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羽根英樹さん講演会〜需給を読む事が飯の種。あまのじゃく投資法イベントドリブントレード。 その6[質疑応答編] 2023.7.1開催

2023.7.1に開催されました羽根英樹さんの講演会の書き起こしになりま

その1[自己紹介 イベントドリブンとは何か]  


その2[定量分析]

その3[凡人は天才にはなれないが]

その4[イベント再現性投資法 システムのバグをついた裏技トレード]

その5[TOB イベント探しの旅]

Q. 失敗について教えてください。

A. 損したトレードは別に失敗じゃないと思います。予定通りではないですが、勝ち負けを繰り返すのが普通で、負けトレードは経費だと考えています。ただ、ミスは致命的ではないですが、かなり痛いです。例えば、売りと買いを間違えるのが一番痛いですね。買おうとしていたものを間違って売ってしまうと、機会利益も失うし実際に損もするし、メンタル的にもすごくやられます。ミストレードの場合はすぐに切るようにしています。

過去には、イベントの重要な日を1日間違えたこともあり、それは大きな失敗でした。あとはTOBで読み違えたこともありますが、それくらいですね。

Q. 今のトレードのきっかけとなった本やブログなどありましたら教えてください。

A. NHKスペシャルの「マネー革命」という特集が面白かったです。今でもYouTubeにあるので、時々見てモチベーションを上げています。また、「マーケットの魔術師」シリーズも良いです。アメリカの成功した投資家が多く登場し、モチベーションアップにも良いですし、共通点(規律を守ることなど)も学べるので面白いと思います。

Q. 本に書いていない秘密の手法はありますか?

A. すみません、YouTubeやTwitterで配信されているので、ここでは言えません。ただ、会場に来られた方には特典として、少しだけお話しできるかもしれません。

Q. 本を出版してから4年経って、変化したことはありますか?

A. 指数、特にTOPIXの指数に関連するトレードが全然効かなくなってきています。例えば、TOPIX銘柄の除外や追加に伴う株価変動が、昔ほどきれいに起こらなくなりました。これは、同じことをする人が増えたためかもしれませんし、ヘッジファンドも同様の取引をしているためかもしれません。

Q. 定量分析のデータはどこから取得し、どのように分析していますか?

A. データはパンローリングのアクティブデータベースを主に使っています。約20年分のデータが取れるので、これでほとんど賄えます。名称データが必要な場合は、Yahoo FinanceのVIP会員になると便利です。分析にはExcelを使っています。パンローリングのソフトは一度購入すれば永久に使えるので、コストパフォーマンスが良いと思います。

Q. TOBは定量分析ができず、安定して儲けることは難しいのでしょうか?

A. TOBは定量分析が難しく、主に定性分析になります。ただ、TOBがかかる前にTOB対象になりそうな銘柄を見つけるのが得意な人もいます。例えば、親子上場の解消候補リストを作るなどの工夫はできますが、分母が大きすぎて追いかけるのが難しいです。バリュー投資家の方々からも反響があったので、そういった方々と情報交換しながら精度を高めていきたいと思っています。

Q. TOBの上限付きTOBについて、応募率が重要な理由を教えてください。

A. 上限付きTOBでは全株を買い取ってもらえないため、応募率の予想が重要です。例えば、1000円で買い取ると言われている株が現在900円だとします。買い取ってもらえた分は100円の利益が出ますが、買い取ってもらえなかった分は、その後下落すれば損失を被ります。買い取ってもらえる割合(例えば7対3か、6対4か、5対5か)が分からないと、リスクリワードレシオが計算できません。つまり、応募率を読むスキルがないと投資戦略を立てられないということです。

Q. 一般のTOBで価格差がある場合、TOBが失敗する可能性があるということでしょうか?

A. 現在の市場価格がTOB価格より低いのは、市場がTOBの成立に不安を感じているからだと思います。例えば、アクティビストが応募するかどうかで不安を煽る記事もあります。個人的には成立する可能性が高いと思っていますが、市場はリスクを織り込んでいるということです。

Q. 東証プライム市場からスタンダード市場への移行企業について、さや取りの可能性はありますか?

A. スタンダード市場に移行するかどうかの判断は難しいです。明らかに基準を満たしていない企業はスタンダード市場に行くでしょうが、境界線上の企業の場合、会社の努力次第でプライム市場に残れる可能性もあります。株価政策を打ち出してプライム市場の条件を満たすかどうかの判断は、外部からは予測しづらいと思います。

Q. トレードをしていて良かったと思うことは何ですか?

A. お金が増えたというのも良かった事ですが、それ以外にも生きがいになっていると感じます。トレードは仕事でもあり趣味でもあるので、とても面白くてやっています。検証やトレードの作業も苦痛に感じません。面白いと思えることが良かったと感じる点です。