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ランナウェイ

「ランナウェイ」毎日楽しく稽古しております、少なくとも私は。前半は昨年書いたものがあるので、六月中にはぜんぶ書けるのではないかなと思っていましたが、結局八月下旬までかかってしまいました。しかしその二日後にはせりふが入っており、通しもできていた、感動ひとしおです。言葉を「それ自体は通路であるような道具としての言語」と「そこで行き止まりのモノとしての言語」とのふたつに分類するという考え方は、今では見向きもされない考え方なのかもしれないが、私のような頭には一般言語学のようななんだかわからないようなものよりはしっくり馴染む。前の方を「身体を伴う言語」、あとの方を「身体を伴わない言語」とやや乱暴に置き換えると、戯曲に用いられるのは前の方が多いわけなのですが、私はこれまであとの方をもちこむことにだいぶんこだわりながら書いてきたように思う。身体を伴わないことばの情報と、それとは別に身体の情報をそこに上乗せることができるからなのだ。これが私の創作上のたいへん大きな楽しみなのだが、「ランナウェイ」は前の方の言葉だけで作りました。これは最初から考えていたというより、事情によりということの方が大きい。ひとつには昨年朗読で使った(勢いだけで書いた)テキストに接ぎ穂するかたちではじめてしまったこともある、それにコロナ禍において以前と同じように書くということに、なんというか物質的なというのか紙(パソコンですけど)のほうから抵抗のようなものを、感じてしまったからでもある。いや、いまあると書いたが単に老化によるものを事情のせいにしているだけかもしれません。いいたいことは自分にとって結構新鮮な作品になりそうですので、反応を楽しみにしているところもいろいろありまして、なのでぜひ多くの人に見てもらいたいと思っているところです。なにとぞよろしくお願いします。


壁ノ花団『ランナウェイ』
2021年9月9日(木)-9月12日(日)
@THEATRE E9 KYOTO
http://kabenohanadan.com/kabe15

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