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グイグイ/ボサボサ/しわしわ

朝からグイグイ気温が上がって、お昼前には洗濯物が燃え上がりそうな暑さになった。救急車のサイレンが聞こえる。熱中症で倒れた人がいるのだろうか。この天気では無理もない。

こんな暑さの中でボサボサの毛を着ている犬や猫が気の毒だ。当人たちも「こんなはずじゃなかった」と思っているだろう。暑さをしのぐといっても、犬なんてハアハア言うくらいしか手がないわけで、お手なんて覚えるんじゃなかった、ビーフジャーキーで喜ぶんじゃなかった、なんてひたすら後悔しているのではないだろうか。

人間をやっていても、この季節、がんばって生きていこうという希望のバッテリーが少なくなっていくのを感じる。何も楽しくないし、やる気もない。もうどうでもええわ、みたいな自暴自棄の叫びすら上げる気になれない。自分自身が、よれよれのチラシに書いた年寄りのメモになった気がする。なんか書いてあるけど、読めない。手に取った人も「どうせ大したこと書いてないだろ」なんて言って、ファミマのレシートと一緒に丸めて捨てられてしまう。しわしわになった自意識が眉間に二、三本の筋を入れて不満そうに寝ている。

薄い人影をイメージする。何か叫びながら思い切りビンタする。誰かを殴ったという手応えがある。手のひらが痺れる。じんわりと熱い。いったい誰を殴ったのか。


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