【企業分析】Apple
AAPL(NYSE)
時価総額:2兆8,900億ドル
売上高:3,658億ドル
営業利益:1,089億ドル
(2021年度)
決算期:9月
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概要
カリフォルニア州クパチーノに本社を置くアメリカ合衆国の多国籍テクノロジー企業です。デジタル家庭電化製品、ソフトウェア、オンラインサービスの開発・販売を行っており、2021年11月時点での時価総額は世界一です。
Apple Park(Apple Inc.本社)
業界動向
○スマホ市場
2021年9月02日にREPORTOCEANが発行した新しいレポートによると、-世界のスマートフォン市場は、2020-2027年にかけて年率9.5%で成長し、2027年には7,953億ドルに達すると予測されています。
COVID-19の大流行の中でデジタルプラットフォームでのスマートフォンの採用の増加により、 2020年から2027年にかけて毎年9.5%成長します。 世界の総出荷台数は2020年に13億3,130万台に達し、 今後数年間で毎年10.5%増加すると予想されています。
Gartnerが2020年第4四半期の世界スマートフォン市場調査結果を発表しました。同四半期にiPhone 12シリーズを発売したAppleが久しぶりに首位に立っており、Appleが首位に立つのは2016年第4四半期以来です。
2020年第4四半期のメーカー別世界スマートフォン販売トップ5(単位:千台、資料:Gartner)
Appleの販売台数は7994万2700台でシェアは前年同期より3.7ポイント増の20.8%。前四半期は4位でした。
2位に落ちた韓国Samsung Electronicsは6211万7000台でシェアは1.1ポイント減の16.2%。Appleとの差は4.6ポイントです。Samsungは1月にフラグシップ端末「Galaxy S21」シリーズを発表しています。
3位は前四半期と変わらず中国Xiaomi。4位は中国OPPO、5位は中国Huaweiでした。Huaweiは米Googleのアプリを搭載できない影響でシェアが13.5%に落ちました。
総販売台数は5.4%減の3億8462万2300台。
○パソコン市場
IDCは、世界PC市場に関する調査結果を発表しました。2021年におけるデスクトップPCと、デタッチャブル型を除いたノートPCの合計出荷台数は3億5740万台で、前年比18.2%増と見込む。2020年から2025年にかけての年平均成長率(CAGR)を2.5%と予測しました。
世界的な半導体不足はPC供給体制に影を落としていますが、PC需要の高さは半導体メーカーを増産へ向かわせるので、状況は改善するということです。半導体不足の問題は2021年中ごろには解消し始めて、PCの製造と供給もバランスが取れる見通しのようです。
○タブレット市場
2021年1Q(1~3月期)の世界のタブレット出荷台数及びシェアの概要は、以下の通りです。
タブレット全体の出荷台数は、前年同期に対し1,420万台(55.2%)増の3,990万台となりました。
上位5社のベンダーの顔ぶれは変わらず、全ベンダーが前年同期に対して増加しました。
Appleがシェア31.7%、出荷台数は前年同期に対して64.3%増の1,270万台で依然トップを維持し、2位がSamsungで同60.8%増の800万台、3位がLenovoで同138.1%増の380万台、4位がAmazonで同143.0%増の350万台、5位がHuaweiで同1.7%増の270万台で続いています。
○ウェアラブル端末市場
2021年7月12日にREPORTOCEANが発行した新しいレポートによると世界のスマートウェアラブルデバイス市場は、 コネクテッドデバイスやスマートウェアラブルに対する消費者の嗜好の高まり、 家電業界の技術的成長、 リモートワークの増加、 COVID-19パンデミック時の健康モニタリングへの関心の高まりなどにより、 2020-2030年にかけて年率14.7%で成長し、 2030年には1,371億5,000万ドルに達すると予測しています。
○Apple Store
アプリ関連の調査会社Sensor Tower は、世界全体のアプリストアでの消費額(App StoreとGoogle Playの合計)が、2020年の1,110億ドル(約11兆6,800億円)から、2025年には2,700億ドル(約28兆5,200億円)へと約2.4倍になり、5年間の年平均成長率は19.5%になるとの予測を発表しました。
AppleのApp Storeの売上高は、2020年の720億ドル(約7兆5,800億円)から2025年の1,850億ドル(19兆4,700億円)へと約2.6倍規模に成長すると予測されています。
事業内容・ビジネスモデル
Apple Inc.(アップル)の事業は、「Products(製品)」と「Services(サービス)」から構成されています。
○Products
Productsでは、「iPhone」「Mac」「iPad」「Wearables, Home and Accessories」といったカテゴリーの製品を展開しています。「Wearables, Home and Accessories」には、AirPods、AppleTV、AppleWatch、Beats製品、HomePod、iPodtouch、その他のAppleブランドおよびサードパーティのアクセサリーが含まれます。
なお、AirPodsはSiriと相互作用する、Apple社のワイヤレスヘッドフォンです。
○Services
Appleでは、顧客が本、音楽、ビデオ、ゲーム、ポッドキャストなどのアプリケーションやデジタルコンテンツを見つけてダウンロードできるようにするさまざまなプラットフォームを運営しています。これらのプラットフォームには、iPhoneやiPadで利用可能なAppStore、Mac App Store、TV App Store、およびWatch AppStoreが含まれています。
また、AppleMusicを含むサブスクリプションベースでのデジタルコンテンツストリーミングサービス、電話サポートとハードウェア修理の『AppleCare』、クラウドバックアップサービス『iCloud』なども「Services」に含まれています。
MacやiPad、Apple WatchやAirPodsなどの製品も強力です。価格に関係なく、定期的に商品を買ってくれる顧客のおかげで、アップルは世界でもっとも利益をあげる会社の一つとなりました。
これに加えて、Appleをより強固にしているのが「App Store」経由での課金です。App Store上でダウンロードしたアプリ(ゲームなど)に課金した場合、アップルに原則30%のコミッションを支払わなくてはなりません。巷では「Apple税」とも呼ばれる悪名高いフィーだが、これによってAppleの収益性は大きく底上げされているのです。
近年は、App Store課金以外のサービス課金も展開しています。筆頭とも言えるのは「Apple TV+」です。Netflixなどとの競合サービスと言えるが、アップル側の強みは「動画配信サービス単体で利益を上げなくてもよい」ということです。そしてもちろん端末を握っているため、一定のシェアは握れることはやる前からわかっていたとも言えます。
動画配信だけでなく、音楽配信、それからニュース配信にも注力しています。アップルにとっては、こうしたサービスを提供することでユーザーが少しでもアップルのエコシステム上にとどまってさえくれれば、十分に元が取れると言えるでしょう。
2021年度を通じた売上高と前年比増加率は以下のとおりです。
iPhone:約1,920億ドル(約39%増)
Mac:約352億ドル(約23%増)
iPad:約319億ドル(約34%増)
ウェアラブル、ホーム、アクセサリ:約384億ドル(約25%増)
サービス:約684億ドル(約27%増)
競争力
iPhoneが成功した理由の一つは、アップルで製造“しなかった”ことです。アップルのアイデアはすばらしく、製品開発の能力は抜群ですが、一方で製造の能力は低いと言われていました。
製品が市場で品質問題を起こした場合には、原因を解明し、抜本的対策を打って再発防止に努めることは日本メーカーでは当たり前のことでした。
ところが、アップルの工場ではそれが十分にできていませんでした。世界を驚かせる開発能力があるくせに、製造能力は日本企業の水準からすると情けないほど低すぎるのがアップルの実像だったのです。だからティム・クックはアップルの工場を次々と閉鎖して、鴻海などの外部企業に生産委託しました。
そして、iPhoneはMac以上に厄介な製品です。生産数量の変動の山谷が極めて大きく、短期間で一気に立ち上げたかと思うと、3ヵ月すると生産数量を4割もダウンさせることもあります。クリスマス商戦になると、また急激に立ち上げる必要に迫られます。しかも製品サイズはPCより格段に小さく、製造工程での取り扱いも格段の慎重さや器用さが必要です。
つまり、無理が利くサプライヤーの鴻海の強みを100%活用したからこそ、iPhoneは年間2億台ものヒット製品として世界のユーザーに届けることができたのです。もし、対応力がなく融通が利かない米国工場で作っていたら、iPhoneは販売機会を逸し、ここまでのメガヒットにはならなかったかもしれません。
○懸念
アップルには独占禁止法の懸念があります。「アップル税」も含め、App Storeという仕組みはアップル側に非常に有利に働きます。場合によっては競合のアプリ公開を阻止することも可能です。会社としての影響力が絶大なものになるにつれ、政府機関からのこうした圧力はむしろ増していくのかもしれません。
経営者
・Apple Computerの創業
1971年、スティーブ・ジョブズとウォズニアックの二人が出会います。
ジョブズはウォズニアックより4つも年下でしたが、年齢の割に大人びている(ウォズはむしろ子供じみていた)こともあり、意気投合しました。
有名な「ブルーボックス」などのイタズラに興じた後、ジョブズが「プリント回線基盤を作って売り出そう」と提案しました。
1976年4月1日、ジョブズはアタリのロン・ウェインも引き入れ、三人でアップル・コンピュータを設立。パートナーシップとして事業を開始しました。(ウェインは創業して間もなくリスクを恐れ、アップルを去る)
法人が設立されたのは1977年1月3日。これを支援したのがもとインテルのマーケティング部長などを務めたマイク・マークラです。マークラは若くして引退しましたが、初代社長のマイケル・スコットを雇い入れるなど重要な役割を果たしました。
最初のヒット製品となった「Apple Ⅱ」は1977年4月に発表され、当初から人気を博しました。さらなるヒットのきっかけとなったのが1979年10月に発売された表計算「VisiCalc」です。これが大ヒットとなり、Apple Ⅱに仕事用の需要が集まって販売数が急増しました。
1980年12月、アップル・コンピュータは株式公開を行いました。フォードが1956年に行って以来最高となる大規模なIPOとなり、ジョブズをはじめとする初期メンバーは莫大な利益を得ました。
・長い低迷の歴史
上場後に開発していた「AppleⅢ」は雲行きが怪しく、株式公開から3ヶ月後に、41人の大量解雇を余儀なくされました。
1983年に招き入れたCEO、ジョン・スカリーとは関係性が悪く、スティーブ・ジョブズは1985年に事実上、アップルから追放されます。この後も(後から振り返れば)長い低迷の時期が続きました。(もっとも、1994年までは比較的状態はよかった)
ようやく事態が好転するのは1997年、ジョブズのNeXT Computerを4億2900万ドルで買収、アップルに呼び戻してからのことです。同年にジョブズは暫定CEOに就任、その後は伝説に残る活躍を見せることになります。
同じく1997年、有名な「Think Different」CMも放映しました。その10年後の2007年に発表された「iPhone」は文字通り世界を変えました。
マイクロソフトと並び、今でも世界屈指のテクノロジー企業として君臨するアップル。しかし、その歴史は順風満帆とは程遠かったことがわかります。
伝説のスティーブ・ジョブズにしても、「Apple Ⅱ」より後は思うように成果を上げられずに終わりました。彼がこれほど偉大になれたのは追放されてからの復活期があったからだといっても決して過言ではないでしょう。
(参考:意外と知らない?アップル・コンピュータの創業史)
・現CEOのティム・クック
2011年にスティーブ・ジョブズが亡くなった後、アップルのCEOに就任したのが現CEOのティム・クックです。
言うまでもなくカリスマの後を継ぐのは非常に大変なことですが、実際にはクックがCEOになってから、アップルの企業価値は上がり続けています。
ティム・クックは1960年にアメリカの南部、アラバマ州モービルで生まれました。1982年にオーバーン大学を卒業後、急成長していたIBMのPC部門に加わりました。
IBMは、世界初のPCの一つを開発した企業として、トヨタ開発方式こと「ジャスト・イン・タイム」をいちはやく導入していました。このことは、クックのキャリア人生上も大きな影響を与えました。入社して数年で「ハイポ(高い潜在能力)」人材として目され、MBAの受講費用を社が負担してくれるなど、経営人材として育つための手厚い支援を受けました。
1994年にクックはインテリジェント・エレクトロニクス(IE)に転職。COOに就任しました。IE社は1995年度に売上36億ドルまで拡大し、1997年に1億3,600万ドルでGEに売却。その後クック自身はコンパックに引き抜かれています。
コンパックに在籍した期間はわずか半年程度と長くはありませんでした。間もなく、スティーブ・ジョブズがクックを「発見」し、アップルにおいてもジャスト・イン・タイム方式での製造を実現していくことになります。
ジョブズが復帰して間もない1998年、クックはアップルに入社しました。経営危機下にあるアップルで、クックはアウトソーシングに力を入れました。品質や生産性を犠牲にせず、製造をなるべく外部のサプライヤーに移すようにしたのです。
クックによるオペレーションの変革は功を奏しました。ジョブズは高度に自動化された(魅力的な)工場を作っていましたが、需要の変動に対応することは難しかったのです。特殊化された機械がただ余る結果になっていたのです。
オペレーション変革の成果が評価され、ティム・クックは2005年にアップルのCOOに抜擢されます。この頃からジョブズはクックを後継者として本格的に育て上げていきました。
ジョブズが亡くなる頃までにはクックは実務の多くを掌握していたようです。2009年にジョブズが半年の治療休暇をとったとき、暫定CEOの役割を引き受けたのはクックでした。
今後の見通し
アップル株の今後を予想していきます。
①サービス事業への期待
②AR事業への期待
③強いブランド力
・サービス事業への期待
アップルといえばiPhoneやMacなどの製品が注目されますが、Apple Music、AppleTV+、Apple Arcade、Apple Payなどのサービスも充実しています。
今後これらのサービス加入者はますます増えると予想されており、アップルのサービス事業への期待が高まっています。
実際に2021年度第3四半期では、サービス事業がiPhoneに次ぐ売上を記録しています。
またサブスクリプションの有料登録会員は現時点で7億人にまで増加しているそうです。
・AR事業への期待
AR事業
近年アップルはAR(拡張現実)やVR(仮想現実)に力を入れていると言われており、2022年には「ARグラス」や「VRゴーグル」が登場するという噂も飛び交っています。
またアップル公式サイトでは、「アップルのハードウェアとソフトウェアは拡張現実のために一から設計されているので、拡張現実の世界に飛び込むのにアップル製デバイスほど優れたものはありません」と発表しています。
App Storeには数千ものARアプリが揃っているので、実際に体験してみるのも良いでしょう。
このようにアップルはARやVRに関するサービスの準備を着々と進めているので、今後への期待が高まります。
・強いブランド力
アップルの最大の強みとも言えるのが、強いブランド力です。
主要製品であるiPhoneは他社のスマートフォンに比べると高い価格設定ですが、アップルブランドに対するファンは非常に多く、購入するユーザーは後を立ちません。
今後も「iPhone13」と噂される次期モデルが好調に推移すると予測され、さらにiPhone以外の新製品や新サービスにも期待が寄せられているので、株価もどんどん上がっていくのではないでしょうか。
このように、強いブランド力こそがアップルの最大の武器だと言えます。
アップル株は今後ますます株価が上がると見込まれているため、利益を狙いたい方はぜひ今のうちに購入しておきましょう。
株価推移
アップル株の5年間の価格推移について解説していきます。
上場以来右肩上がりとなっていましたが、2018年〜2019年頃に中国でのiPhone販売減速を主因として一時的に株価が下落しました。
しかしそれ以降は比較的順調に推移しており、コロナショック後も大幅な値上がりを続けています。
年によって多少の変動はあるものの、比較的安定して推移していると言えるでしょう。
2020年3月、コロナショックにより一時的にアップル株の株価は大幅下落しましたが、2020年の6月には暴落前水準まで回復しました。
2021年8月17日には151.68ドルを記録し、コロナショックから見事に立ち直ったことがわかります。
コロナショックからの回復の要因としては、コロナ禍においてアプリ配信や音楽配信などのサービス部門の需要は高まったからだと言われています。
また、世界的な外出制限によってリモートワークなどが広がり、「iPad」や「Mac」の販売が大きく伸びました。
増収・増益を続けるアップル株は、今後も値上がりが期待されています。