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商社株って買うべき? 割安株の探し方 vol.2

 閲覧ありがとうございます。
 株まとめ@元証券マンと言います。

 初めての方は、こちらの自己紹介記事をぜひご覧下さい。

 これまでの株価分析記事の一覧はこちらです。


 

 前回の記事では、私独自の以下の基準で22業種105社をピックアップしました。

(1)東証一部上場
(2)予想PERが8倍以下
(3)実績PBRが1倍以下
(4)配当利回りが4%以上
(5)1単元が100万円以内

 ただし、ピックアップされた105社は業界の偏りが大きく、それぞれの業種特有のリスクがないか自分自身で分析することが重要ということでしたね。

 本記事では、具体的にどのように業種の分析を行なっているかを書いていきたいと思います。

 まずは、前回の記事でピックアップした割安銘柄105社のうち、実に27社を占める商社株(卸売業)について見ていきます。



①商社(卸売)銘柄の概要は?

 前回の記事でピックアップした商社株(卸売業)27社の内訳は以下のようになっております。※一部順不同

(8058)三菱商事
(8031)三井物産
(8053)住友商事
(8002)丸紅


―――――――――――時価総額1兆円の壁


(2768)双日
(9810)日鉄物産
(8078)阪和興業
(8020)兼松


―――――――――――時価総額1,000億円の壁


(2715)エレマテック
(3023)ラサ商事
(3388)明治電機工業
(7414)小野建
(7537)丸文
(7591)エクセル
(7609)ダイトロン
(7637)白銅
(8065)佐藤商事
(8074)ユアサ商事
(8075)神鋼商事
(8087)フルサト工業
(8133)伊藤忠エネクス


―――――――――――時価総額100億円の壁


(8007)高島
(8091)ニチモウ
(8101)GSIクレオス
(9763)丸紅建材リース
(7619)田中商事
(3321)ミタチ産業


 商社は幅広い商品・サービスを扱う総合商社と特定の商材を扱う専門商社に区分され、特に5大総合商社(三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠、丸紅)と言うと馴染み深いと思います。

 商社が行う卸売業自体は仕入れて売るという昔ながらのビジネスです。

 原油や石炭などの資源や穀物などの食料品を扱っているイメージが強いかもしれません。

 しかし、(特に総合商社は)扱う商材が多岐に渡ることや、卸売業以外にも投資会社のような性格も強く、何をやっている会社なのか実態把握が難しい面もあります。




②なぜ総合商社の投資指標は割安なのか?

 今回の記事ではまず総合商社に絞って、割安な理由を見ていきましょう。


(理由1)収益構造がわかりにくいから

 例えば三菱商事であれば、2019年3月期時点で連結対象会社(子会社+持分法適用会社)が1400社以上もあります。
 
 グループ会社が多ければ多いほどビジネスモデルは多角化し、会社の理解が難しくなります。

 また総合商社という形態自体が日本特有のものであり、日本株の保有率の約3割を占める外国人法人等にとってはさらに理解しにくい企業群となっています。
 参考)2018年度株式分布状況調査の調査結果について

 株価はあくまで買い手と売り手との間の需要と供給により決定されますので、理解しにくい企業の分析に時間を使うよりは、もっと理解しやすく成長期待が持てるその他業種に資金が集まるというわけです。


(理由2)投資会社化しつつあり、利益の割に手元現金が少ないから

 三菱商事を例に挙げますと、実に1400社ほどのグループ会社がありますが、その中には子会社だけではなく、持分法適用関連会社と言って、利益は親会社の決算に反映させるものの、現金・預金などは親会社ではなくその関連会社自身に帰属するという性質の会社があります。
 
 この持分法適用関連会社が大きく利益を上げたとしても、親会社である三菱商事には配当金など限られた手段でしかキャッシュを移すことができず、三菱商事の連結決算ではかなり利益が出ているように見えても、実際のキャッシュはそこまでないという状態になります。
 
 株主が重視するポイントの一つに配当による還元がありますが、手元キャッシュ少ないと物理的に配当金に回す資金が足りなくなるため、その点を懸念して株価が伸び悩んでいるという面もあります。

 この点は、ファンド収益の占める比率の高いソフトバンクグループでも同じことが言えるかもしれません。


(理由3)資源価格等の外部要因で株価が動きやすいから

 これは特に資源を扱う総合商社に当てはまるポイントですが、例えば三菱商事の株価は原油価格の上げ下げに非常に影響を受けます。

 原油のような資源の価格を予想することは非常に難しいので、その点も商社のリスクとしてネガティブに捉えられがちです。



③まとめ

 以上、簡単に総合商社が割安な理由を見てきましたが、やはり業種特有の事情がありました。
 
 このような割安な理由を理解した上で、自分なりに買うに足るシナリオを考えることが重要です。

 例えば、総合商社であれば、今後総合商社のビジネスモデルに対する海外投資家の理解が深まれば需要が高まるかもしれません。
 
 また、投資会社化しつつある各社の主要な投資家の業績が予想よりも伸びれば、親会社に帰属する利益は今以上になります。

 投資に積極的であり柔軟な発想を持っている総合商社であれば、今後の成長性の高いベンチャーなどにも投資して、さらなる投資収益を生む期待も持てるかもしれません。


 
 実際の投資判断を行うにはもっと詳細な分析が必要かもしれませんが、考え方としてこのようなイメージを持っています。

 それでは次回の記事で、総合商社以外の専門商社を見ていきたいと思います。



本記事の内容がよかったら、これまでの記事もぜひご覧ください。

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