自分の投資スタイルをきめよう
投資スタイルは色々
株式投資のはさまざまな手法があります。
例えば、1日に100回以上の取引を行うスキャルピング、1日に数十回の取引を行うデイトレード、その日の引けで買って翌日の寄りで売るオーバーナイト、保有期間が数週間から数か月のスイングトレード、保有期間が数年単位の長期投資などが挙げられます。
スキャルピングやデイトレードは、その性質上、ザラ場中常にチャートを監視しないといけません。拘束時間が長いため、身体的・精神的な負荷も大きいといえます。
オーバーナイトは引け(1430頃から1500の間)で株を買い、翌日には売ってしまう訳ですから、スキャルピングやデイトレードに比べると負担は少ないように見えます。しかし、どの銘柄を選ぶのか、その候補を常に探し続ける必要があります。そのため、結局は日中に相場を十分に監視できる時間が必要なのです。
よって、一般的な会社員が株式投資をする場合、スキャルピングやデイトレード、オーバーナイトといった短期売買を行うことは実質不可能に近いといえます。
例え本業の合間を縫って取引ができたとしても、ザラ場中に画面に張り付いて取引を行っている専業トレーダーに匹敵する結果を出すことは非常に難しいです。そもそも"本業の合間"などといった、自分が落ち着いていられない状況下で投資活動をしても大きな成果は得られません。
投資をする上では、常に冷静でいないといけません。一番大切なのはメンタルの力だからです。
したがって、日中にザラ場を見ることができない会社員はスイング投資か長期投資しか選択肢がない、ということになります。
ザラ場中に相場に張り付けないのであれば、スキャルピングやデイトレード、オーバーナイトなどの短期トレードはきっぱりと諦めてください。
実は、この『諦める』という考え方が株式投資の世界では非常に重要なのです。
・一般的な社会人が使える手法は、スイング投資か長期投資のみ
・その他の短期トレードはきっぱりと諦める
何を選ぶかではなく、何を捨てるか
日本には、東証一部、東証二部、マザーズ、ジャスダックなどの市場が存在します。
東証に上場している会社は、規模が大きく名実ともに優秀な企業です。二部は一部に比べて会社規模が比較的小さく、一部への昇格を目指している企業が多いです。
マザーズやジャスダックには成長が期待されるベンチャー企業などの新興市場が主に上場しており、東証へのステップアップを目標にしています。
そして、上場企業の数は東証一部、二部で合わせて約3000社、マザースには約300社、ジャスダックには約700社にものぼります。
東証に上場する企業の業績規模や時価総額はマザーズやジャスダックに上場している企業とは桁が違います。また、日経平均やTOPIXと比べてマザーズ指数は乱高下が比較的大きく、株価変動が大きいことがうかがえます
このように膨大な選択肢が用意されている中で自分の投資対象を選ぶことは容易なことではありません。全ての銘柄を見ることなど到底できませんし、兼業投資家が株式投資に費やせる時間も限られています。
よって、『諦める、捨てる』という考え方が前提として大切です。
例えば、
・スイング投資しかやらない
・長期投資しかやらない
・東証に上場している銘柄しかやらない
・マザーズやジャスダックに上場している新興しかやらない
・時価総額300億円以下の銘柄にしか投資しない
・株価が上昇中の銘柄にしか投資しない
・空売りはやらない
・信用取引はしない
というように、自分がやらないことを決めるのです。
自分の守備範囲を広げた方が選択肢が増えて有利になるとか、多くの銘柄を見ないと不安だというような考え方は捨てましょう。
まずは、
自分の守備範囲を明確に線引きし、いかにその精度を高めるか
この考え方が株式市場で勝ち続けるために非常に大切になります。
先にも述べましたが、株式市場の取引には色々な手法があります。そして、それぞれに勝つ道が存在しています。実際に億単位の資産を短期トレードだけ築いた人もいますし、長期投資だけで築いた人もいます。
そのような成功者に間違いなく共通するのは、自分に合った手法、ルールを徹底的に守り抜いたということです。
最初はどんな手法が自分に合っているのか分からないものです。よって、ある程度ラフな線引きをした上で色々試してみることが大切です。そして、検証を繰り返す過程でその線引きを明確にし、自分の厳格なルールを構築していくのです。
兼業投資家におすすめの手法はスイング投資
一般的な会社員が株式投資をする場合、私がおすすめする手法はスイング投資になります。
スイング投資では、一般的な株の保有期間は数日から数か月程度で、その間の株価上昇を取りに行くことになります。
そして、例え日中にザラ場を見れなくとも、自宅に帰ったあとに銘柄選定をしたり売却を決めることができる手法なので会社員に向いている投資手法になります。
それなら、株の保有期間が数年単位の長期投資の方が楽ではないか?思われるかもしれません。
なぜ私は長期投資ではなく、スイング投資を進めるのか。
それは、『長期投資は難しいから』です。
長期投資では企業の業績を徹底的に分析し、数年後に急成長を遂げている確度が高い銘柄に投資します。その企業のサービスや業種に詳しいことは当然ですし、遠い未来を予想して投資する訳ですから、その分前提となる知識と分析力が必要になります。
また、長期で保有するという事自体にもリスクが存在します。それは、天災や戦争、そしてコロナウィルスのような誰もが予想できない事態によって、業績に関わらず株価が大暴落するかもしれないというリスクです。
保有期間が長期化すればするほど、自分のシナリオが外的要因によって崩れる可能性は増すことになります。
よって、専業投資家として1日の大半を企業分析に費やすことができるならまだしも、本業のある兼業投資家が長期投資で利益を上げ続けることは難しいというのが私の考えです。
では、次に投資銘柄を判断する上での分析方法について解説します。
テクニカル分析 VS ファンダメンタル分析
株式投資で利益を出すためには、『株を買い、高くなったところで売る』必要があります。
文章で書くと非常に単純なことのように思えますが、
・株を買う
・高くなったところで売る
この2つのどちらが下手でも株式投資で利益を得ることはできません。
つまり、どの銘柄を選び、その株をどのタイミングで売るかという自分の線引き(ルール)が大切だということです。
この2つの要素を決める方法には大きく分けて二種類あります。
それは、
・テクニカル分析
・ファンダメンタル分析
といわれる分析方法です。
テクニカル分析
テクニカル分析とは、基本的に株価チャートの推移だけを見て購入銘柄や売るタイミングを決めるという手法になります。
1日に100回以上も取引を行うスキャルピングや1日に数十回取引をするデイトレード、オーバーナイトなどの手法は、基本的にテクニカル分析だけで銘柄や売買のタイミングを決めています。
彼らトレーダーにとって対象となる銘柄は値幅変動が大きく、商いが非常に活況であればどんな銘柄でも問題ないのです。その企業の業績が良くとも悪くとも全く関係ありません。保有してもすぐに手放すことになるからです。
株価トレンド
株価チャートは、上昇する際にも下落する際にも波を打ちながら推移します。
そして、株価推移を数週間単位、数か月単位でみると、上昇トレンド、下降トレンド、レンジ(横ばい)の大きく三つに分類することができます。
株価が波打つ際にできる転換点を結んだ線をトレンドラインと呼びますが、トレンドラインを引くことで今後の株価推移を予測する一助になります。
この株価のトレンドを見て売買のタイミングを決めるというのもテクニカル分析の一つです。
上昇トレンド
下降トレンド
レンジ(横ばい)
ローソク足
株価チャートを構成しているのは要素はローソク足です。このローソク足の形や組み合わせによって、今後の株価推移を読みとる手法もあります。
ローソク足はある一定期間での株価の動きを簡略化したもので、その形や組み合わせによって、投資家心理が色濃く現れやすいという特徴があります。
よって、ローソク足の形や推移をよく見ることは、今後の株価推移を読み取る上で一定の有効性があります。
以下、一例を紹介します。
上髭がロウソク足の胴体に比べて長い
このロウソク足が株価が上昇中に形成されると天井になりやすく、翌日以降株価が下がりやすいという特徴があります。これは、買いの勢いよりも売りの勢いの方が強い状態で引けを迎えたことを意味し、翌日以降も売られやすいからです。
下髭がロウソク足の胴体に比べて長い
このロウソク足が株価が下落中に形成されると底になりやすく、翌日以降株価が上がりやすいという特徴があります。これは、売りの勢いよりも買いの勢いの方が強くなった状態で引けを迎えたことを意味するため、翌日以降も買いが入りやすいからです。
陰線が陽線をすっぽりと覆っている(陰の陽はらみ)
この陰線が形成されると、翌日以降株価が下がりやすいという特徴があります。これは、前日の陽線のあとに買いが続かず、商いが売り優勢に大きく傾いた状態(前日陽線の全否定)で引けを迎えたこと意味し、翌日の投資家心理が悪くなるからです。
ここで紹介したものはほんの一例にすぎません。
また、このローソク足を使った手法も絶対に当たる訳では当然ありません。
ただし、ローソク足が形成される過程には必ず投資家同士の取引が存在してします。そして、その投資家心理の集合体がローソク足である以上、その時の投資家心理を色濃く反映させているということは事実です。
指標
テクニカル分析でよく用いられるのが指標を用いた手法です。
株の世界には沢山の指標が存在しています。
代表的な指標には移動平均線(Moving Average)やRSI、ストキャスティクスなどがあります。
ここでは指標の具体的な解説は割愛しますが、指標の意味を理解し、購入銘柄や売買タイミングの一助にしている投資家は沢山存在しています。
ただし、株価トレンドやローソク足、そしてどの指標にしても、これらのサインは、過去の統計からその後の株価推移を予測しているだけということです。
よって、その後の株価推移を約束するものでは当然ありません。そもそも株式市場の世界に絶対的な法則や手法などというものは最初から存在していません。それは前提というものが必ず異なるからです。
指標に頼り切るのではなく、あくまで一助として用いるというスタンスをおすすめします。
このように、テクニカル分析にも方法は沢山あります。板や歩み値の推移を見て売買のタイミングを図る行為もテクニカル分析の一種です。
また、テクニカル分析だけを用いる株式売買のことを投機やトレードと呼び、投資とは区別することもあります。そして投機やトレードを行う投資家のことをトレーダーと呼んだりします。
ファンダメンタル分析
ファンダメンタル分析とは、将来的な企業の価値を分析することで投資対象を決める手法になります。企業の業績や成長性を見極めた上でその企業の未来に投資するのです。その性質上、中長期投資向けの手法といえます。そして、ファンダメンタル分析を用いた株式売買はトレードではなく投資になります。
つまり、株の保有期間が短いほどテクニカル分析のウェイトが大きくなり、保有期間が長期化するほどファンダメンタル分析のウェイトが大きくなるということです。
自分の売買手法がトレードなのか投資なのかによって、分析方法は異なります。短期トレードを行っているのにファンダメンタル分析に時間をかけたり、長期投資をしているのにテクニカル分析に時間をかける行為はナンセンスです。
話をファンダメンタル分析に戻します。
投資家が企業価値を分析するためには、その企業の業績、つまり決算書などの財務諸表が読めることが大前提になります。
しかし、決算書なんて専門的な知識がないと読めないし、面倒だからやりたくない。おそらくほとんどの人がそう思うのではないでしょうか。
その結果、初心者の多くがテクニカル分析に頼り、テクニカル分析を教えるスクールに通ったり、テクニカル分析を手法とした書籍を購入したりします。
私はテクニカル分析を否定している訳では全くありません。実際にテクニカル分析だけで億の資産を作った投資家は沢山存在しています。どの世界にも勝つ道は存在します。
しかし、テクニカル分析は簡単そうに思えて非常に奥が深く、熟練するには相当な場数が要求されます。まさに職人というイメージです。よって、そもそもザラ場中に相場を見れない兼業投資家がテクニカル分析だけを用いることは分が悪いと私は感じます。
会社員こそファンダメンタル分析をすべき
『財務を制するものは、企業を制す』井原隆一著 の中で企業の存在意義は以下の三つであると解説されています。
1、営利(成長・効率)
2、公共(社会貢献・適法)
3、健全(安全・継続)
1.の営利がなければ、公共性も健全性も保てなくなります。
よって、企業の存在意義として営利という要素は非常に大きいのです。
皆さんは自分の会社がどれほど営利(利益)をあげているのか、ご存知でしょうか。
会社は自社の営利のために社員の時間と労力を借り、対価として給料を支払い、福利厚生を保証しています。
自分は対価のためだけに働いているという人もいるかもしれませんが、それでは仕事に面白みや、やりがい、誇りを見出すことは難しいのかなと個人的には思います。
自分の仕事に面白みや、やりがい、誇りを感じるためには、自分の日々の業務がどのように会社の営利・公共・健全に反映されているのか、具体的にどの程度の結果を生んでいるのかを考えるという視点が大切だと思います。
自分の事業であれば、売上や利益が気になるのは当然です。それが全てともいえるからです。そもそも儲かっているか、儲かっていないのであれば何が原因なのか、自分で必死に考えるはずです。
一般的な会社員が1日の大半を仕事に捧げています。その対象となる会社の一年の成果ともいえるものが決算書なのです。その決算書を読むリテラシーを身に付けることは、仕事に対する向き合い方を変えたり、視野を広げることに繋がるのではないでしょうか。
経営陣に限らず全社員が業績を意識し、理解できるリテラシーを身に付けることで、結果的に会社の業績も向上するのではないかと私は思います。
ファンダメンタル分析はただの算数だ、やれば誰だってできる!
私も株式投資を始めたばかりの頃は決算書を読むことなど全くできず、テクニカル分析中心の売買を行っていました。
あるときからファンダメンタル分析を勉強するようになると、自分の投資手法が大きく変わりました。
最初は数字の羅列を読むことが億劫で、とても面倒に感じていました。しかし、多くの銘柄の業績を見るにつれ、見るべき箇所、見る必要のない箇所の区別が徐々に付くようになりました。
そして、ファンダメンタル分析を始めて数か月経つ頃には、業績から一つの銘柄を取捨選択するのに1分もかからない程に成長しました。(実際に投資対象とするかどうかは、さらに要分析)
具体的に業績のどこを見ているのかは後々解説しようと思いますが、継続すれば誰でもできるようになるのがファンダメンタル分析だということをここでは強調したいと思います。
おすすめはテクニカル×ファンダメンタル分析
日中に相場を見ることができない兼業投資家に私がおすすめする手法は、テクニカル分析とファンダメンタル分析の両方を用いたテクノファンダと言われる手法です。
まずは、企業の業績や成長性を分析し、ファンダメンタルが良好な銘柄をピックアップします。その中からテクニカル上、今後株価上昇の期待値が高い銘柄にエントリーするというものです。
例え業績が絶対的に良くても、テクニカル上チャートの形が良くないのであればエントリーはしない、またテクニカル上チャートの形が非常に良くともファンダメンタルが良くない銘柄にはエントリーはしないということです。
逆にいえば、業績が悪くても株価が上昇する銘柄もあれば、業績が良くても数年間株価が横ばいであったり、下落する銘柄もあるということです。これらを原則投資対象にはしません。
ここは、冒頭で説明した、何を諦め、何を捨てのるかという部分にも繋がる話です。
業績が良いという裏付けは、自分の保有している銘柄のグリップ力の強さ(ホールド力)、信念の強さに繋がります。
業績の裏付けがある銘柄は、多少株価が下がってもすぐに買い支えが入り、大幅な下落が起きにくという特徴があるのです。
逆に業績の裏付けがなく思惑で上昇したような銘柄の寿命は短く、突如として暴落することが頻繁にあります。
日中に相場をほとんど見れない兼業投資家としての意見ではありますが、投資手法にファンダメンタル分析を取り入れている者として、テクニカル分析だけでスイング投資をすることは非常に心もとないというのが今の私の意見です。
スイング投資をする上では、テクニカルとファンダメンタルのどちらに偏りすぎてもいけず、上手くバランスを取ることが重要なのではないかと思います。
言い方を変えると、『ファンダメンタル分析という主観と、テクニカル分析という客観が合致したときにだけ出動する』という考え方が大切だということです。
まとめ
今回は、株式投資の手法にはさまざまな種類があること、そして手法によって分析方法も異なることを解説しました。
以下、ポイントを整理します。
・投資手法や投資対象は沢山存在する。まずは何を諦め、捨てるかを考える
・兼業投資家の投資手法はスイング投資か長期投資のみ。短期トレードは諦める
・短期トレードではテクニカル分析、長期投資ではファンダメンタル分析が重要
・兼業投資家にはスイング投資がおすすめ
・会社員ほどファンダメンタル分析を勉強すべし
・スイング投資ではテクニカル×ファンダメンタル分析がおすすめ
今後は、具体的な銘柄選定の仕方や売却のタイミングなどについて解説していきたいと思います!
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