自分でできる特定調停に必要な書類と手続きと流れ

タイトルː自分でできる特定調停に必要な書類と手続きと流れ
借金の返済がむずかしくてお困りの方は、債務整理を検討することがあるでしょう。債務整理とは、借金の返済を楽にして債務者の経済的再生をはかるための法的な手続きです。そして、債務整理には任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の4種類があります。

特定調停は原則的に、個人で手続きをおこなう債務整理方法です。特定調停の申し立てをすると、債権者(貸金業者やお金を貸した個人)と債務者(お金を借りた人)の間に裁判所が入り、仲裁してもらうことになります。

特定調停を申し立てる手続きは、債務者が自分でおこなわなければいけないと定められています。また、特定調停の申し立てに必要な書類の準備も、債務者が自分自身でおこなわなければなりません。とはいえ、一般の方にとっては法的な手続きや書類はむずかしく感じられるのではないでしょうか。「自分できちんと手続きができるのだろうか」などと、不安を感じる相談者様も少なくありません。

そこで、本コラムでは特定調停の手続き方法や必要書類、手続きをおこなう期間や流れについて、説明します。タイトルː自分でできる特定調停に必要な書類と手続きと流れ
借金の返済がむずかしくてお困りの方は、債務整理を検討することがあるでしょう。債務整理とは、借金の返済を楽にして債務者の経済的再生をはかるための法的な手続きです。そして、債務整理には任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の4種類があります。

特定調停は原則的に、個人で手続きをおこなう債務整理方法です。特定調停の申し立てをすると、債権者(貸金業者やお金を貸した個人)と債務者(お金を借りた人)の間に裁判所が入り、仲裁してもらうことになります。

特定調停を申し立てる手続きは、債務者が自分でおこなわなければいけないと定められています。また、特定調停の申し立てに必要な書類の準備も、債務者が自分自身でおこなわなければなりません。とはいえ、一般の方にとっては法的な手続きや書類はむずかしく感じられるのではないでしょうか。「自分できちんと手続きができるのだろうか」などと、不安を感じる相談者様も少なくありません。

そこで、本コラムでは特定調停の手続き方法や必要書類、手続きをおこなう期間や流れについて、説明します。

1) 特定調停の手続き方法と流れ


特定調停は債務整理の一種で、今後の収入から月々、返済していくことを目標とするものです。そのため、継続的に安定した収入がある方なら、法人・個人事業主・個人を問わず、幅広く利用できます。ただし、特定調停を申し立てる本人が必要な書類を用意し、数回にわたる調停期日ごとに裁判所に出廷する必要があります。

特定調停を申し立てする際に必要な書類は以下の6つです。

特定調停申立書
資産一覧表
権利関係一覧表
収入や支出がわかるもの
資格証明書(商業登記謄本)
特定債務者であることを明らかにする資料(戸籍謄本・住民票)
特別調停申立書のひな型は、居住地付近の簡易裁判所の窓口でもらえます。または、簡易裁判所のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。その他の必要書類についてはあとでくわしく述べます。

まず、特定調停の手続きを申し立てる裁判所や特定調停の流れ、所用期間について、以下で説明します。

1-1) 特定調停の申し立て先を調べる
特定調停の手続きを始める前に、特定調停を申し立てる裁判所を決める必要があります。特定調停は民事調停の一種のため、民事事件を取り扱っている簡易裁判所でおこないます。簡易裁判所は全国に438カ所ありますが、簡易裁判所ならどこでも手続きできるわけではない点に注意してください。

債権者の所在区域を受けもつ簡易裁判所を探す
特定調停を申し立てる裁判所は、債権者の所在区域を管轄する簡易裁判所を原則とすることが民事調停法第3条で定められています。

債権者の所在地がわからない場合は、インターネットで貸金業者のウェブサイトを参照すれば確認できます。または、金融庁のウェブサイトにある「登録貸金業者情報検索サービス」も利用できます。くわえて、法務局のウェブサイトで債権者の登記事項証明書を取得すれば、債権者の支社・本社の所在地の確認が可能です。

債権者の所在区域が判明したら、次に、債権者の住所を管轄する簡易裁判所を確認します。裁判所の管轄区域はこちらのサイトで確認できます。
http://www.courts.go.jp/saiban/kankatu/index.html

複数の債権者を特定調停する場合
複数の債権者について特定調停の申し立てをする場合、各債権者の所在地が異なるケースもあります。その場合は、いずれかの債権者の所在地を管轄する簡易裁判所で、まとめて特定調停の手続きをおこなうことが可能です。原則として、債権者のもっとも多いエリアを管轄する簡易裁判所を選ぶことになっています。

もしも、簡易裁判所の選び方に迷うことがあれば、個別に特定調停をおこなうか、最寄りの簡易裁判所に問い合わせてください。

任意で裁判所を選択できる場合
債権者との合意が成立した場合は、申し立てをおこなう簡易裁判所を任意で選ぶことも可能です。これを「管轄の合意」といいます。任意の簡易裁判所で特定調停の手続きを進める場合は、債権者と交渉して「管轄の合意書」を作成しなければなりません。また、債権者との合意があるなら、簡易裁判所にくわえて地方裁判所でも特定調停の手続きをおこなえる可能性もあります。

1-2) 特定調停を裁判所に申し立て
必要書類・印紙・郵便切手をそろえたら、債権者の本店か支店の地区を管轄する簡易裁判所に郵送するか、窓口に提出して申し立てをおこないます。書類を郵送する場合、書類に不備がなく申し立てが通れば、特定調停がおこなわれたことの通知が裁判所から各債権者に通知されます。

特定調停の申し立てをすると、債権者と債務者の間に裁判所が委任する調停委員が入って仲裁をおこなうため、両者が顔を合わせて話し合うことはありません。

1-3) 呼出し状が届く
特定調停の申し立てをすると、約1カ月後に裁判所から連絡があり、事情聴取の日程が伝えられます。申し立てた本人が出廷しなければなりません。

1-4) 事情聴取(第1回調停期日)
第1回調停期日は裁判所の呼出し状が届いてから約1か月後です。出廷のために自分のスケジュールを調整することは十分、可能でしょう。第1回調停期日の流れは以下の通りです。

まず、事情聴取を受けるため、指定された日時に裁判所に出廷します。出廷後、調停委員が申し立て人の生活状況や収入、今後の返済方針などについて、事情聴取をおこないます。その上で、調停委員と返済期間や毎月の返済金額について話し合うという流れです。第1回事情聴取の後も、目安として1カ月に1回、裁判所に出廷することになります。

ちなみに、第1回調停期日には債権者は出廷しません。申し立て人が調停委員と話し合った結果を債権者に伝えるのみです。

1-5) 調停案の提案(第2回調停期日)
第2回調停期日には、調停委員が債権者と債務者の間に入り、返済計画について話し合います。この時、債権者と債務者が顔を合わせて直接、話し合いをすることはありません。

借金の残額は利息制限法に基づいて再計算されます。調停員は債権者に月々の返済額について交渉をおこないます。この返済額は、債務者(申し立て人)が「月々の返済が可能」と了解した金額が提示されます。

第2回調停期日は第1回調停期日から約1カ月後です。第2回調停で債務者と債権者が合意に至らない場合は、第3回、第4回と調停が続きます


1-6) 調停成立
債権者と債務者が返済方法に納得すると、調停調書、または決定書が作成されます。債務者(申し立て人)は調停調書、または決定書をもとに借金を返済をしていくことになるのです。返済期間は、原則として3年間ですが、債権者によっては例外もあり、3年間から5年間かけて返済する場合もあります。

ここまで(特定調停の申し立てから調停成立まで)の所要期間は、一般的に3~4カ月間です。ただし、東京簡易裁判所の場合は債権者の本店が東京に多いことと人口が集中していて取り扱う事件が多いことにより、手続きに3~4カ月以上を必要とするケースもあります。

1-7) 調停が成立しない場合
17条決定を利用
特定調停で申し立て人と債権者の話し合いが合意に至らない場合、裁判所は「17条決定」を出します。17条決定とは、裁判所が債権者と債務者の言い分に基づいて、公平に解決内容を決定する制度のことです。17条決定は、特定調停で債権者と債務者の話し合いが終わる見通しが立たない場合や、債権者が出廷しない場合に出されます。

17条決定に異議を申し立てる、または異議を申し立てされた場合
17条決定の内容に納得がいかない場合、債務者(申し立て人)と債権者はそれぞれ、異議を申し立てることが可能です。異議申し立てができる期間は、裁判所から17条決定が出た日から2週間以内となっています。

17条決定に異議が出た場合は、調停不成立として特定調停が終了することになります。すると、債務整理をする別の方法として、任意整理・個人再生・自己破産の手続きを検討する必要が出てくるのです。その場合、特定調停に必要な書類の準備や出廷に要した時間や労力は、すべて無駄になってしまいます。

特定調停は法的な知識がない一般の方でも自分自身で手続きをおこなえる制度ですが、時間や労力をかけても調停不成立で終わるリスクもあるのです。それを考慮すると、特定調停の手続きを進める前に一度、弁護士や司法書士といった法的手続きの専門家に相談したほうがよいでしょう。

2) 特定調停の手続きにあたる必要書類と費用


特定調停の申し立てをおこなうにあたって、必要な書類を申し立て人が自分で用意しなければなりません。書類がそろい次第、簡易裁判所の窓口に出向いて提出するか、郵送します。郵送する場合は郵便切手(約420円)が別途、必要です。郵便切手代は裁判所によって異なるため、特定調停を申し立てる簡易裁判所に問い合わせてください。

個人が特定調停を申し立てる場合に必要な書類について、また、法人・個人事業主が特定調停を申し立てる場合に必要な書類について、下記で具体的に説明します。

2-1) 特定調停を申し立てる際に必要な書類(個人)
① 特定調停申立書
債権者が複数の場合は、相手方ごとに用意します。正本(裁判所用)・副本(債権者用)が、それぞれ2部ずつ必要です。念のため、ご自分の控えも持っておくようにしましょう。

「申し立て人」「相手方」「紛争の要点」について記入します。「申し立て人」と「相手方」は、それぞれの住所氏名、電話番号などを記入する項目です。「紛争の要点」には債務の種類・契約日・借り入れ金額・債務残高・保証人など、債務の状況を詳細に記載します。

特定調停を申し立てると裁判所から書類が送られてきます。しかし、その書類を家族に見られたくない方や特定調停していることをバレたくない方も多いでしょう。その場合は、申し立て書内に裁判者から送られてくる書類をどこに送るか記入する欄があるため、該当欄に記入することによって任意の場所に送ってもらうことができます。

特定調停申立書を提出する際、申し込み手数料が一社につき約500円必要です。郵便局で印紙を購入し、特定調停申し立て書類に添付してください。

② 資産一覧表
不動産や絵画、自動車やバイク、金品などの資産について一覧表を作成します。

③ 権利関係一覧表
特定調停を申し立てする債権者以外も、すべて記入します。

④ 収入や支出がわかるもの
給与証明書や源泉徴収票、家計簿、通帳の写し、返済がわかる領収書などが該当します。

⑤ 資格証明書(商業登記謄本)

債権者が会社などの法人の場合は、本店の所在地・名称・代表者名が記載されている現在事項証明書、または、代表事項証明書か履歴事項証明書のどちらかが必要です。これらの書類は法務局で取得できます。ただし、提出を省略できる場合もあるため、ご自分が申し立てする簡易裁判所に問い合わせてください。

⑥ 特定債務者であることを明らかにする資料
戸籍謄本・住民票が該当します。

2-2)特定調停を申し立てる際に必要な書類(法人・個人事業主)
個人事業主や法人が特定調停の申し立てをする際も、必要書類は個人で申し立てする場合と同じです。ただし、法人・個人事業主向けのひな形がある点は、個人で申し立てる場合と異なります。

また、経理状況がわかる書類があれば、申し立てする際に提出を求められます。といっても、経理書類がなかったり、作らないといけなかったりする場合に特定調停の申し立てが不可能というわけではありません。経理書類がなくても、特定調停を申し立てる手続きはできます。

事業主・法人が提出を求められる書類
貸借対照表
損益計算書
資金繰り表
債権者との取引で発行された領収書
3) 特定調停の手続き前に弁護士・認定司法書士に相談を
特定調停は自分で手続きしなければならないため、必要書類を用意するだけでも、かなりの時間と手間がかかるものです。必要書類をきちんとそろえたとしても、必ず調停が成立するわけではありません。調停不成立で終われば、かけた時間と手間がすべて無駄になってしまうのです。その場合、ほかの債務整理手続きに移るため、さらに時間がかかります。

特定調停を申し立てる前に一度、弁護士や司法書士など法的手続きの専門家に相談することをおすすめします。場合によっては、特定調停以外の債務整理方法が適しているためです。

借金返済でお悩みの方は実績豊富や弁護士や認定司法書士に相談してみてください。

特定調停は債務整理の一種で、今後の収入から月々、返済していくことを目標とするものです。そのため、継続的に安定した収入がある方なら、法人・個人事業主・個人を問わず、幅広く利用できます。ただし、特定調停を申し立てる本人が必要な書類を用意し、数回にわたる調停期日ごとに裁判所に出廷する必要があります。

特定調停を申し立てする際に必要な書類は以下の6つです。

特定調停申立書
資産一覧表
権利関係一覧表
収入や支出がわかるもの
資格証明書(商業登記謄本)
特定債務者であることを明らかにする資料(戸籍謄本・住民票)
特別調停申立書のひな型は、居住地付近の簡易裁判所の窓口でもらえます。または、簡易裁判所のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。その他の必要書類についてはあとでくわしく述べます。

まず、特定調停の手続きを申し立てる裁判所や特定調停の流れ、所用期間について、以下で説明します。

1-1) 特定調停の申し立て先を調べる
特定調停の手続きを始める前に、特定調停を申し立てる裁判所を決める必要があります。特定調停は民事調停の一種のため、民事事件を取り扱っている簡易裁判所でおこないます。簡易裁判所は全国に438カ所ありますが、簡易裁判所ならどこでも手続きできるわけではない点に注意してください。

債権者の所在区域を受けもつ簡易裁判所を探す
特定調停を申し立てる裁判所は、債権者の所在区域を管轄する簡易裁判所を原則とすることが民事調停法第3条で定められています。

債権者の所在地がわからない場合は、インターネットで貸金業者のウェブサイトを参照すれば確認できます。または、金融庁のウェブサイトにある「登録貸金業者情報検索サービス」も利用できます。くわえて、法務局のウェブサイトで債権者の登記事項証明書を取得すれば、債権者の支社・本社の所在地の確認が可能です。

債権者の所在区域が判明したら、次に、債権者の住所を管轄する簡易裁判所を確認します。裁判所の管轄区域はこちらのサイトで確認できます。
http://www.courts.go.jp/saiban/kankatu/index.html

複数の債権者を特定調停する場合
複数の債権者について特定調停の申し立てをする場合、各債権者の所在地が異なるケースもあります。その場合は、いずれかの債権者の所在地を管轄する簡易裁判所で、まとめて特定調停の手続きをおこなうことが可能です。原則として、債権者のもっとも多いエリアを管轄する簡易裁判所を選ぶことになっています。

もしも、簡易裁判所の選び方に迷うことがあれば、個別に特定調停をおこなうか、最寄りの簡易裁判所に問い合わせてください。

任意で裁判所を選択できる場合
債権者との合意が成立した場合は、申し立てをおこなう簡易裁判所を任意で選ぶことも可能です。これを「管轄の合意」といいます。任意の簡易裁判所で特定調停の手続きを進める場合は、債権者と交渉して「管轄の合意書」を作成しなければなりません。また、債権者との合意があるなら、簡易裁判所にくわえて地方裁判所でも特定調停の手続きをおこなえる可能性もあります。

1-2) 特定調停を裁判所に申し立て
必要書類・印紙・郵便切手をそろえたら、債権者の本店か支店の地区を管轄する簡易裁判所に郵送するか、窓口に提出して申し立てをおこないます。書類を郵送する場合、書類に不備がなく申し立てが通れば、特定調停がおこなわれたことの通知が裁判所から各債権者に通知されます。

特定調停の申し立てをすると、債権者と債務者の間に裁判所が委任する調停委員が入って仲裁をおこなうため、両者が顔を合わせて話し合うことはありません。

1-3) 呼出し状が届く
特定調停の申し立てをすると、約1カ月後に裁判所から連絡があり、事情聴取の日程が伝えられます。申し立てた本人が出廷しなければなりません。

1-4) 事情聴取(第1回調停期日)
第1回調停期日は裁判所の呼出し状が届いてから約1か月後です。出廷のために自分のスケジュールを調整することは十分、可能でしょう。第1回調停期日の流れは以下の通りです。

まず、事情聴取を受けるため、指定された日時に裁判所に出廷します。出廷後、調停委員が申し立て人の生活状況や収入、今後の返済方針などについて、事情聴取をおこないます。その上で、調停委員と返済期間や毎月の返済金額について話し合うという流れです。第1回事情聴取の後も、目安として1カ月に1回、裁判所に出廷することになります。

ちなみに、第1回調停期日には債権者は出廷しません。申し立て人が調停委員と話し合った結果を債権者に伝えるのみです。

1-5) 調停案の提案(第2回調停期日)
第2回調停期日には、調停委員が債権者と債務者の間に入り、返済計画について話し合います。この時、債権者と債務者が顔を合わせて直接、話し合いをすることはありません。

借金の残額は利息制限法に基づいて再計算されます。調停員は債権者に月々の返済額について交渉をおこないます。この返済額は、債務者(申し立て人)が「月々の返済が可能」と了解した金額が提示されます。

第2回調停期日は第1回調停期日から約1カ月後です。第2回調停で債務者と債権者が合意に至らない場合は、第3回、第4回と調停が続きます


1-6) 調停成立
債権者と債務者が返済方法に納得すると、調停調書、または決定書が作成されます。債務者(申し立て人)は調停調書、または決定書をもとに借金を返済をしていくことになるのです。返済期間は、原則として3年間ですが、債権者によっては例外もあり、3年間から5年間かけて返済する場合もあります。

ここまで(特定調停の申し立てから調停成立まで)の所要期間は、一般的に3~4カ月間です。ただし、東京簡易裁判所の場合は債権者の本店が東京に多いことと人口が集中していて取り扱う事件が多いことにより、手続きに3~4カ月以上を必要とするケースもあります。

1-7) 調停が成立しない場合
17条決定を利用
特定調停で申し立て人と債権者の話し合いが合意に至らない場合、裁判所は「17条決定」を出します。17条決定とは、裁判所が債権者と債務者の言い分に基づいて、公平に解決内容を決定する制度のことです。17条決定は、特定調停で債権者と債務者の話し合いが終わる見通しが立たない場合や、債権者が出廷しない場合に出されます。

17条決定に異議を申し立てる、または異議を申し立てされた場合
17条決定の内容に納得がいかない場合、債務者(申し立て人)と債権者はそれぞれ、異議を申し立てることが可能です。異議申し立てができる期間は、裁判所から17条決定が出た日から2週間以内となっています。

17条決定に異議が出た場合は、調停不成立として特定調停が終了することになります。すると、債務整理をする別の方法として、任意整理・個人再生・自己破産の手続きを検討する必要が出てくるのです。その場合、特定調停に必要な書類の準備や出廷に要した時間や労力は、すべて無駄になってしまいます。

特定調停は法的な知識がない一般の方でも自分自身で手続きをおこなえる制度ですが、時間や労力をかけても調停不成立で終わるリスクもあるのです。それを考慮すると、特定調停の手続きを進める前に一度、弁護士や司法書士といった法的手続きの専門家に相談したほうがよいでしょう。

2) 特定調停の手続きにあたる必要書類と費用
特定調停の申し立てをおこなうにあたって、必要な書類を申し立て人が自分で用意しなければなりません。書類がそろい次第、簡易裁判所の窓口に出向いて提出するか、郵送します。郵送する場合は郵便切手(約420円)が別途、必要です。郵便切手代は裁判所によって異なるため、特定調停を申し立てる簡易裁判所に問い合わせてください。

個人が特定調停を申し立てる場合に必要な書類について、また、法人・個人事業主が特定調停を申し立てる場合に必要な書類について、下記で具体的に説明します。

2-1) 特定調停を申し立てる際に必要な書類(個人)
① 特定調停申立書
債権者が複数の場合は、相手方ごとに用意します。正本(裁判所用)・副本(債権者用)が、それぞれ2部ずつ必要です。念のため、ご自分の控えも持っておくようにしましょう。

「申し立て人」「相手方」「紛争の要点」について記入します。「申し立て人」と「相手方」は、それぞれの住所氏名、電話番号などを記入する項目です。「紛争の要点」には債務の種類・契約日・借り入れ金額・債務残高・保証人など、債務の状況を詳細に記載します。

特定調停を申し立てると裁判所から書類が送られてきます。しかし、その書類を家族に見られたくない方や特定調停していることをバレたくない方も多いでしょう。その場合は、申し立て書内に裁判者から送られてくる書類をどこに送るか記入する欄があるため、該当欄に記入することによって任意の場所に送ってもらうことができます。

特定調停申立書を提出する際、申し込み手数料が一社につき約500円必要です。郵便局で印紙を購入し、特定調停申し立て書類に添付してください。

② 資産一覧表
不動産や絵画、自動車やバイク、金品などの資産について一覧表を作成します。

③ 権利関係一覧表
特定調停を申し立てする債権者以外も、すべて記入します。

④ 収入や支出がわかるもの
給与証明書や源泉徴収票、家計簿、通帳の写し、返済がわかる領収書などが該当します。

⑤ 資格証明書(商業登記謄本)

債権者が会社などの法人の場合は、本店の所在地・名称・代表者名が記載されている現在事項証明書、または、代表事項証明書か履歴事項証明書のどちらかが必要です。これらの書類は法務局で取得できます。ただし、提出を省略できる場合もあるため、ご自分が申し立てする簡易裁判所に問い合わせてください。

⑥ 特定債務者であることを明らかにする資料
戸籍謄本・住民票が該当します。

2-2)特定調停を申し立てる際に必要な書類(法人・個人事業主)
個人事業主や法人が特定調停の申し立てをする際も、必要書類は個人で申し立てする場合と同じです。ただし、法人・個人事業主向けのひな形がある点は、個人で申し立てる場合と異なります。

また、経理状況がわかる書類があれば、申し立てする際に提出を求められます。といっても、経理書類がなかったり、作らないといけなかったりする場合に特定調停の申し立てが不可能というわけではありません。経理書類がなくても、特定調停を申し立てる手続きはできます。

事業主・法人が提出を求められる書類
貸借対照表
損益計算書
資金繰り表
債権者との取引で発行された領収書


3) 特定調停の手続き前に弁護士・認定司法書士に相談を


特定調停は自分で手続きしなければならないため、必要書類を用意するだけでも、かなりの時間と手間がかかるものです。必要書類をきちんとそろえたとしても、必ず調停が成立するわけではありません。調停不成立で終われば、かけた時間と手間がすべて無駄になってしまうのです。その場合、ほかの債務整理手続きに移るため、さらに時間がかかります。

特定調停を申し立てる前に一度、弁護士や司法書士など法的手続きの専門家に相談することをおすすめします。場合によっては、特定調停以外の債務整理方法が適しているためです。

借金返済でお悩みの方は実績豊富や弁護士や認定司法書士に相談してみてください。

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