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地下アイドルオタクも「恋愛禁止」を考えたくなった

サンタコスプレって、残酷だと思う。

クリスマスに投稿が間に合いませんでした。地下アイドルオタクのかべのおくです。


1ヶ月くらい前、AKB48の岡田奈々さんの熱愛発覚を週刊誌が取り上げ、恋愛禁止の議論に発展した事件がありましたね。一連の流れは以下の通りです。

  • 岡田奈々さんの熱愛が週刊誌で報道される

  • 総監督の向井地美音さんが「恋愛禁止について改めて考える直す時期が来た」と発言

  • 責任をとる形で岡田さんが卒業を発表

おそらく多くの人がご存知かと思うので、あえて細かい説明はしません。

僕は火中の栗を拾うのは好きではありません。流れに乗せられて、本意では無い発言をしてしまう可能性があるからです。しかし事件も一段落して一応の決着を見たところで、僕の思うところを語りたいと思います。


恋愛禁止は「ルール」ではなくて「通念」

まずは今回の事件、まずは表面的な部分についてコメントします。

部分的にしか分からないものの、「AKBは恋愛禁止ではない」ことを頼りにしているのであれば、岡田奈々さんのコメントは的外れだと思います。恋愛禁止の本質はそれが明文化されているかではなく、「アイドルが恋愛することは世間が認めない」という通念(世間一般に共通した考え)だからです。一方で「このグループは恋愛禁止ではない」というのは単なるルールの確認に過ぎず、全く問題を解決していないことになります。

今回反省すべき点は、恋愛をしたことではありません。自分がそれを公にすることによってどれだけの影響があるか、それを分かっていなかったことだと思います。


そしてこの、恋愛禁止は「通念」であることが、議論を難しくしていると考えられます。これは言わば「恋愛するアイドルが許せるか?」という正義・倫理観の問題です。色んな意見があるので、どんな対応をとっても必ず批判されます。それに、恋愛は人間の本能に紐づいているので、各自の経験などに大きく影響され、冷静な議論になりにくいのです。

とはいえこれをメンバーが現場レベルで考えると表明したのは英断であり、評価されるべきだと考えられます。繰り返しますがこれは正解のない問題なので、運営や総監督の発表を見て「はいそうですか」で終わりではいけません。きちんと「自分はどう思うか?」について、一人ひとりが考えて発信する必要があるのでしょう。


「地下アイドルオタク版トロッコ問題」で倫理を考える

それでは、次に僕自身が恋愛禁止をどう思うか、どういうふうに考えたか、その過程と結論をご説明します。


結論から言えば、僕はアイドルの恋愛を容認し、推しメンに彼氏がいても構わないという立場です。ただしこれは、「ん〜、まあ勝手にすれば良くね?」みたいなものではありません。

そもそも、世間一般に恋愛禁止に関する議論は他人事過ぎると思います。「世間一般にこうなるよね」なんて意見は求められていません。そんなのは分かりきっているからです。もっと本当に起こりうる状況を想定して、「自分ならどうするか?」を考えないと正義や倫理は語れません。

そこで今回は、地下アイドルオタクに起こりうる究極の状況で思考実験をしましょう。このnoteを読んでいるあなたも、ぜひ考えてみてください。



ここから、あえて行間を広めに取っています。めんどい人は次の章までスキップしてください。



ーー

あなたは一度死んでしまいましたが、奇跡的に生き返りました。



しかしながら、それまでの皆さんの肩書きや地位、身分は全て失われてしまいました。

あなたは何歳かは分かりません。小学生かも知れないし、高校生、大学生かと思えば、定年間近の初老かもしれません。

あなたは男性なのか、女性なのか、それともそれらに当てはまらない性別なのかも分かりません。

あなたの職業も分かりません。会社員かもしれないし、芸能人関係者かもしれないし、別のグループのアイドルかもしれません。



しかし、あなたが地下アイドルオタクであることだけは分かっています。

あなたには推しのアイドルがいて、もう長いこと現場に通っています。

色んなアイドルを推して来ましたが、「もうこの子しかいない。この子が最後の推しメンでいい。」と思える推しメンにめぐり逢いました。


そして今日も、いつものようにライブハウスに向かっていました。


こんな状況設定で、次の質問を読んでください。

ライブに向かう道中、推しメンと同じ電車に乗り合わせた。男性と隣合って座っていたが、次の駅で男性だけ降りていった。
「新しいマネージャーさん?」
と聞いたら、
「実は彼氏なんだよね」
と言われた。
あなたはライブに行って、その子が推せる?

ーー




結論は出ましたか?

答えは「推せる 」「推せない」の二択です。


「分からん!」という人は、もっと自分ごとにしてこの問題を考えてください。たとえば、

  • どのライブハウスに向かうのか?

  • ライブは対バン?ワンマン?

  • 電車は私鉄?JR?何号車?

  • 「推しメン」はどんな顔?どんなスタイル?

  • 「彼氏」はどんな格好をしている?

みたいな状況設定を具体的にイメージするとなお良いでしょう。

「オタクが乗ってきそうな電車に彼氏と一緒に乗るな」
「オタクも特典会以外の時に話しかけるな」

とかいうツッコミも浮かぶかもしれません。しかしあくまでも、「恋愛しているアイドルが許せるか?」を自分ごと化するための質問と捉えてください。



僕はライブに行くと思います。なんなら恋愛を隠蔽するための手助けすらするかもしれません。これは、アイドルとしての彼女は、恋愛してもしてなくても変わらないと考えるからです。

僕にとって推しメンとは、アイドルの姿をしてステージで華麗にパフォーマンスを見せて、特典会で楽しく会話ができる存在の彼女です。現在はSNSの発達によって24時間アイドルであることが求められているとしても、隠したいプライベートはあるでしょう。

もちろん、恋愛している時間でボイトレやダンスレッスン、宿題チェキや配信をやったほうが良いという意見は至極真っ当です。しかしアイドルの価値は時間単価では換算できません。そもそも、恋愛しているからパフォーマンスが下がるようなアイドルなら推していないと思います。ある意味、その点において自分の感覚に信頼を置いているのです。


世間の厳しさと諦め

さて、以上は僕の意見ですが他の人はどう考えているのでしょうか?そこでTwitterで投票を行ってみました。

結果は以下のとおりです。投票数的には少し寂しいですが、一定の参考にはなるかと思います。

ここではTwitterの投票であることを考慮して、「分からない」という選択肢を設けました。しかし結局のところこれは恋愛を積極的に支持していないわけですから、恋愛容認派は投票者のうちの25%だったということになります。なのでこの回答に答えてくれた人は、おそらく「アイドルの恋愛は許せない」という倫理観を持っている人が多かったという事になります。

やはり未だに、世間には恋愛が発覚することは「スキャンダル」と捉えられますし、大きなイメージダウンに繋がるから運営はそれを隠そうとするのです。したがってここまでの議論を踏まえてもやはり「アイドルの恋愛は倫理的に認められない」と言えるのでしょう。



今回の一件も結局、岡田奈々さんが責任を取って卒業、という結論で幕を閉じたようです。

しかしこのような形で終わったとしても、過去の功績は無かったことになるのでしょうか?論理的に考えればそんなことはありません。記憶が人々の頭の中から消えるわけではないからです。個人的にはかなり割り引いて見たとしても、岡田さんの活躍がなければAKB48の寿命はもっと短かったんじゃないかと思います。


しかし、現状の様子を見ても彼女が正当に評価されているわけではないようです。むしろ「致命傷を与えた」といった論調も見られます

残念ながら、地下だとか地上だとかに関係なく、これが「アイドル」という人気商売の限界なんじゃないかと思います。それくらい、アイドルは人気と実力が一緒くたにされてしまう世界なんだと思います。どこかの野球選手みたいに、「不祥事を起こしても、ショートストッパーは彼しかいない」みたいにはならないのです。


今こそ見つめ直すべきオタクの役割

世間がこんな見方をしている、ということが分かってしまった以上、われわれオタクはどう振る舞うべきなのでしょうか?

それは、「どんな形でも推しを応援すること、そしてそれを発信すること」だと思います。


アイドルは人気が実力、つまり人気がありさえすれば実態を見られずに実力が判断されてしまいがちです。そんなアイドルの実力が本当に分かっているのはオタクだけです。ライブに通って、特典会に通って、オンライントークをやって。オタクはアイドルに直に触れて、実力を判断しているのです。

そしてオタクは推しに続けて欲しいと思うなら、それを応援の姿勢として示さなくてはいけません。「会いに行くのが最上級」という主張もありますが、それは人それぞれができる範囲でいいと思います。


そして、そこで感じたことを何らかの形で発信していくべきでしょう。繰り返しますが、アイドルの実力が分かるのはオタクだけです。自分なりのスタイルで構わないので、現場の声を少しでも見えるようにしていくことが求められています。それがアイドル達の、正統な評価に繋がると思います。

アイドルたちが少しでも活動しやすく、オタクたちが少しでもオタ活しやすい世の中になることを願って。


おわりに

まとめます。

残り僅かな今年のオタ活にも、幸多からん事を。

以上です。

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