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千年前の情報革命と恋

1200年ほど前の恋バナ。
皆さんのお好きなやつ。

時代は平安。その頃にも今日に負けない情報革命があった。かな文字革命である。

当時、公文書は漢字から派生した万葉かなで書かれていた。役人しか使わない特殊技能のようなもので、女性や一般人は読み書きとは無縁だった。当然ラブレターなど存在しようがない。

ここに、遣唐使廃止の影響もあり、かな文字ブームが到来。一気に女性にも読み書きの門戸が開かれ、紫式部、清少納言等による女流文学が花開いた。ちなみに、紀貫之は我が国最初のネカマだ。

同時に、書きものを通じた男女間のコミュニケーションがはじまる。特にブームになったのが短歌。まあ、三十一文字のTwitterかLINEみたいなもの。当時の若い男女は、顔を合わせる前に、短歌の形で"つぶやき"を贈りあった。それが素敵だと、じゃあ一度リアルで会ってみましょうか、ということになる。

このプラットフォームで、数々のバズを起こし、数々の女性とマッチングを成功させたリア充が在原業平。業平は皇室リストラの対象で、ロスジェネ世代のニートのような、気の毒なポジションにあった。しかし、短歌の才能に目覚めることで、稀代のモテ男として後世にまで名を残したのだ。

「業平か業平以外か」といったところだ。

そしてこの在原業平をモデルにしたラノベが伊勢物語である。源氏物語とともに、平安二大ラノベの一つ。

そのように考えていくと、今とそう変わらないな、という気もしてくる。

しかし、自分が当時に生まれていたとして、紫式部に既読スルーされたり、清少納言にブロックされたりしたら、と考えると少し萎える。

いや、萌えるか?


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