【エッセイ】思い出のテスト
今でも印象に残っているテスト問題がある。
小学生の時。
どこかの会社が作ったテスト用紙で、カラフルな色遣いのものだった。歴史の時間、日本地図を測量によって作成した伊能忠敬の単元だった。
「あなたがもし伊能忠敬と話ができるなら、何を伝えますか?
自由に書きなさい。」
実際の出来事を学ぶ歴史の問題で、こんな自由記述問題が出るなんて。
たぶん、そういう驚きもあった。
この問題に配点があったかは覚えていない。が、自分の解答は覚えている。
「あなたの弟子が地図を完成させたから、安心してほしい。」
返ってきたときには花丸が付いていた。
そう、伊能忠敬は測量は終わらせたが、実際に地図を完成させる前に亡くなってしまっている。規模も内容も大差はあれど、ものづくりを楽しむ人間として「完成品を見られなかったのは無念だったろうなあ……」とかなり印象に残っていたのだ。
それにしても。
あの問題は「自由に書きなさい」とあった。
「歩いて地図を作るなんてすごい!」とか、
「地図をつくるのに、いちばんたいへんだったことはなんですか?」とか、
もっと主観的な感想を書いた場合にも、先生は花丸をくれていたのだろうか。
あくまでも「自由に書きなさい。」とするのなら、伊能忠敬について書いてあれば花丸がもらえる仕組みだったらいいなあ、なんてことを思うのであった。
今日が「地図の日」と知ったので、そんな思い出話でした。
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