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KADOLABO 004 Dark Entries 1, 005 Dark Entries 2


004 Dark Entries 1
005 Dark Entries 2

諸言

バニラは、世界中で広く知られ、幅広い用途に利用されている貴重な植物の一つです。独特の香りと風味により、食品・医薬品・化粧品などの産業において重要な役割を果たしており、経済的な価値も非常に高いとされています。
バニラは、主に熱帯地域に自生する蔓性植物であり、バニラ属(Vanilla genus)に属します。その特有の香りは、香り成分として知られるバニリンによってもたらされます。バニリンは食品や飲料の風味付けにおいて広く用いられる他、医療分野においても抗酸化作用や抗菌作用を有するとされ、伝統的な薬草としても長らく使用されてきました。
バニラは、バニリン以外にも誘導体やエステル化合物など様々な香り化合物を含み、バニラの他の化合物と組み合わさることで、複雑な香りプロファイルが形成されます。バニラの香りは、単一の化合物ではなく、複数の化合物の相互作用によって生み出されるため、その豊かさと複雑さが実現されているのです。
バニラの栽培は、古くから行われてきました。しかし、その生態学的特性と栽培方法、そして収穫後の加工・発酵プロセスは地域によって異なり、それゆえバニラの品質や特性には多様性があります。
今回はバニラの産地による違いを感じられるように、異なる2つの産地「コモロ」と「バヌアツ」で栽培されたブルボン種のバニラを同じビールに浸漬することで、2種類のビールを作りました。
ブルボン種のバニラはバニリン由来のバニラらしい甘くてクリーミーなキャラクターが特徴的ですが、コモロ産バニラとバヌアツ産バニラは特にこのキャラクターが強く世界的に評価されている高品質のバニラです。コモロ産バニラはバニラらしい甘い香りに加えて、フローラルなニュアンスを含み、一方バヌアツ産バニラはトロピカル、フルーティな香りを含むと言われています。
バニラ以外は全く同じプロセスで製造した2液種のビールを飲み比べることで、バニラの産地独特のキャラクターを検証します。

方法

まず、原酒となるインペリアルスタウトを醸造しました。
木樽熟成を予定していたため、バレル由来のタンニンとのバランスを想定し、ボディ・マウスフィールを高めるために、オーツモルト、フレークオーツを多く配合してタンパク質やグルカンを多く含む麦汁を生成し、さらに乳糖をワールプールで加えました。
約1カ月間じっくりと発酵させ、発酵副産物のプロファイルが落ち着くのを待ったうえで、バーボンバレルへとビールを充填し、バーボンバレルでビールを寝かせました。
約半年後、熟成を経たいくつかのバレルのサンプルをテイスティングしました。
テイスティングした中で、最もチョコレートとバニラのニュアンスが強いバレルを1つ選び、バレルから2つのステンレスタンクへとビールを100Lずつ移送しました。
片方にはコモロ産のバニラを5本、もう片方にはバヌアツ産バニラを5本、スライスして投入しました。
7日間ビールに浸漬させたら、バニラを取り除き、ビールをボトリングしました。

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