リツイート事件最高裁判決について

 前から気になっていた裁判の最高裁判決が出たので忘備録として書きます。法律家ではないので間違っているかもしれません。
判決文
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/597/089597_hanrei.pdf
第一審判決文
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/185/086185_hanrei.pdf
第二審判決文
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/761/087761_hanrei.pdf

どんな判断になったの?

画像1

画像2

 上記の絵には@kamemushiという名前があります。しかし、ツイッターに投稿すると名前が見えません。ツイッターには、縦横比が異なる画像であっても投稿時に自動でトリミングする機能があります。
 他人が作った画像を無断でツイートするのは違法です。本件判決では、この機能によってトリミングされて名前が見えなくなった画像を含むツイートをリツイートすることが、氏名表示権(著作権法19条1項)を侵害するという判断がなされました。
 控訴審判決時点で、縦横比が変更される自動トリミング機能により同一性保持権(同法20条1項)が侵害されているという判断がなされており、判決文ではこれに触れていないため控訴審の判断を維持する立場をとっているようです。

忘備録

 以下、ざっくりと思ったこと
 本件で特徴的なのは、ツイッターでは、画像をタップすれば氏名を含んだトリミングされていない画像が表示されるという仕様であっても、氏名表示権侵害となるとしている点。しかし、これには補足意見によって、画像をタップするのがユーザにとって一般的だと思われるような事情の有無を考慮するとしており、反対意見では、ユーザに適法な画像を含むツイートであるか判断させるのは、過度の負担を与える判断だとしている。
 本件にようにツイートした者と画像の名前が異なるような容易に判断がつくケースであればリツイートする者への責任が追及できるかもしれないが、名前が記載されていない写真や絵であったため容易には判断がつかないケース、機械的に特定キーワードに反応してリツイートする外部機能を用いてリツイートを行ったケースにまで射程が及ぶかわからない。
 ツイートにいいねをする行為であってもタイムライン上に表示されないとはいえ、いいねをした者のいいね欄にはタイムラインと同様に表示されるため同様の侵害となるかという点。
 ツイート時点で一部がトリミングされている画像をリツイートしたとき、さらに自動トリミングされたといえるときは侵害となるかという点。
 下記のように特定のツイートを表示する機能を用いたサービスにおいても同様に侵害となるかという点。

 いろいろ考えるとSNS狙い撃ちみたいな判決。SNSは、ユーザに適法かどうか判断させる面倒を与えるか、自動トリミングのようなサービスの統一的な見た目を維持する機能をなくして不便にするかの選択になるのではないかと思った。

 何かあればコメントしていただければ




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