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『きいろいうさぎ』

山に住む きいろうさぎは 大好きなものに囲まれて暮らしていました。

緑に溢れる草原
ちりばめて咲くタンポポの花

満月の夜
遠くに見える街明かり

ただ一つの不満がありました。
それは、

「どうして わたしは みんなと違う 
 きいろいうさぎ なんだろう?」

みんなやお母さんは 真っ白なうさぎです。

物知りのおばあちゃんなら、何か知ってるかしら?

裏山のおばあちゃんの家まで出掛けます。

途中、果実園のうさぎはワインを作っていました。
その手足は美しい紫色に染まっていました。
「とても美しいわ」

途中、生花店のうさぎはネモフィラ畑で収穫中でした。
花の色に照らされたうさぎは青く輝いていました。
「すごくキレイ」

おばあちゃんの家につくと、トンネル工事をしていたので全身が茶色の土だらけでした。
「おや、いらっしゃい」
跳ね上げた丸いゴーグルの部分だけ、真っ白なうさぎのままです。
「元気でかっこいいのね」

ふと、きいろいうさぎは思いました。

楽しげに過ごしてるうさぎ達は、いろそれぞれでした。

「何かあったのかい?」
「いいえ、このままでいいの」

そう言うと、
きいろいうさぎは、持っていたタンポポを頭の上
に差しました。
すると、どこからか飛んで来た蝶々がタンポポの上にとまりました。


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