすらはかれるような構成になってて、星座の点の配置とかシルエットアートとかみたいな、あくまで「それ」の外周をたっぷり集めました、だんだん何があって何が起きてきたのかが読み手の中に積み上がっていく……という手法です。
令和のお化け屋敷ってこういう形になったんだなあ、というのが今思うところで。
昭和、平成のお化け屋敷って、「こわいとされるもの」がいかにもって空気で現物が出現したりびっくりさせてきたりだったんですよね。でも今って単なるびっくりは恐怖ではなく「ジャンプスケア」という名称で大きく広まってチャチなものとされてるし(まあ私もそう思う)、「こわいとされるもの」も、科学的な否定だったり元となる現象を指摘されたりで、あんまり怖がる対象になってない。
でもたぶん「怖がりたい」っていう欲求ってうっすらみんな持ってて、そういうとき、令和だと「恐怖の対象そのものではなく、それを感じさせるパーツを用意して読み手の中に構築させる」スタイルが最強なんかしらねえ、と思ったりしました。映画の予告編って、なんかやたら感動するけどその後本編見たら「予告編見て自分の中で勝手に組み上がった本編の方が感動できたな」みたいなことあるじゃないですか、なんか、ああいう。
展示の内容としては「行方不明」で想起させるいろんなもの全部断片にして詰めましたという丁寧さと「これ、モノありきでストーリー組み立てた二次創作だな、楽しそうだな」という気持ちと、あとやっぱ、全4部構成なんですけども、きっちり起承転結でまとめてきてんのが安心〜〜ってなりました。
第一部では提示、二部ではその広がり、三部では「そうはいうけどさ」という、ちょっと「あの世界」の「それ」を成したこと、成してしまった人たち、残された人たちの様子の違ってくる気配(ここが一番好きかも)、そして「でもそういうことはあった」みたいな四部。
ネットロアの世界では「それ」の有無だけが取り沙汰されがちですけども、でも大きな出来事の後にも人生は続く、みたいな、そこに視点をあてた、そういうのよかったな〜〜。私はおにいちゃんにあてた手紙の入ってた財布が好き。
よかったな、いい展示だったなと思ったんですけどもツイート検索すると「あれからずっと怖い」みたいなポスト多くて、そ、そっか。私は「SAW」一作目でも「人間讃歌のバディものじゃん」と言ってたからな、そっか。
展示としては導線がちょっとよくないというか大人数が回遊することを想定してない感じのやつがところどころにあったのが残念かも。数人だけで、それこそお化け屋敷みたいにこわごわ入っていくならああいう場所にああいうもの置くのってすごく雰囲気あっていいと思うけど、展示会では向いてなかった。給湯室のアレの話をしています。
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