見出し画像

【祝・直木賞ノミネート!】岩井圭也を初めて読むならこの6冊

『われは熊楠』(文藝春秋刊)で第171回直木賞にノミネートされた岩井圭也さん。
デビュー以来、ジャンルを問わず次々と話題作を刊行しつづける岩井圭也さんの作品の中から「初めて読む人におすすめしたい小説6選」を、著者の岩井さんのコメントとともにご紹介します!


岩井圭也を初めて読むならこの6冊(著者コメント付き)

『永遠についての証明』(角川文庫刊)

圧倒的筆致で天才の青春を描いた野性時代フロンティア文学賞受賞作

圧倒的「数覚」に恵まれた三ツ矢瞭司、同じく特別推薦生として数学科に入学した熊沢、佐那の3人は、共同研究で画期的な成果を上げる。瞭司が初めて数学の美しさを他者と共有できた瞬間だった。しかし瞭司の才能は、築いた関係性を破壊していく―瞭司の死から6年、熊沢は遺されたノートに、未解決問題の証明らしき記述を発見する。第9回野性時代フロンティア文学賞受賞作。

カバー表4あらすじより引用

著者コメント
強烈な思い入れのあるデビュー作であり、才能を巡る悲劇や過去との対峙など、今につながる要素が凝縮された一冊です。

『夏の陰』(角川文庫刊)

殺人犯の息子と被害者の息子、交わらぬ二人が相見える時。罪と赦しの物語

自分が認められることなどあってはならない。殺人犯の息子なのだから――。息を潜め生きてきた岳を導いてくれたのは、中学時代、ボランティアで剣道を指導してくれた柴田だった。やり場のない気持ちを剣道にぶつけてきた岳は、父が殺した警察官の息子・和馬と遭遇する。既に剣道で名を馳せる和馬との接触を絶とうとする岳に、柴田は「最後に岳の試合を見せてほしい」と言い……思わぬラストで涙腺が決壊する罪と赦しの物語。
(カドカワストアより引用)

出版書誌データベース(Books)より引用

著者コメント
学生時代、小説と同じくらい熱中していた「剣道」をテーマに、加害者家族と被害者家族の人生が交錯する一瞬を描きました。

『文身』(祥伝社文庫刊)

この小説に書かれたことは必ず実現しなければならない。
たとえ殺人であっても――。
新感覚ミステリーの傑作、ここに誕生!

己の破滅的な生き様を私小説として発表し続けた文壇の重鎮、須賀庸一。彼の死後、絶縁状態にあった娘のもとに、庸一から原稿の入った郵便物が届く。遺稿に書かれていた驚くべき秘密――それは、すべての作品を書いたのは約60年前に自殺したはずの弟だということ。さらには原稿に書かれた内容を庸一が実行に移し、後から私小説に仕立て上げていたという「事実」だった……。

祥伝社オフィシャルHPより引用

著者コメント
ジャンルという意識がなかったからこそ書けた小説です。この本を出したことで、「作家」という意識が固まったように思います。

『横浜ネイバーズ』(ハルキ文庫刊)

金なし、夢なし、やる気なし。それでも……。横浜中華街に等身大のヒーローがいた。

横浜・中華街、四川料理の名店「翠玉楼」は来月で閉店を迎える。いずれはオーナーの座を継ぐつもりでいたロンこと小柳龍一は当てが外れ、毎日することもなく、ぶらぶらと暇を持て余していた。二十歳を超えたからって、まだ将来なんて決められない。そんな働く気も夢も、何もない彼の元に次々と厄介事が持ち込まれる。それはロンが〈山下町の名探偵〉と呼ばれていたからだ。「何も手にはもっていないけれど、それでも」──大きな共感を集める等身大のヒーローが誕生!

角川春樹事務所オフィシャルHPより引用

著者コメント
書いていて一番楽しい小説だったかもしれません。軽く、それでいて心に残るような読み味を目指しました。

『われは熊楠』(文藝春秋刊)

第171回 直木賞候補作
奇人にして天才――カテゴライズ不能の「知の巨人」、その数奇な運命とは

「知る」ことこそが「生きる」こと
研究対象は動植物、昆虫、キノコ、藻、粘菌から星座、男色、夢に至る、この世界の全て。
博物学者か、生物学者か、民俗学者か、はたまた……。
 
慶応3年、南方熊楠は和歌山に生まれた。
人並外れた好奇心で少年は山野を駆け巡り、動植物や昆虫を採集。百科事典を抜き書きしては、その内容を諳んじる。洋の東西を問わずあらゆる学問に手を伸ばし、広大無辺の自然と万巻の書物を教師とした。
希みは学問で身をたてること、そしてこの世の全てを知り尽くすこと。しかし、商人の父にその想いはなかなか届かない。父の反対をおしきってアメリカ、イギリスなど、海を渡り学問を続けるも、在野を貫く熊楠の研究はなかなか陽の目を見ることがないのだった。
世に認められぬ苦悩と困窮、家族との軋轢、学者としての栄光と最愛の息子との別離……。
野放図な好奇心で森羅万象を収集、記録することに生涯を賭した「知の巨人」の型破りな生き様が鮮やかに甦る!

文藝春秋オフィシャルHPより引用

著者コメント
デビュー前から南方熊楠についてはいつか描きたいと思っていたので、こうして形にできたことで、作家としての1つの目標を果たせた気分です。

『科捜研の砦』(KADOKAWA刊)

著者最新作!
たとえ神に見放されたとしても、科学は彼を裏切らない

科捜研トップと言われる鑑定技術力と幅広い知識、そして、信じられないほどの愛想のなさで警察内部でも有名人の土門誠。科学鑑定に並々ならぬ熱意を捧げ、「科捜研の最後の砦」と呼ばれる土門は、遺体や現場に残された、少しの違和感も見過ごさない。そこに隠されているのがどれほど残酷な事実だったとしても、土門は必ず真実を追究する――。

出版書誌データベース(Books)より引用

著者コメント
元理系研究職というバックグラウンドを活かしたミステリーです。一風変わった科捜研職員・土門誠の活躍をご堪能ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?