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第59回 風が吹けば桶屋が儲かる

投資家に必要なものは、「風が吹けば桶屋が儲かる」という発想です。

風が吹けば、どうして桶屋が儲かるのか・・・・・・。


風が吹けば、道に捨てられたかまどの灰が舞い上がります。
かまどの灰は水分を含むとアルカリ性になり、石灰と同じように目に入ると失明する恐れがあります。
そこで運悪く失明すると、普通の仕事は出来なくなるので、盲人に許された琵琶や三味線を弾いて生計を立てなければならなくなります。
三味線を弾くためには、当然ながら三味線を買わなければなりません。
その三味線を作るためには、猫の皮が必要になるので、近所のどら猫が狩り尽くされてしまいます。
猫がいなくなると、鼠が増えます。
鼠が増えると、桶が齧られ、使い物にならなくなります。
結果、桶を買い直す必要に迫られ、桶屋が儲かるという理屈です。

かまどの灰というものは、古代から処分に困るものでした。
だから、人気のないところに穴を掘って埋めるようにと命令が出されたのですが、道に捨てる人が後を断ちません。
そこで、道に灰を捨てた者は両手を切り落とすという命令が出されて、道に灰を捨てる者がいなくなったと韓非子には書かれています。

実は、江戸時代には、灰買いと呼ばれる職業がありました。
各家庭を回って、かまどの灰を買い取る仕事です。
灰は、皆さんもご存じのとおり、アルカリ性の性質を有していることにより、多くは酸性に傾いた土壌改良に使用されます。
雨は、空気中を落下することで、微量の二酸化炭素を含むことから、弱酸性の性質を持ちます。
その雨を受け続けるから、土壌は酸性に傾いてしまうのです。
酸性に傾いた土地では農作物が正常に育たない為、中性に戻す必要があるのです。

因みに、日本各地のアジサイは、青色が主流になっています。
アジサイの色は、土壌の性質により決まります。
酸性なら青色、アルカリ性なら赤色で、リトマス試験紙みたいですが、色は逆です。
赤いアジサイを咲かせたい(本当は花では無いですが・・・)なら、灰を撒けば良いのです。

ま、このように江戸の町では灰が捨てられることが無かったので、風で舞うのが土埃になったのです。

また日本では、歴史的に障害者の中で、視覚障害者だけは保護の対象になりました。
その元祖が、明石覚一と呼ばれる人で、室町幕府初代将軍である足利尊氏の従弟に当たる人物でした。
時の将軍と従弟だということで保護の対象とされ、江戸時代まで続く「検校(けんぎょう)制度」の確立に寄与しました。
この「検校制度」が、男性盲人の自治的職能互助組織である「当道座」のことです。
「当道座」の中で視覚障害者は、琵琶、鍼灸、導引、箏曲、三弦などの仕事を専売としてきました。
だから今日でも、視覚障害者に鍼灸医の方が多いのは、この名残です。

更に、三味線は猫の皮だけだと思っている人が多いですが、犬の皮で作られているものもあります。
最近有名な津軽三味線は、犬皮だけです。
猫や犬の皮を張るのは、やはり音が良いからです。
元々は、琉球の三味線が戦国時代に伝わってきたものですから、張られていたのは蛇皮のはずです。
それが変わったのですから、蛇より、犬や猫の皮の方が良かったのでしょう。
つまり、ここで分かるのは、桶屋が儲かるなら、それより先に三味線屋が儲かっているということです。
もし、三味線屋が儲かっていなければ、この理論は桶屋に行きつく前に破綻していると言えます。

最後に、桶屋と言えば、我々が連想するのは、風呂桶だけです。
風呂桶が齧られたら確かに困るけど、それほど桶屋が儲かるのだろうかと思ってしまいます。
当然、これは現代人の感覚です。
プラスチックが発明されるまで、桶は人々の生活に無ければならないものでした。
それは、酒や味噌、醤油、漬物など、多くの食品を加工するのには、桶ないしは樽が必要だったからです。
このことを知れば、桶が齧られることが、どれほどの大事件か分かるかと思います。

このように長期投資家に必要なのは、連想ゲームのように、実際に儲かる会社を探し出すことです。
例えば、7月になると新紙幣が発行されます。
そうなると、両替機、レジ関連企業の業績が騰がると考えるのは普通です。
ちょっと捻って、キャッシュレス関連企業というのも出てきます。
レジを入れ替えるくらいなら、キャッシュレス対応にしようと考える経営者も出ると考えられるからです。
それ以外も・・・・・・、ちょっと皆さん、考えてみて下さい。

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