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世界最強の闘犬?!ピットブル

「もしもし?河合さん?ちょっと会って欲しい犬がおるねんけど。」


かなりご無沙汰していた知人から、突然かかってきた電話の内容がこれであ る。


「ピットブルの子犬やねんけどな。飼ってくれる人を探してて......。」


事情を聞いてみると、知り合いがブリーダーさんから購入したものの、どんど ん大きくなってしまい、里親さんを探して欲しいと預かっているらしい。 ピットブルは普通の人が飼うのはかなり大変な犬種である。

“筋肉質で力が強く、身体能力は高い。必要運動量は膨大で、毎日 2 時間以上の運動を1~2 回必要とする。
闘犬の一種であるため、突発的な攻撃性も含めて飼育者およびその家族の完全な制御 下におく必要があり、犬の飼育初心者や興味本位で飼育するのは困難である。米国疾病 対策センター (CDC) の調査によると、1979-1998 年の 20 年間における犬を原因とす る人間死亡事故 238 件のうち、犬種別で 1 位(66 件)に位置した[3]。また、同国の 2012 年時点の調査では、飼育犬中の占有率が 6%なのに対し、死亡事故原因の 61%を占め た。被害者のうち半数は飼い主と家族、もしくは同居人である[4]。
我慢強く、飼い主に対しては忠誠心と服従心が強い性格であり、忠実なペットにもなると いう意見もある。
なお、現在ピットブルはショー・タイプ、闘犬タイプ、ブリー・タイプの 3 タイプに細分化され つつある。また、ウェイトプルなどの競技(重量引き)に使用されている大型のタイプもあ り、大きな個体では 60 キロを超えるものも存在する。”   (出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

なかなか新しい飼い主さんは見つからないかもしれないな......という気持ちも あり、一度そのピットブルを見せてもらうことにした。
知人の自宅にいたその子は、きょとんとした顔をした生後半年の子犬だった。 トイレもちゃんとできており、性格も良さそうな女の子だ。


「この子、めっちゃ賢いねん。河合さんがトレーニングしてくれたら絶対いい 子になると思う!!」

めっちゃ推すやん(笑)でもね、うちはペットホテルに犬の幼稚園もやっている。 そう簡単に「じゃあもらって帰るわ」ってわけにいかないのよ。

一旦、返事は保留させてもらうことにした。
そして、ドッグトレーナー である夫と真剣に話し合いをする。

 “先住犬との相性はどうなのか?”
“他の犬に対して友好的か?” “ピットブルのような大型犬を飼育するスペースがあるのか?” “トレーニングをして、しっかりコントロールできるのかどうか?“


幸い、まだ生後半年ということだったので、トレーニングをしっかりしていけ ば大丈夫なのではないかということで私達夫婦の意見は合致した。
他に引き取りたいと言っている人がいるらしかったが、繁殖目的だったり、結 局また手に負えないと手放されたりすることもあり得るので、うちで責任を持 って引き取る覚悟を決めた。


知人に「うちで引き取る」ということを伝えると、すぐにたくさんの嫁入り道 具と一緒にそのピットブルを連れてきてくれた。


最初の飼い主から、知人宅。 そしてうちへと短期間でお家が変わってしまい、大丈夫かしらと心配したのだ が、この子は全然気にしていない様子で、相変わらずきょとんとしていた。


うちに来たからには、うちのルールに従ってもらわなければならない。 お客様も毎日いろいろな人や動物がやってくる。 生後半年ということで、避妊手術のタイミングも考えていかなければならな い。 やることは山積みだが、モタモタしていると子犬はすぐに大きくなってしま う。 夫婦でしっかりとスケジューリングをしながら、このピットブルを育てていか なくては。

ペットをお迎えしたときに、飼い主さんがペットに贈る最初のプレゼントは 「名前」である。 いろいろと考えたのだが、このピットブルには「ガブリエル」という名前をプ レゼントした。
三大天使の一人だし、ガブリエル・シャネルも素敵である。 何より「ガブちゃん」という呼び名が、彼女の大きな口にぴったりだと思っ た。


ガブちゃんはお利口な犬だった。 こちらの言っていることを、耳を動かしながらちゃんと聞いている。 教えたことも、すぐに理解して忘れない。 動物病院でも「ピットブル初めて診察します......」という獣医さんに愛想よく して、診察も大人しく受けていた。


ところが、そろそろ避妊手術をしようかと思っていた生後7ヶ月のころ。 注意すると、唸るようになってきたのである。 特にキッチンで食べ物を狙い、それを注意すると「ウウ~ッ」とヤバイ顔で威 嚇してくるようになってしまった。 これではいかんと、こちらも強気で怒った瞬間、カブちゃんが私の手に噛み付 いてきたのだ......!!
幸い、肉を食いちぎられたりはしなかったが、私の手の甲は緑色に内出血をお こし、⻭形がクッキリついていた。 噛まれた直後は、痛みで痺れて手が動かなかった。 あの大きな口と強靭な顎で噛まれたのだから当然だ。 本気で噛まれていたら骨折していたかもしれない。 そこはガブちゃんなりに手加減してくれたのだろうと思う。


犬の生後7ヶ月〜1歳の頃は、ちょうど反抗期の時期だ。 ここをうまく乗り切らないと、犬と飼い主の関係性が悪くなってしまうことも ある。
怒るだけではなく、こちらも冷静に対処するようにする。 キッチンには鍋やお皿などを出しっぱなしにしないようにして、気をつけるよ うにする。 食事量が足りていないとイライラするため、食事量と食事内容を見直し、タンパク質量を増やすようにする。
そして、避妊手術も済ませて、傷がきれいに治った頃には、穏やかなガブちゃ んになったのだった。


ピットブルとの付き合い方は、普通の家庭犬とは全然違う。 食事も、散歩も、トレーニングも、日々の対応も毎日が勉強である。 ピットブルはとにかく頭がいいので、こちらがしっかりしないといけないの だ。
最初の飼い主さんは、生後半年の段階でそのことに気がついたのだろうと思 う。
子犬の時は、みんな可愛い。
「私でも飼えるかしら」と思ってしまう。 ピットブルは筋肉質な体のため、体重も重い。 ガブちゃんも最初は抱っこできるくらいのサイズだったが、
今はもう30kg 近い体重なので、抱っこは無理である。


ピットブルとの暮らしは大変なことも多いけど、引き取ったことを後悔したこ とは一度もない。 ガブちゃんの笑顔や、寝顔をみていると「やっぱり可愛いねんな」と思ってし まう魅力がある。
でも、忘れてはいけないのは以下のことである。


「ピットブルは世界最強の闘犬らしい(闘犬であることは間違いない)」 「海外では“危険犬種”として飼育禁止の地域もある」 「大きくなる。力も強い。」
「咬傷事故も多い(2020 年 7 月に千葉の事故あり)」


ピットブルは穏やかな性格の子が大半で、とても賢い犬だ。 けれども、海外で飼育が禁止されているところがあることも事実なのである。 もし、一緒に暮らしていく中で問題点を感じているようであれば、専門家に相 談していただきたい。
早めに対処していけば、きっと解決策が見つかるはず。

そうすれば、ピットブルとの生活はもっともっと楽しく、豊かなものになりま すよ。


(節分の鬼さんコスをするガブちゃん)

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