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【アイドルマスターシャイニーカラーズ】車輪の唄。【はこぶものたち/感想】

我慢できないんだもう

いつも通りネタバレを多分に含みますので読んでない方はご注意ください
個人の感想なので、これは違うな、と感じた場合、あなたの意見を大切にしてください
試験的にスクリーンショットを使って画像を表示してみました










283をひろげたその先に


リプライパーティーで283プロダクションを広げていこう!というイベントを経て、リアルでもダースコラボが発表されたタイミングでこれ
ロードマップが綿密に計画されてるんだなあという実感がありますね
4thライブ前の盛り上がりなのでしっかり計画しているんだろうなあという印象
……それはそれとして内容を踏まえると前フリがしっかり効いていて人の心ないんか?という感じですけど!

急成長中のフードデリバリーのCMに真乃が選ばれるというのは「拡大していく283プロ(シャイニーカラーズ)」の象徴としての描かれ方をしてるなあという感じ

ただ大きく広げた翼が何物にも触れずに羽ばたいていけるような扱いをしないのがシャニマス君の厳しいところでもある
そういうイベントだったように思います

受け手によって変わる色

イベント全編を通して徹底して、物事には受け取り方次第で正の面と負の面が存在する、という描写を連続で叩きつけてくるのでもう前が見えねえ
それはフードデリバリーサービスであり
顧客へのディスカウントサービスであり
環境に配慮したモノづくりであり
アイドルの仕事ですらそうである
というところから逃げていない
というか主眼がそこに置かれているので繰り返すことによって強調しているというのが狙いかなーと

その二面性について回る諸々を、物事に対する肯定否定の理由付けにしていないのも個人的には好感の持てるポイント

「みんなのためを思ってしていること」だから「正しい事なんだ」
というような導線は(後半を見る限りおそらく意図的に)置かれていないと思います
逆もしかり

とにかく今回は「命題に相対し続ける」ことがテーマになっているので、高山Pの言うように「難しいお話」で結論を出さないことが肝要になってるんですよね

「誰かのために」の先に

そして、みんなが誰かを思った先にあるはずのイルミネの仕事、ハーフタイムショー

そこにいる誰もがお互いのことを思いやって成し遂げたはずの仕事が、成功裏に終わってなお受け手の間に不和を生み出す

これは本当に残酷で厳しいけど、彼女たちが翼を広げていった先には絶対に待ち受ける現実でもある
アイドルは単純に自分たちのファンに向けて自分たちの歌を届けているだけではもはや成り立たない時代が来ている
それは商業的、資本主義的な意味でもそうだし、まだ見ぬ誰かのことを思う先に選ぶ道でもあるけれど

バニー夏葉【AKQJ10♡】のコミュでも触れられたように、違うクラスタの接触は時に痛みを伴うこともある
あれもカードコミュではあるけど重くて、でも大事な話でした

「クラスタの違い」という広告マン氏の見解はおそらく的を得ていて、実際に起きていたことも言ってしまえば炎上にもなっていないような「小火」のような軋轢でしかなくて
あまりにも我々プレイヤー側にとってもなじみ深い小さな対立

咎められるような罪があればよかった
それを起こしたもののせいにすればいいだけだから

けれどそれは誰が悪いわけでもなかった
その場に存在した「マナー」や「空気」の違い、「温度差」というささやかな差異が、SNSを始めとした「個の発信」を経由して縒り合されて、「居心地の悪さ」を作り出していく

本当に見覚えがありすぎて気分が悪くなってくる人もいるんじゃないかなーここの描写

誰にメッセージを届けるわけでもなく不満をつぶやく人、いたたまれずに仲裁に走る人たち
そして、誰ともなしに責任転嫁が始まり「主犯」が決定されていく流れ

インターネットの解像度が高い、というのはまあ個人的には定型文的に使っていて。賞賛8割恐怖2割くらいの割合だったんだけど、
手加減しなければこれくらいの描写が飛んでくるんだという事実で恐怖3割くらいになったよ…

その時プレイヤーの脳裏には、その「主犯」「強引に客寄せを始める無理解なフロント企業」の社長がスタジアムにて真乃に語った理想がフラッシュバックしたはずで、
それは自転車事故の背景に明るいコマーシャルが流れる衝撃的な(アイドルの謳う希望のメッセージを現実の残酷さを際立たせる対立軸に用いるのはもはやホラー)演出の脳内リフレインを企図している雰囲気がある
読み手への信頼が篤すぎないか

「届ける人」へのメッセージ


「応援」

それらの「ボヤ騒ぎ」は言ってしまえば見なかったフリができることでもある

それでもイルミネ、そしてPはその二面性を正面から受け止めて、考えていくことを選ぶ
スタジアムで迷った真乃が試合前のチームとすれ違って「自分が目を向けていなかった誰か」に気付くシーンがここに流れてくるわけよね
自分たちではない誰かを応援しに来た人たち
彼ら彼女らをイルミネーションスターズは正しく「応援」できていたのか

鬼か?

復刻がStar n dew by meの時点で踏まえたシナリオにはなるだろうと思っていたけどここまでとは…

…鬼だな!


考え続けることにこそ



「未来にしていく」という表現は、エモーショナルさこそ控えめであったものの、宝石のようなきらめきが見えた

そしてその先、お互いがお互いに自分を責め合う悲痛な報告会を経て、3人が気付いたこと

それは「自分のため」を否定しないこと。

後半の報告会でイルミネ全員がそれぞれに他の二人を動機にしていたことに言及する
これ自体も「二人の隣」を定義したイルミネーションスターズにとって自分たちの見出した哲学を根本的から揺さぶられるような問題提起で

そこで気付くのは、「自分がしたいかどうか」の優先順位を下げてしまっていたということ

利己と利他、その「両輪」のどちらがおろそかになっても、コミュニケーションはいつか破綻する

「両輪」

ここで、(今回の作中内での)フードデリバリーで用いられるのが「自転車」であることに気付いたときは本当に十数分頷きっぱなしになってしまったんじゃよ……

「自分が何をしたいか」と「みんなのために何ができるか」という二つの車輪と、それに乗り、漕ぎ、ハンドルを導いて進む誰かがいること

テーマとシナリオの融合という観点から見た場合「はこぶものたち」は美しくまとまりを見せたと思う

シャニマスのイベントって普段からメインのテーマに沿うような状況設定だったり人物、小道具を持ってきて上手い事溶接するのが得意だと思うんだけど今回は本当にシャッポを脱いだわ…

そして、今ここにいない「君」を思うことこそが、「広がっていく283」であることに他ならない
これはイルミネに務めてもらうしかないイベントだったな、と深く感服した次第

いつもの



今回は内包する問題があまりに現実に寄り添いすぎているので、何度も咀嚼するたびに違う味が出てきそう

追記があれば書きます

この記事もゴー・オン!にしておきたいので

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