第26回 複利と単利

複利とは、利息にもまた利息がつくことです。
もうちょっと難しく言えば、「当初の元本+利息」を再投資して、新たな利息を得る方法です。
複利の対義語は単利になります。
単利とは、「当初の元本」の金額のまま運用して収益を得る方法です。

言葉で説明するとちょっと分かりにくいので、具体例を挙げて説明します。
今、手元に10万円あります。
これを年利5%で10年間、単利、複利それぞれで運用します。

まず単利の場合です。
10万円の5%は5,000円なので、毎年5,000円の利息が受け取れます。
つまり、元本を含めた資産は、以下の通りに変化します。
 当初  100,000円
 1年  105,000円 (+5,000円)
 2年  110,000円 (+5,000円)
 3年  115,000円 (+5,000円)
 4年  120,000円 (+5,000円)
 5年  125,000円 (+5,000円)
 6年  130,000円 (+5,000円)
 7年  135,000円 (+5,000円)
 8年  140,000円 (+5,000円)
 9年  145,000円 (+5,000円)
 10年  150,000円 (+5,000円)

10年後には150,000円になっていて、利息は50,000円付いたことになります。
まぁ、当たり前の話ですけどね。

今度は複利の場合です。
1年経って生じた利息も元本に組み入れて再投資します。
だから、元本を含めた資産は、以下の通りに変化します。
 当初  100,000円
 1年  105,000円 (+5,000円)
 2年  110,250円 (+5,250円)
 3年  115,762円 (+5,512円)
 4年  121,550円 (+5,788円)
 5年  127,627円 (+6,077円)
 6年  134,008円 (+6,381円)
 7年  140,708円 (+6,700円)
 8年  147,743円 (+7,035円)
 9年  155,130円 (+7,387円)
 10年  162,886円 (+7,756円)

10年後には162,886円になっていて、利息は62,886円付いたことになります。
利息にも利息が付いているので、これも当たり前の話ですけどね。

ここで良く考えてください。
元本は同じ10万円です。
運用期間は同じ10年間です。
利率も同じ5%です。
つまり、10万円を10年間、同じ条件で使えないという環境は同じだったのです。
言い換えれば、『risk』は同じと言うことです。

しかし、利息は50,000円と62,886円と違います。
複利の方が12,886円も多いのです。
言い換えれば、『return』は複利の方が圧倒的に大きいということです。
割合にして25%も多いのです。

今の日本社会では、借金の利息を複利にすることは、法律で禁止されています。
借金が雪だるま式に増えるのを防ぎ、債務者を破産から守るためです。
だから銀行は、融資の際の返済は、利息優先主義を採用しています。
利息優先主義とは、元本と利息がある場合に返済した時、まず利息に返済金を充当した後に、残余があれば元本の返済に充当するというものです。
「あれだけ返済しているのに、なかなか元本が減らない。」
という話を聞くのは、このためです。

反対に、元本優先主義とは、元本と利息がある場合に返済した時、まず元本に返済金を充当し、元本が無くなった後に、利息の返済が始まるというものです。
もし銀行が、元本優先主義を採用していれば、元本分を返済すれば、残っている利息は、返済が滞っても延々と増えないことになってしまいます。
こうなると銀行は、利益の上がらない利息の管理に経費が取られて赤字になるかもしれません。
ですから、現実に元本優先主義で貸してくれるのは、国がやっている「生活福祉資金貸付制度」くらいでしょう。

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