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湯に入りて湯に入らざれ

石畳の路地に真っ赤な提灯が素敵な夜だった。
訪れたのは一昨年の10月末頃、さすがは山奥といったところかかなり冷え込んでいたのを覚えている。
カラコロと下駄を鳴らして歩くのが楽しくて、目的もなく往復した。

私のおすすめの旅行先、大分県は由布院近郊、湯平温泉について書こう。

温泉どころとして有名な由布院は言わずもがなのため割愛。私が特に気に入っているのは湯平温泉だ。
由布院駅から電車で約15分、湯平駅からタクシーで10分ほどのところにひっそりとある温泉街。
由布院駅からの電車は1時間に数本。また湯平駅にタクシーが留まっていることも少ないので、念入りに時刻表を確認することとタクシー会社への事前連絡をおすすめする。
ちなみに湯平駅から湯平温泉まで徒歩で向かうのを試みてはみたが途中で心が折れたし、折れて正解だったと思う。大人しくタクシーを使おう。

湯平駅はこんな感じ。
あまりにも山の中すぎてここで降りていいものか戸惑うが、そこで正解。


決して大きな温泉街ではない。
メインの石畳の路地が1本、路地沿いの温泉旅館が数軒、唯一買い物できるのは営業時間の短い商店のみ。1軒だけバーがあったが、営業時間が20時までだった気がする。(おぼろげな記憶ですみません。)
持ってくるのを忘れたメイク落としを調達しようったって簡単にはいかない。結局私は牛乳石鹸で洗顔した。
また、私が泊まった旅館は部屋が4部屋しかなかった。
しかも同じ日の宿泊客は1組のみ。ほぼ貸し切り状態である。館内には「使用中」の札を掛けて使う温泉が1つだけ。
夕方に風呂に入り、窓を開けると聞こえてきた昔ながらの町内放送にグッときた。
贅沢な空間と時間の使い方だ。

石畳に赤提灯。
こういう温泉街に行くのが憧れだった。
まるで何かの物語の一員になれたかのような錯覚が味わえる。


夕飯には湯布の川魚と牛肉、旬の野菜がふんだんに使われていた。
話しかけたらフレンドリーに応えてくれるが、必要以上に干渉されない女将さんとの距離感もちょうどよかった。

ひんやりと澄んだ空気、昼は緑に囲まれた川辺を散歩して、夜は浴衣と下駄で赤提灯にきらめく。
テーマパークや歓楽街のような煌びやかさと即効性のある娯楽はここにはないけれど、ゆったりした時間と酔いしれられる雰囲気はとても良かった。
ぜひともまた訪れたい旅行先だ。

あーあ、早く旅行がしたい!

【今回のテーマ:心に残っている旅先、オススメの旅先】
【書いた人:よしお】


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"お酒のこと"
ちょうど今お酒を飲みながらこれを書いているから。気分がいいぞ。
好きなお酒の話、お酒の席の話、お酒の失敗の話、なんでも書いてくれ。

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