死と再生――大きな木が教えてくれたこと――
その木は
自分の大きな体を支える
体力がもうなかった
生きていく気力を
失っていた
長年寄り添うように側にいた家が
ある日突然壊されてしまった
自分の中にぽっかり
空洞ができた
空洞は無数の虫を呼び寄せた
自分の体を食い尽くす虫を
木は静かに息を吐き目をつぶった
生きるためには
一度自分を殺さねばならぬ
根元からすっかり幹を斬り倒すのだ
根が死んでいればそこで終わり
生きていれば
切り株から一本の細い枝を
伸ばすだけの体力はある
悲しみに支配されると
人は魂の死を迎える
それまでの人生を一旦全部捨てて
暗黒の中に一点の光が見えたとき
人は光に向かうことができる
これは少し前に書いたものです。
取り壊された家の主だった人は、昨年亡くなった私の魂のパートナーでした。この大木の空洞と私の悲しみが、大木がシロアリに襲われたことと私の体調不良とが非常に象徴的に、時期的にも完全にリンクしているという不思議な出来事でした。
(406文字)
わかりやすいシンクロをもって木が私に気づかせてくれました。私はどうにか立ち上がり、木も救うことができました。その直後に、ひとつの出会いが用意されていたのです。
(2023/8/5 13:30追記)
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