第75回 7012川崎重工業
私が抽出した銘柄の中で、最も売上高が大きいのは、7012川崎重工業です。
7012川崎重工業は、7011三菱重工業、7013IHI(旧石川島播磨重工)と並んで、日本の三大重工と呼ばれている企業です。
その歴史は古く、設立は明治時代となっています。
7012川崎重工業は、元々川崎造船所と呼ばれる企業でした。
1886(明治19)年に、川崎正蔵が官営兵庫造船所の払い下げを受けて設立したものです。
以後、船舶、飛行機、潜水艦、鉄道、ミサイル、ロケット、ロボットと多角化し、現在に至っています。
このような歴史ある企業が、割安成長期待企業として自動的に選択されたのは、ちょっと不思議です。
売上高 営業利益 経常利益 純利益 1株益(円) 1株配(円)
連20.3 1,641,335 62,063 40,429 18,662 111.7 35
連21.3 1,488,486 -5,305 -2,855 -19,332 -115.7 0
連22.3 1,500,879 45,805 29,934 21,801 130.3 40
◇23.3 1,725,609 82,355 70,349 53,029 316.6 90
◇24.3 1,849,287 46,201 31,980 25,377 151.5 50
◇25.3予 2,250,000 130,000 110,000 78,000 465.7 140
◇26.3予 2,500,000 150,000 130,000 92,000 549.2 140〜160
確かに、25年3月期、26年3月期の売上げは、10%以上の成長率を持っています。
ここまでの成熟企業で、この成長率は非常に珍しいです。
その理由を確認しようと、四季報のコメントを確認してみました。
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潜水艦など防衛受注増勢。
前期のエンジン損失580億円一巡し航空急改善。
新工場稼働でオフロード4輪拡大。
コストダウン効果通期発現で精密・ロボ底打ち。
船舶も市況改善享受。最高純益。増配。
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軍需関係の受注が大きいということでしょうか!?
ちょっとわからないので、ホームページを見てみました。
すると、2つの増収増益理由が書かれていました。
① 航空宇宙システムはPW1100Gエンジン損失の反動等
② PS&Eはメキシコ工場の稼働、オフロード四輪車の拡販等を織り込み
つまり、航空宇宙システムと、新工場の稼働が大きな収益要因になるということです。
次に、財務状況を確認します。
1株純資産 自己資本比率 総資産 自己資本 剰余金 有利子負債倍率
連22.3 3,018.31 23.2 2,174,630 505,484 320,671 1.32
連23.3 3,440.39 23.4 2,457,725 576,201 380,255 1.36
連24.3 3,785.57 23.7 2,680,176 634,090 405,156 1.33
思いのほか、自己資本比率が低いですね。
有利子負債倍率も高く、借入金の圧縮が必要と思われるところです。
更に、キャッシュフローを見てみましょう。
営業益 フリーCF 営業CF 投資CF 財務CF 現金等残高 現金比率
連22.3 45,805 98,494 156,890 -58,396 -108,904 108,511 4.99
◇23.3 82,355 -53,840 23,617 -77,457 85,305 138,420 5.63
◇24.3 46,201 -58,152 31,662 -89,814 12,911 84,153 3.14
フリーCFは営業CFと投資CFの和ですから、利益以上に資金を投資に回していた結果です。
この動きを補完するために銀行等から資金を調達しているので、財務CFがプラスになっています。
これだけ見ると、将来の成長を期待して、資金を投資に回し続けていたということになります。
そして、その収穫期が近づき、売上高の増加が見込まれる状況になったということでしょう。
これだけの巨大企業が再成長期に入ったというのは、非常に興味深いことです。
でから、もっと深堀りしたいと思っています。
が、以前は中期経営計画を発表していたようですが、今は発表していないようなので、その辺りをじっくり調べて決めたいと思います。
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