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自然科学を学ぶのはなぜ?

※教科通信「カラフル」vol.01-001(2012年4月21日発行)より

 かつて教科担任として担当していた理科の授業で配布していた通信の創刊号の原稿です。

ようこそ、自然科学(Science)の世界へ!

 自然科学は大ざっぱにいうと数学・物理学・化学・生物学・地球科学といった分野で構成されています。高校ではこれとほぼ対応して科目が設定され、なかなかに小難しいことを勉強します。しかし、多くの人はそれらの専門家になるわけではありませんから、事細かに全てを記憶する必要はないでしょう(と斉藤は思っている)。では、何のために自然科学を勉強するのでしょうか。

 いろいろな答えがあると思います。斉藤が示す答えは、「物事の“みかた”を増やす」ためです。どんな物事も“みかた”によってとらえ方が変わってきます。
 たとえば、スーパーに買い物に行って(A)100gで40円のブラジル産鶏肉と、(B)100gで75円の日本産鶏肉があったときどちらを選びますか。
 「家計の食費を押さえる必要がある」という家計の“みかた”では(A)を選ぶでしょうし、「外国産は安全性が不確かだから国産の方が安全・安心」という食の安全性という“みかた”では(B)を選ぶでしょう。この問題に絶対的な答えはありません。この問題のように日常の中での問題は、テストで問われる問題と違って絶対的な答えが存在しないのがほとんどです(多数派の意見というものはあるでしょうが、それが絶対的に正しいという認識は危険)。

 では、そのような中でよりよい答えを探すためにはどうしたらよいか。斉藤が示す答えは、「物事の“みかた”を増やす」ことです。
 円柱を真横から見ると長方形、真上(ないし真下)から見ると円にしか見えないけれど、その二つをあわせる(ないし斜めから見る)ことで円柱ということが分かります。
 物事を様々な“みかた”をすることでそれをよりよく認識できます。よりよい認識はよりよい選択につながります(と斉藤は信じている)。

 新しい“みかた”をこの1年で一緒に身につけていきましょう。

◆◇◆◇

 円柱の話は、期限付きで最初に赴任した学校の離任式で小話させてもらいました。この原稿に込めたことは、多分、斉藤が教育に携わるにおいて揺るがない一つの軸になっていることな気がします。
 かつての文章を読み返すと、今の自分と当時の自分の感覚の違いを大なり小なり感じて、書き換えたい!!という衝動にかられます。
 今回も最初はそのつもりでした。読んで気になるところがあれば書き換えて、発行当時の分の改訂版としてnoteに投稿しようと思っていました。でも、読み返すと、書き換えたい!!の衝動は現れず終わりました(太字だけ今の感覚でつけましたが......)。

 教科通信やら、学級通信やらHDDの中に封印されているものの中から、いくらか供養して行けそうなものたちを、noteの記事としてあげていこうとおもいます。

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