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コーヒー沼のふちで沼と依存の違いを考える

うっかりコーヒーを豆で買ってから「もうコーヒー、粉で買えねえ……」となりました。

二週間前か。

沼人のプレゼンは楽しい

で、「細挽きと粗挽きでも味が全然違う……粗挽きでイマイチだった豆が細挽きでおいしい……ミルが変わるともっとかわるのか……?」と思い、近所のコーヒー専門店でミルエリアを見てたら店員さんに話しかけられて、そこから講義というか「買い揃えていくならこのへんがおすすめ」のプレゼンを受けました。
なんかビックカメラの店員みたいな詳しさと引き込まれる話術とわかりやすさと熱意で、「すごい店員だ」と思ってふと名札見たら「店長」って書かれてた、そっかー。たまにテイクアウトのコーヒー買いにきてたけど、その時にいたシニアな人が店長だと思ってた、こっちかーー。

で、いろいろ教えてもらったんですね。ミルは5桁行くクラスだとコーヒー豆をすりつぶすのでなく「切る」ので手応えが全然違う、そこ以下だと正直どれでもそんなかわらない。この辺の価格帯の違いはほとんどガワとデザイン。だから「5000円くらいのミルでも買ったほうがいいのかなー」なら、炉リッパー変えたほうがいいですよー、と。500円前後で違う味わいになるので、と。

ドリッパーにそんな深い世界が

ドリッパーで……? と半信半疑だったんですがそこでも理屈と違い、仕組みについて教えてもらって、はーーーなるほどそりゃ違うわ、そっかーーとなりました。ドリップ穴がいろんな場所にあったり数もサイズも全然違ったりする。側面にドリップ穴がついたやつがおもしろくて味の違いもわかりやすそうなので購入。今使ってるやつ? ダイソー製です。

↑この記事がわかりやすかったです。右端のハリオの穴がでけえやつは「プロなら七色の味にできる」とまで店長さんがおっしゃってて、(書道用の筆でペン入れする漫画家みたいなもんかなあ)と思ったりしました。

豆の挽き方、ドリッパー(私がはっきり「別物」と思えただけで5つくらいあった)、フィルター(純正とそれ以外とか紙と布とか)、豆の焙煎具合(7段階くらい選べた)。あとドリップでなくサイフォンとかフレンチプレスとか……同じ豆でもこれだけ差異を出せてしまう、恐ろしい。紅茶のほうがぜんぜんイージーじゃん。セイロンアッサムダージリンの分類、コーヒーに比べたら全然イージーモードじゃん。入れ方も一定だし茶葉に手を加えることもないし。

これが「沼」かあ

ていうか「インク沼」とか言うけど、わたしもインク沼を警戒してたけど、(今は結局赤黒くらいしか使わない)コーヒーに比べると沼でもなんでもねえな……などと思ったりしました。だってインクってコーヒーに比べるとやってることはコレクターだし。万年筆で使うかガラスペンで使うかくらいでしょう。コーヒーは確かに沼だ……

で、思ったんですけど、「沼」って軽率に呼んでるもの、それ実は沼じゃなくてただの消費への依存なんじゃねえかってケースもまあまああるな、と思いました。金とポリシーがある人が集める「コレクション」と、沼と呼んでいる消費への依存は別物。

沼、こうあってほしい

沼って「試行錯誤すべきことがたくさんありすぎて抜けられない場所」のことのような気がするし私はそうであってほしい。宝石やバッグといったわかりやすい単価の高い買い物依存ではないだけに、グッズ一つ一つは3桁だったりもすることも多いから「買い物依存症」として扱われることがないけで、実は立派な買い物依存なのでは。それが「沼にハマってる」と表現されることで、時として若い子がロールモデルにしてしまう、憧れてしまう、そういうの、なんか、あれだよなと思うんですよ。

でもそれって私が「沼」という状態に理想を押し付けてるだけであって、オタクはこうあってほしいと思ってるだけで、やっぱり「沼」ってグッズをいっぱい買うこと、というのが一般的だし当人たちもそのつもりだったりするんでしょうか。絶対に一位になると信じていたクマリーノが落選したことで私はもう自分の感覚が信じられないです。

コーヒーに話をもどすと「酸味が強い豆が好み」っていうのが通っぽくてかっけえなあと思うのでそういうの試してみたいんですが、しばらくはミディアムな普通豆でドリッパーあれこれしてみます。

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