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化学メーカー大手、(4004)昭和電工の株価分析! 割安株の探し方 vol.12

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 前回の記事で、私独自のスクリーニング基準で抽出した銘柄のうち、化学メーカーに絞って見ていきました。

 大小さまざまな化学メーカーがスクリーニングの結果抽出されましたが、最も買いを検討できそうだったのが(4004)昭和電工でした。

 今回の記事では、(4004)昭和電工について、今の株価で買うべきか否か、詳細を見ていきたいと思います。

①昭和電工ってどんな会社なの?

 昭和電工は石油化学、化学品、無機、アルミニウム、エレクトロニクスなど様々な分野の個性派製品を生み出す化学メーカーです。

 収益としては、以下の6つのセグメントに分かれています。
(1)石油化学 26% ※エチレン、ポリプロピレン
(2)無機 25% ※研磨材、研削材、耐火材、電気製鋼炉用の黒鉛電極
(3)化学品 15% ※電子材料用高純度ガス・溶剤
(4)エレクトロニクス 10% ※ハードディスク、リチウムイオン電池用材料
(5)アルミニウム 10%
(6)その他 14% ※各種化学品、樹脂、金属、電子材料
※国内と海外の売上げ比率は56:44となっています。

 昭和電工の技術は、電気化学に端を発していますが、無機化学・有機化学・金属材料へと発展を遂げ、現在は情報通信産業、自動車産業に用いられる素材・部材や生活に必要な様々な製品に活用されています。

  また、 国内ではじめてアルミニウムの商業生産を開始するなど、業界におけるパイオニア的な側面もあります。

 海外に41拠点あり、売り上げの44%がすでに海外であることから、海外展開も積極的に行っていることがわかりますね。

 ※参考 昭和電工HP『5分でわかる昭和電工』

②昭和電工の規模ってどのくらい?

 それでは次に、昭和電工の定量情報を見ていきましょう。

●時価総額:4,536億円 ※2019年11月1日時点
●年商:9,921億円 ※2018年12月期
●営業利益:1,800億円(営業利益率 18%) ※同上
●当期純利益:1,115億円(最終利益率 11%) ※同上
●連結従業員数:全社合計10,603人 ※2018年12月末

 売り上げ約1兆円で、営業利益率18%というのは非常に高いですね。
 2018年度では、化学メーカーのトップ10には入る水準ですし、平均よりも高いと言えます。

 売り上げ、利益ともに十分大手といえる数値だと思います。

③昭和電工の業績と配当金はどれくらい?

 直近5年の実績及び今後の見込みは以下のようになっております。

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 一株あたり利益は15.12月期からは急激に上昇し、配当金もそれに伴って増配しているのがわかりますね。

 営業利益は比較的右肩上がりが継続していますが、15.12期に最終利益が大きく下がっているのは、何かしらの特別損失があったためと推測できます。

(IR資料によると減損損失及び貸倒引当金繰入で約240億円の特別損失が計上されています)

 以下は月足チャートになります。

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 2017年までは1,500円前後と低調で、そこから2018年後半にかけて6,000円を超えましたが、現在はまた500円近辺で推移しています。
 今年の8月末から今にかけては上昇トレンドになっています。

 ちなみに、2019年11月1日終値ベースで、各種指標は以下のようになっています。

PER:4.91倍 ※東証一部平均16倍
PBR:0.90倍 ※東証一部平均1.2倍
配当利回り:4.29%

 化学セクターの平均と比べると、PER・PBR共に非常に割安な水準と言えます。

 なぜ大手である昭和電工の株価が業界平均と比べても割安のまま放置されているのでしょうか?

 次は、昭和電工のリスクについて見ていきます。

④昭和電工のリスクは?

 昭和電工のリスクは、業績変動リスクが挙げられます。

 と言うのも、ここ数年の昭和電工の株価は、黒鉛電極の需給の影響を如実に受けています。

 黒鉛電極は電気炉で鉄を溶かす際に使われており、環境規制を背景にした旺盛な中国需要などを背景に価格が跳ね上がって黒鉛電極バブルとも呼ばれています。
 昭和電工はこの黒鉛電極で世界トップシェアを誇っています。

 黒鉛電極は、昭和電工のセグメントで言うと「無機」にあたり、上述した通り、無機セグメントは昭和電工の売り上げの25%を占めています。

参考『昭和電工が大幅高、黒鉛電極好調で投資資金流入が顕著に』(2018年9月26日)
参考『昭和電工が急落、黒鉛電極の需給悪化に懸念』(2019年4月4日)

 黒鉛電極の需給がどのくらい昭和電工にとって重要なのかは、数字で見ていただけるとわかりやすいです。
 以下、2018.12月期の昭和電工のセグメント別売上&利益になります。

(1)石油化学 売上:2,689億、営業利益:203億
(2)無機(黒鉛電極) 売上:2,661億、営業利益:1,324億
(3)化学品 売上:1,565億、営業利益:174億
(4)エレクトロニクス 売上:1,058億、営業利益:124億
(5)アルミニウム 売上:1,083億、営業利益:49億
(6)その他 売上:1,434億、営業利益:29億

 無機(黒鉛電極)で全セグメント営業利益の7割を占めています。
 また、無機セグメントの2017.12月期の営業利益はわずか69億円でした。

 現在の稼ぎ頭であることは間違いありませんが、短期間で急激に売上・利益が伸びているのをみると、安定性があるとはとても言えなさそうです。

 市場参加者も黒鉛電極バブルがいつまで続くか懐疑的だからこそ、昭和電工の各種指標は割安のままになっているわけです。

⑤昭和電工は今買うべきか否か?

 以上、昭和電工を見てきました。

 昭和電工を買うか否かはシンプルに、黒鉛電極ブームの今後をどう読むか次第と考えられます。

参考『黒鉛電極ブームの先どう読む 二極化する市場の見立て』

 私個人としては、黒鉛電極に左右される状態はリスクがありますが、株価が一時の6,000円台から3,000円と半値まで下がり、PERが5倍を切っている現状では、そのリスクはある程度織り込み済みであると考えられます。

 とは言え、今後の流れも注意が必要なので、まずは100株程度の保有に留めておき、不当に値下がりしたと思えば買い増しすれば良いと思います。

⑥まとめ

 今回の記事では私独自の基準でスクリーニングをかけた銘柄のうち、化学メーカーの1つ、(4004)昭和電工を見てきました。

 結論としては、なかなかリスクはありますが十分買いを検討できる銘柄と考えます。

 次回の記事では、昭和電工の株価の鍵を握る黒鉛電極バブルについて、さらに詳細を見ていきます。


※これまでの記事はこちら⇒割安株の探し方シリーズ(記事まとめ)

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