出くわした よごれた十字路にシャボン玉

高校時代の男友達と久しぶりに会った。
上野の居酒屋でもつ鍋を食べながら近況報告をして、アメ横へ出る。

アメ横、とってもカオスだったなぁ。これがアジアの夜!って感じで、コロナ対策なのか屋台風に外で飲めるように通りにテーブルを出してるお店が増えていて、どこの卓も酒気帯びた大人たちでいっぱいだった。おばちゃまが叩き売り風に声を張り上げている店先に並んでいたのは果物とかじゃなく、"豚の顔"なる茶色い肉厚のものだった。せんちひ(千と千尋)みたいだった。
人混みすごいねー!笑と進んでいくと、飲み屋通りが縦と横でぶつかる十字路に出くわす。なぜかシャボン玉がいくつも浮いていた。人混みの中にちっちゃいのがプカプカ。だれが吹いたの、、、?あのシャボン玉特有のオーロラみたいな色にはひかってなくてシンプルで、とびきり綺麗というのじゃなかったけど、でもなんだか良かった。正面から歩いてきた女の子二人組が腕を組んで、「こわいこわいこわい!w」と何かをこわがりながらそのシャボン玉の中をつっきっていった。楽しそうだった。パチンコ屋から、オルゴールバージョンのクリスマスソングが流れていた。"we wish a merry x'mas"のやつだった。

友達はちょっと面くらいつつ、クリスマスだからねぇと言い、私も、そうだねぇと返す。
あー、ずっとアメ横に居たいくらいだったな。よくわからないけれど、年末が近づくクリスマスの街は、こんなふうに楽しくなくちゃ!って思った。

駅へ向かう途中に上野公園へ入ったら、あたりはイチョウの絨毯。やさしいかたちの黄金色の葉が地面いっぱいにしきつめられていて、街灯につかず離れず、私たちはモフ、モフ、と踏みしめていった。この落ち葉の中にダイブしたいな、って思ったけれど一応やめておく。

彼は今年の春に転職して今は郊外の街の役人さんをやっていて、その仕事の話を聞いたりした。一歩会社を出ると市民の目に監視されている気分になるらしく、この前は、社用車の中でお水を飲んでいただけで通報されたらしい。
もー、きびしいんすよー。
な、、、なにそれ、、、どういうこと、、、?やさしい世界になるべきだよ、、、。
そんなことや、同じクラスだった時のかがやかしい文化祭のこととか、色々喋りながら歩いた。

空気が綺麗だったみたいで、上野の広い空には星が幾つも見えた。
小さく並んだ粒みっつ、その近くにひかる赤、青の星がくっきりしていて、オリオン座があるのもわかった。"真冬のオリオン"という曲を覚えて一緒に歌おうと言ってくれたシンガーソングライターがいたことを思い出したりした。彼が音楽の世界で生きてて、ライブしたり遠征した日に呟く 本当にしあわせ!って伝わってくるようなツイートを見るのは、私の人生の励み。長い時間をかけても、最後に自分の場所を見つけた人はかっこいいな、と思う。

もつ鍋をよそってくれる時、アメ横で人をよけて歩く時、今までよりもずっとずっとふれられることが多かった。転職する前の会社で人生ではじめて挫折したこととか、今の悩みとかを聞いていたから、友達は今、ちょっとサミシーのかもなぁ、と思った。

お互いミスチルの「くるみ」が好きだということが今日わかった私たち。えー!いいよね!!!沁みるよね!と笑いあった。
大人になってもハグルマになっても、あの頃みたいにいいことはまだまだこれからあるよ!

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