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ボン・ジョビの呪い

中学のときの担任の先生は、「人間えらくなれ」と檄をとばすところ、「人間エロくなれ」と言ってしまい、生徒たちからの信頼を失った。
元上司は、「モンブランの万年筆」を「モランボンの万年筆」と言ってしまい、「指示文書が焼肉のタレ臭い」と陰口のネタを作ってしまった。

それまで尊敬されていた人も、一つの言い間違えで簡単に失脚してしまう。
「エロくなれ」先生や、「モランボン」上司と同じくらいの年齢になった今、わが身にそのような悲劇が降りかかることのないよう、細心の注意を払って日々を生きているつもりだ。


そんな私だが、「ジョン・ボン・ジョビの呪い」と呼ばれるカルマに長年悩まされ続けている。

若い頃の酒の席での話。友人の一人がジョン・ボン・ジョビのことをボン・ジョン・ボビと言い間違えて大爆笑になった。皆でしつこく彼をいじりまくっていたところ、その場にいた全員がゲシュタルト崩壊からの混乱に陥ったのだ。

「ボン・ジョビだったっけ、ジョン・ボビだったっけ」
真面目な顔で言い出す者が出てくる始末。

それ以来、私もジョン・ボン・ジョビの呪いにかかってしまっている。
今でも口に出す前に頭の中で整理しないと、ボン・ジョン・ボビと言い間違えることがあるのだ。事故を警戒して、話題がハードロックに及ばないよう願ってさえいる。


それ以来、同じ友人達と会うたびに新しい呪いにかかる。わざわざ新しい呪いを開発してくる者がいるからだ。

タケユキカワヒデと言い間違える「タケカワユキヒデの呪い」、トマダイコマトマイと言い間違える「駒大苫小牧の呪い」等がある。


私がかかった呪いは、帰宅後すぐに妻にかける。

励みになります。 大抵は悪ふざけに使います。