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【エッセイ】猫にとっての幸せのかたち

野良猫の寿命は5年ぐらい、らしい。
我が家の猫は元野良猫で、今度の春に推定10歳となる。

もし野良猫のまま生活していたらどうなっていたんだろう。もうこの世から去っていたかもしれない。地域でかわいがられて野良のまま長生きしたかもしれない。
我が家に来たことが良かったかどうかは本人(本猫)にしか判断ができない。人間だって「長生きするより、太く短く生きたい」と言う人もいる。知人の猫は、何度も保護しても家から脱走するらしい。その家の近所をうろうろしているので、その人が嫌いではないようだが、たぶん破天荒な生を全うしたいタイプなのだろう。
その点で言えば我が家の猫は、外の空気を吸うのが好きでも、脱走はしない。家にいるのが好きなタイプなのかもしれない。

私のベッド、畳まれた父の服、母の膝。人の匂いがついた場所でくつろぐ猫を見るたびに、この家が少しでも猫にとって幸福な場所であってほしいと願う。


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