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クラロワ | プロリーグの試合で、敗色濃厚なゲームであきらめるのはあり? それとも最後の最後まで粘るべき?

「クラッシュ・ロワイヤル」の公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ」を毎週PCにかじりついて観戦している勢の筆者なのだけれど、先週Week6に気になるシーンがあった。形勢不利で勝ち目薄だった選手が、あきらめというか試合放棄ともとれる態度・プレイをして試合が終わったのだ。

案の定コメント欄には感情的な言葉が飛んだが、これはその選手個人の問題ではなく、ゲームやリーグの構造的な話だよなと思った。そして、話の分かる方々の落ち着いた意見や感想を一度聞いてみたいとも思った。そこで、すぐにアンケート付きのTweetをしてみることにした。

そのTweetとアンケートの投票結果がこちら。

そして、Twitterの返信を通して、アリ派の方、ナシ派の方から予想以上に多くのしっかりとしたご意見を頂くことまでできた。この場を借りて、お礼申し上げます!

個人的にも得るものが非常に大きかったし、この結果をタイムラインの流れるままに流し去ってしまうのはもったいないと思い、今回このnoteにまとめておくことにした次第だ。


ナシ:プロとして

寄せられたコメントで一番多かったのは、ナシ派の「プロ選手として最後まで戦うべき」というご意見。僕のファーストインプレッションも、これに近かった。

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『個人的にはあきらめるのナシ派ですね。マルチとかなら、ほぼ負け確定のゲームを諦めて時間短縮などするのはアリかなとは思いますが、プロリーグの試合なら相手がどんなミスをするかもわからないですし、そこからドラマが生まれるかもしれないので最後までベストを尽くしてほしいです。』
『例え負けが確定していたとしてもゲームを見て視聴者を楽しませる演者であることに変わりはないです。ましてや仕事としてやっているプロゲーマーならば諦めは楽しませるというものを放棄していると捉えられるのではないかと思います。』
『クラロワそこまでやりこんでなくてまだ逆転があるって思って見てる人とか、そもそもクラロワやってなくて関連動画に出てきたから見てる みたいな人からしたらプロ選手が試合を諦めてるところ見たら混乱するし面白いと思えない気がするので諦めて欲しくない派です』
『「濃厚」なら頑張って欲しいです、ミスが無いから勝てないとしても、ミスを誘うのもまた上級者の実力だと思います。濃厚だからと諦めるゲームより、そこから逆転する方が遥かに面白くて、また見たいって思う。結果として負けたとしても次も見たいと思う観客を増やす事もプロの仕事ではないでしょうか』
プロはパフォーマンスとしてゲームをしているわけなので負け確だとしても最後まできちんと試合を続けるべきだと思います』
『ガチガチに武装した兵隊がゼロ距離でいたとしたら、勝ち目がなくても死ぬ気で戦うと思う。人生かけてやってきたことをそう簡単に諦めては欲しくないな… プロだから
クラロワのプロ選手も、野球のプロ選手も、将棋の棋士も、世の中に「なくても別に問題ない職業」です。しかし、事実その職業は存在しています。その職業にはファンがつき、それを見て感動したり明日の活力を得ています。「ファンが喜ぶかどうか」で考えると答えは見えるのではないでしょうか」』


ナシ:ファンとして

「プロとして」というご意見と近いものの、別視点だったのが「ファンとして観たくない」というご意見。

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『諦め無し派です!理由は、単純に出来る限り多くのプレイを見たいからです。100%負けというのは終了数秒前くらいだと思いますが、そこまでは頑張ってほしいですね。諦めたら試合終了なので』
『諦めるのはなし派。最後まで何が起こるか分からんし、プロとしてやってる以上最後まで全力でやり切ってるところを見たいから』
応援してる選手に諦められちゃうと、まだなのにーって思っちゃう。無理ってわかっててもなんかアクションはして欲しい』


◆ ◆

アリ・ナシ:「クラロワ」にはもう勝ち目のない場面もある

なるほどなと思ったのが、「クラロワ」にはもう勝ち目のない場面もあるというご指摘。アリ派の方、ナシ派の方の両方からこの点に言及があったのが興味深かった。

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6アド取られてて場にはガチガチのエリゴレヒーラーが迫ってきてて、相手のタワーのhpが全く削れてないサドンデス...くらいの状況で諦めずに戦えみたいなのは精神的にちょっと酷かなとは思いますね... 本当にどう考えても無理でしょって時には諦めても誰も怒らないと信じたいです』
『どちらとも言えないが最終的には諦めるのあり派ですね。この濃厚っていうのがどれくらいなのかによる… もう90%で勝てないだろう… みたいなのだったら許せないけど、例えば3.0クロス採用で相手が高回転クエイクロイほぼダメージ与えられずに1本落ちてしまった、みたいなのなら諦めるののも頷ける。』
残り数秒とかでどうあがいても逆転できない場合の芝ファイボとかはアリ』
確実に相手の攻めを守れないシーンで諦めるのは別に良いと思うけど、勝ち目が1%でもある場合なら続けてほしいかな』
敵のバルーンに対して対空カードが1枚もないなど、どうしようもない場合は別ですが、基本的には最後まで足掻いて欲しいですね』
爆アド取られてる時はしょうがないなと思うけどまだわんちゃんがありえる時は諦めないで欲しいです』


アリ・ナシ:頭脳ゲームと、”投了”というルール

もう1つ、アリ派の方、ナシ派の方の両方から言及されたのが、将棋で言うところの”投了”(ギブアップ)ルールについて。クラロワも頭脳ゲームである以上、確かにこれは避けられないテーマだ。

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『アリ。将棋の投了と同じ、逆転を許すような相手じゃないと認めたうえで覆らない試合をずるずる引っ張らない判断は全く不快ではない。』
『アリ派です。囲碁や将棋といった頭脳ゲームでは投了のシステムがあります。クラロワも頭脳戦系の競技ですので、投了的な諦めはアリだと思います。勝ち筋が無いことが分かる様な解説をしていただくと、諦めもまた、1つのパフォーマンスとなり得るのではないでしょうか。』
『諦めるのはナシ派。プロサッカー試合で応援チームが10-0で負けていて、チーム選手が残り5分諦めて芝に座ってしまって、その間相手チームが好き放題ゴール決めてたら悲しい。って言うのと同じ感覚と思うから? クラロワに投了ボタンがあれば気にならないかも』


アリでもナシでもない(どちらとも言えない)

気持ちはわかるのですが、「何とも言えない」を選択肢にしちゃうとそこに流れちゃうので・・・ あえて白か黒かを迫るアンケにしてみました。

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『なんとも言えない!!という選択肢が欲しかったw 負けたらset落とすとかならやっぱり全力でやりきって欲しいし、戦術?精神?的に切り替えようと言う形でスパッと割り切るのもあると思うます』


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アリ:通常のゲームプレイならやること

アリ派の方の理由としてまず挙げられたのは、ゲーム内の通常プレイ時には普通にやられている行為だ、ということ。

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『諦めるのあり派。マルチやグラチャレでも諦めるし、自分も圧倒的に負けていたらつまらないからです。自分としては接戦が見たいので時短のためにもありだと思います。』
『負けが分かっているなら諦めるのは仕方ない


アリ:切り替えは大事

アリ派の方の理由として最も数が多かったのは、選手の立場で見た時に、次の試合へ切り替えていくのも戦術だというご意見。

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『勝ち目の無い試合に集中するより次の試合に頭を切り替えるっていう戦略もあると思うから。ただ、諦めてしまう選手を応援したいかというとそれはまた別の問題』
『選手としても切り替えは大事だと思うのでアリ派です!』
次に切り替える為にも諦めるのは全然アリかと』
例えば1ゲーム目とかの後がある場合なら、あり。ゲーム数多くなるにつれて集中する時間も長くなるから最終的に勝ちに繋げるための選択なら全然あり。まぁその場合「諦め」じゃなくて「許容」になるからニュアンスは違うかもだけど』


ナシ:相手に余裕を与えてしまう

ナシ派の方から、相手に余裕を与えてしまうとのご指摘も。

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『諦めるのはナシ派。諦めたら、その分相手にも余裕を与えることになるのでナシ』


ナシ:モバイルゲームゆえの特性

テーブルゲームとちがうモバイルゲームという特性上、こういう可能性も。特に今シーズンはオフライン会場ではなくリモートで行われているので、そのリスクは通常のシーズンよりも高いはず。

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『大事な試合なら最後までやるかなあ。わんちゃん相手の電波落ちるかも()』
『よっぽど(2クラとられてて自分のデッキはスケラとか)でもない限り、回線落ちで逆転とかあるかもしれないから。それで仕切り直しにでもなったら勝てる可能性は普通にある』


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kabutom個人の意見・感想

さいごに、筆者の意見・感想を。

このアンケートを取る前は、アリ:ナシが2:8だったけれど、みなさんの意見を聞いてみて4:6くらいまで変化した。

ファーストインプレッションで思っていたのは、プロ選手だろ?という気持ちだった。特に自分が応援している選手があきらめる姿は見たくないなあと思った。

けれど、たしかに「クラロワ」は、デッキ選びの時点で相性の差が生まれたり、試合展開や相手との技量差によっては、”どうしても覆しようのない”場面が訪れるゲームだ。そして、その場面が”どうしても覆しようのない”場面かどうかを判断するには、ゲームのプレイスキルや知識や理解度が必要になる。観戦者の熟練度によって、シーンへの反応は分かれることになるだろう。「なぜそこであきらめてしまうんだ!」と思った初心者プレイヤーであっても、その場面の”絶望度”を教えてもらって理解できれば、あきらめたプレイヤーに同情的になる可能性はあるのだと思う。

また別の切り口として、将棋に”投了”があり、カードゲームに”サレンダー”があるように、クラロワにも”GG, next game!”があっても良いのではないか、という観点がある。クラロワに”投了”システムはないけれど、それは”投了”すべき状況が発生しないという意味ではない。ゲームに熟達し、先が見通せるトッププレイヤー同士の闘いであるほど、「この試合はこれ以上は勝ち目がない」という結果もまた誰より早く見通せてしまうのだ。下手だからではなく、逆に上手すぎるがゆえに。

◇ ◇

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ただそれらの賛否の意見を聞いてみても、やっぱり個人的に絶対にダメだと思うのは、不必要なクラウンを相手に与えることだ。具体的に言えば、0-1負け濃厚な試合を放棄して0-3負けになるのだけは避けねばならない。理由は、リーグのルール上、クラウン数がチームの最終的な順位判定に使われるからだ。(「CRL East 2020 Fall」の場合、①マッチ勝利、②セット得失差、③ゲーム得失差、④獲得クラウン数の順で判定)。

クラロワリーグが個人戦でなくチーム戦であることを考えれば、一時の感情でチームを不利にしてしまうのは厳禁だ。

◇ ◇ ◇

これから先の未来図を妄想してみると、「クラロワ」に”投了”ボタンが実装される日は来ないと思う。ただ、”あきらめたときはこのスタンプ”とコミュニティに共通認識されたスタンプを打ったり、あからさまな芝呪文を打ったのを合図として、不必要なクラウンを相手に与えない程度の抵抗でギブアップし、疑似的な”投了”とする、という暗黙のルールが生まれることはあるかもしれない。

少なくとも、プロ選手の”あきらめ”はレベルやモラルが低いゆえのギブアップとは似て非なるものであって、ゲームに熟達したトッププレイヤーゆえの高度な見切りなのだという理解や、「これもクラロワの一部だ」という認識は今よりも広まっていくのではないだろうか。

現状の”あきらめ”は観戦していて愉快な瞬間とは言えないけれど、もし”投了”を”芸”の域に持っていける千両役者な選手があらわれた時、「負けても面白い選手」「あいつの負けっぷりはいい」といった具合に選手の新たな魅力発掘につながらないかなあと思ったりもする。これはさすがに妄想が過ぎるかな?■

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+ ゲーム情報

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