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読んだ/ネットワーク・エフェクト

なんか妙に時間かかってしまったけど読了。
「マーダーボット・ダイアリー」シリーズ三作目、ネットワーク・エフェクト。このタイトルだけだと技術書がすごくヒットする。

今回も よかった よかったな……
どうも技術的な話まわりになると読み飛ばしがちだったり新しいSF用語の脳内アップデートができてないのでちょっと言葉の意味を読み込むのに手間取りました。

むかしのSFはAIやロボットが手足として使うツールのこと「サーヴォ」って呼んでた印象なんですが(歌う船シリーズとか)、本作は「ドローン」なんですよね。あとサブスク時代なので膨大なドラマのストレージとかも出てくるし、常に繋がったslackやtwitterのような「フィード」という空間を登場人物全員が共有しており、描写だけだと全員テレパス持ちみたいに見えるのもなんかおもしろいところです。

で、そういう技術まわりは読み飛ばしがちなんですが、機械(ボット)であるところの主人公や友人のAIや人間たちとのやりとり、これが読みてえーーというところもふんだんにあるのがこう、いいです。
変な言い方ですけど、いろんな技術や展開だけでもおもしろSF活劇としての本筋は成り立つんですけど、そこに上質な二次創作のような感情のあるやりとりががっちり添加されてるのが本作の魅力というか。
あんまり作者の性別であれこれ分類するの不粋ですが、これ、著者が女性だからかもしれないなー。

このnoteでマーダーボット・ダイアリーに触れたことはたぶんなかったので軽く説明すると、主人公は保険会社の備品の警備ユニットです。半分が人間の素材、半分が機械、本書の単語では「構成機体」。惑星探査や調査の部隊が導入する保険の加入条件の一つとして警備ユニットの同行というのがあります。
翻訳では主人公は自分のことを「弊機」と呼びます。弊社御社のやつ。

警備ユニットはもちろんでかい火力をもっているので保険会社の「統制モジュール」で脳に輪っかがはめられています。本社のルールに反すると焼かれる。
が、いろいろあってこの主人公は自力で統制モジュールを秘密裏にハッキングして自由の身になり、でもなにやろっかなーというところでまず人間の作ったドラマを数百時間味わい尽くし(海外ドラマだから五百話とか普通だよ!)、そこで「自分は人間を警備したい」という自分の欲求をみつけ、モジュールのハッキングなんてしてませんよという顔で本社の指示通りに過ごしている……というのが一巻の時点の設定です。

この警備ユニット、とにかくドラマが好きで、高い演算能力を使って顧客と会話してようが接敵中だろうが「そうしてるほうがむしろおちつくから」と裏でドラマ見続けてます、ツイ廃みてえなやつ。
でもって、ドラマ好きで人間の警備が欲求であるんですが、人間嫌いです。

終盤、いろいろあって人間に「あなた、人間になりたいのよね?」と優しく語りかけられ「は? まじでありえんが? なんで人間ってそういう考えするわけ? そういうところが無理なんだが?」とドン引きするシーンとかもある。

本作はボリュームのある長編だったけども4巻は短編集だったのですぐ読めるきがする。読みます。

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