第53回 株価を意識した投資

前回、株価を意識しない投資を書きました。

- いやいや、オレは株価を意識したい!! -

そう考える投資家の方も多いでしょう。
ですから今回は、株価を意識する投資の手法を紹介したいと思います。

株価を意識する投資は、基本的にチャートを使います。
ただ、「材料はチャートを破る」という慣用句があるように、チャートは材料に弱いです。
強力な下値支持線も、新型コロナという悪材料一発で、有名無実のものになったことは、記憶に新しいと思います。
だから、株価を意識した投資は、非常に脆いものだと自覚することが必要です。

このため、株価を意識した投資は、どうしても期間が短くなってしまいます。
長ければ長いほど、材料が発生する「risk」が高まるからです。

- 材料でも好材料なら良いんじゃないか!? -

そう考える人も多いでしょう。
ところが、これはそう単純な問題ではありません。
それは好材料でも、材料出尽くしで大きく売られることが多々あるからです。

実は、大口の株主は、好材料が出るタイミングを虎視眈々と狙っています。
なぜなら、大口であるが故に、通常の日に利確の動きに出ると、自分の売りだけで株価がどんどん下がって、取れるはずだった利益を圧縮してしまうからです。

そこで好材料が出ることを待ちます。
なぜなら、好材料により、多くの買い方の出現を期待できるからです。
出現した多くの買い方に自分の売りをぶつければ、それほど値下がりせずに撤退することができ、利益も予定通り取ることができます。
このように、大口投資家にとっては、好材料の出現は利確のチャンスと言えるのです。

が、買われると予想して買った投資家たちは、この後の撤退戦に苦慮させられます。
上伸するはずが、反落の動きになってしまうので、損失の少ないところで撤退しなければなりません。
見切りが早ければ直ぐに撤退するでしょうが、予想外の出来事に狼狽えれば、なかなか踏ん切りが尽きません。
このため、売りがチョロチョロと湧いてくるように出て、じり安の動きになってしまうのです。
好材料出尽くしで売られた銘柄がなかなか戻らないのは、この為です。

ですから、株価を意識する投資家は、材料の出現を嫌がります。
この結果、タイムトレーダー、デイトレーダー、スイングトレーダーと超短期投資家に偏ってしまう訳です。

さて、基本的に場中に材料は出てきません。
だから、タイムトレーダーやデイトレーダーに特化する人が多い訳です。
ただ、日中に相場を観測する必要があるので、ダブルワーカーには向きません。

また、引け後も企業の材料の発表を確認すれば、ある程度の法則性は分かります。
だから、スイングトレーダーも一定数います。
しかし、日をまたぐことで、為替や米国市場の影響を受けるため、投資手法の中でも最も難しいものとされています。

このようなことを総合して、株価を意識する投資法を目指すなら、タイムトレーダー、別名スカルピングで、数分から数十分で売買を繰り返すのが良いと言われるのです。
ただ、四六時中張り付く必要があるので、非常に時間的制約が強いです。
目も疲れるので、私は二度とやりたくないです。

タイムトレードやデイトレードをやるには、先ずは日中の株価の動きを知る必要があります。
まずは、5分足で株価の動きを見て下さい。
寄り付き後は、9時半前後を目指して買われたり、売られたりします。
次に売り買いが反転して、10時前後まで動くと、その後はダラダラとします。
そして、前引けにかけて、買われるか、売られるかの動きに成ります。

後場も、寄り付きから売り買い一方向に動きやすいですが、前場寄り程のパワーはありません。
13時頃からダラダラしはじめ、14時頃から引けにかけて売られたり、買われたりします。
頃と書いたのは、あくまで目安の時間だからです。
9時半頃は、9時30分ではなく、ある時は25分だったり、35分だったり、極端な時は9時15分ということもあります。
あくまでそういう動きになるという目安です。

例えば、5月29日(水)の6758ソニーGの5分足のチャートを見て下さい。
寄り付き後9時30分まで上昇した後、9時55分まで反落します。
その後10時15分まで若干戻したあと下げて、引けにかけて多少引き締まっています。
大方、こんな感じが王道の日中足チャートです。

この目安を頭に叩き込んで、売買を組み立てます。
朝一、買いが強ければ乗っかっても良いが、30分前後で買いが切れることを予測する。
買いを見送るなら、30分前後で買いが切れ、更に30分で売りが切れた辺りで、ゆっくりと動いてみる。
また、前引けにかけて引き締まるか、ダレるかを予測しつつ、売り買いを入れてみるなどです。

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