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思いやりが形になったできごと

※学級通信「めばえ」第021号(2015年5月12日発行)より

些細なことだけど…  思いやりが形になったできごと

 斉藤の授業では恒例の週末課題。今年度も全ての担当科目でやっていて、今年はプリントで提出してもらっている。去年までは回収箱に無造作に入れてもらっていたのだけど、今年からは授業で集めたり、回収係を任命して集めてもらって持ってきてもらっている。

 とある授業で回収係に任命されたYくん。みんなの分集めてもってきて、ということしかお願いはしていなかったのだけど、なんと持ってきてくれたプリントは出席番号順に並んでいるではありませんか
 1回目は、座席がちょうど出席番号順の時期だったから、朝どこかの時間をうまく使って、席順で集めたのかななんて思っていましたが……。
 席替えをして、出席番号順でなくなった座席の時に回収してもらった2回目も、出席番号順にきちんと並べ変えられていた。

 きっと彼は、提出のチェックをするときに出席番号順の方が良いだろうと、斉藤のことを思いやってくれて、要求されてはいないけど、一手間加えて、出席番号順に並べ変えてくれたのだろう、と思ってちょっと心がほっこり温かくなった斉藤であった。

 ここ2Aでも、誰かが放置したペットボトルやカンのゴミを処理してくれたり、誰かがゴミをポイポイ入れて汚れてしまった蒸発皿をきれいにしてくれたり、誰かが汚した給食室の机を水拭きしてくれたり……という「誰かのために」という行為は多く見られる(これらはとても立派なことだけど、そもそも、自分で出したゴミは自分で処理すべきだし、自分で汚したところは自分で片付けるべきだ)。

 言われたことだけやるっていうのではなくて、言われたことに+αできることがあるのならばそれを上乗せしてやっておく(もちろん相手のことを思いやって)そうやってなされた行為(仕事)は、とてもいい行為(仕事)で、相手にちょっとした幸せをあげることができると思うんだ。もしかしたら、相手に別に感謝されないかもしれないけれど、知らず知らずのうちに、相手の中にはそういう思いやりの行動をされたことが積み重なっていって、いつの時か、いろんなところに感謝できるようになる。

◆◇◆◇

 鋼の錬金術師の最終話より、「たくさんの幸せをいただいていた事に気付きました。今度は僕らが幸せを返す番だと思うんです。10もらって10返しているだけでは同じなので、10もらったら自分の1を上乗せして11にして次の人へ渡す」。
 家庭教師に行っていた子の親(土建会社の社長)より、「恩は返すのではなく、次に渡せ」。

 恩返しってコトバがあるけど、恩渡しってコトバにすれば、世界は幸せに包まれるのかもと思ったり……。

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