ゴミ屑と花
好きな写真家の方がオススメしていることを知り、急遽映画を見に行った。
夜の新宿に1人で行くのなんてマジで何年振り。300年ぐらい軽く経ってる。
夜の新宿は相変わらず新宿でまったく変わってなかった。ほんとに何も。
こうしてみると、人間って光に集まる夜光虫と変わらないな。
新宿の小さめの会場。100人ぐらいで満席をいただいてます!ってなる映画館。いいよねぇ。こういう規模感の映画館。好き。
なんかこういう小さい劇場でしかやってないんすよ!みたいな映画の中にめっちゃ心揺さぶるやつってある気がしている。華々しく出てこないんだけど、実は大事みたいな。
映画は元航空自衛隊の男が航空機事故で退職し、新たにゴミ取集車の仕事に就くところから始まる。始まるというか、入社後の研修中の1日の夜〜朝までの30分のショートムービーだ。
ごみ収集の仕事を蔑む人や、無言で差し入れをくれる人。
様々な人間模様が30分の中で出てくる。
航空自衛隊という空から、地上に降りてきた尾崎。
冒頭、酔っ払ったサラリーマンにどつかれて倒れる尾崎。
夜空を見上げながら「俺もゴミ屑か」というシーンがある。
恐らくこのシーンは天から地に降りた(落ちた)というメタファーなのだろうと思った。地に落ちた人間の這いつくばって生きていくストーリー。
印象に残っているシーンがある。
主人公の尾崎が研修をしてくれている女性の先輩に車を運転しながら言うのだ。
「誰とも目が合わないんですよね。まるでそこに居ないみたいに。みんなゴミが勝手に消えると思ってんのかな」
すると先輩は答える。
「じゃあ、尾崎さんは今までごみ収集の人に感謝して生きてきました?」
お前、今の環境や人生に感謝の気持ちを忘れんなよ。
大事なことはだいたい、見えないもんなんだよ。
見えている世界なんてちっぽけなんだよ。
驕らず、謙虚に生きろよ。
例え、地に落ちたとしてもしぶとく、しぶとく生きろよ。
そんなメッセージを感じた映画だった。
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