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09.タイムリープの実装問題(2)

※前回のタイムリープものの(スキの数が多かったので)その2です。

 前回、地球は粉々になったが、それとは異なる時間軸のお話。

 タイムリープ(とここでは呼ぶ)という時間を超える技術の実装研究もそろそろ終盤に差し掛かっている。
 「あぁー!時間が掛かる!」私は机を叩きながら頭をむしっていた。これまでの実験は昆虫から始まり、哺乳類も時間を超えて未来に送り込むことには成功している。技術は完全に安定しているのだ。
 ただ、実験で物体を未来に送った後、その実験結果は未来の時間になるまで分からないのだ。実験は微妙な調整を行いながら、何度も繰り返す必要があるのだが、実験を行う度に待ちの時間が発生してしまう。
「そうか!実験の結果を一番早く得るためには、自分が未来に行けばその瞬間に結果が分かるし、なるべく近い未来に送ることができれば実験を早くすすめることができる!」なぜこんな簡単なことを思いつかなかったのかと思いながら、準備に入った。

「よし、次は1分後に送ろう。」

 時間を1分後にセットし、タイムリープをするための装置の中に入った。装置の扉がロックされ、鈍い音を立てながら装置が起動する。技術は安定しているものの、膨大なエネルギーを溜め込む必要があり、カウントダウン開始までにそれなりの時間を要した。

「起動までの時間は3分くらいは必要になるなぁ。これも改善していく必要がある。」

「…3分?」
カウントダウン、10、9、・・・1、0!
装置は光につつまれ、装置に入った後の1分後の世界にタイムリープした。

そこは、装置に入ってからの1分後の世界。タイムリープ装置は鈍い音を立ててエネルギーを溜め込んでいた。
「あれ、これは…」

それから2分後、カウントダウン、10、9、・・・1、0!
装置は光につつまれ、装置に入った後の1分後の世界にタイムリープした。そして、それから2分後、カウントダウン、10、9、・・・1、0!
装置は光につつまれ、装置に入った後の1分後の世界にタイムリープした。

「おーい!助けてくれー」

そして、それから2分後、カウントダウン、10、9、・・・1、0!
装置は光につつまれ、装置に入った後の1分後の世界にタイムリープした。

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