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五島市の人口ビジョンから考えます

こんにちはカドジュンです。私はたしか2016年から五島市の総合戦略策定の委員をやっています。島の重鎮や各業界の代表などそうそうたるメンバーのなか、若造らしく生意気なことばかり言っています。一本釣り(委員に推薦していただいた)してくれた市の職員さん、ありがとうございます。でも報酬分は発言していると思いますので、カンベンしてください(笑)。

先日、第1期戦略計画の検証が行われました。本題よりも当日配布の人口ビジョン統計資料が興味深かったので発言しました。

画像は五島市の人口ピラミッドのグラフです。日本のピラミッドのかたちは、65-69歳の第一次ベビーブームいわゆる団塊世代の山があり、45-49歳の山(第二次ベビーブーム)があります。しかし、五島市にはその第二の山がないのです。原因は島外への流出です。もともと五島列島には大学・短大・専門学校がないため、高校を卒業した後の進学はすべて島外になるのです。さらに、いちど島外で就職したらなかなかUターンはしません。時代的には、中学や高校を卒業後すぐに島外へ就職するケースも多かったです。

まず2025年問題は、団塊世代が後期高齢者(75歳以上)になり医療や介護にとっては需要が増して、供給が追い付かないことです。一般的にはそこを支える主力となるのは、団塊ジュニアである第二次ベビーブーム世代なのですが、五島市にはそのセグメントに人がいないのです。つまり団塊世代の介護を支える中心世代が欠落しており、当事者世代を含めた幅広い層が担わないといけないことになります。しかも市内の介護事業者も休廃業などしており、専門的な受け皿も減少している状況です。これからの10年は高齢者人口も高い水準が続き、どんな社会になるのか空恐ろしいものがあります。
そして2040年問題(第二次ベビーブーム世代が75歳以上になるが、そこを支える第3の山がない)も取りざたされていますが、五島はそこが抜けています。となれば、どういう未来が予測されるのか?

五島市においては、第二次ベビーブーム世代が多いわけではないので2040年問題をそこまで重視する必要はないかもしれません。むしろ2020年代、高齢者施策にかなりの労力を注がなくてはいけないかもしれないのです。せっかく毎年移住者が200名を超え、昨年度は社会増(転出よりも転入が上回った)したのに、そのリソースを島の発展というか成長や充実に100%力を注げない恐れがあります。

人口減少社会において全国的な撤退戦がおこなわれるなか、国境離島として重要な意義がある五島列島は、なんとか生き残らなければならないと個人的に考えています。五島市が状況をどう分析し、どんな方向へ導くのか?これからの10年間、本当の意味での正念場を迎えると予想しています。

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