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-シナリオセンターのメリット・デメリット- シナリオセンター大阪校体験記!②【1から始める脚本家への道のり】

この記事にお立ち寄りいただきありがとうございます。カバかもんです。
駆け出しのシナリオライターです。

前回、私はシナリオセンター大阪校という学校でシナリオの勉強をしたとお伝えしました。
この記事を見てくださった方には、「シナリオを自分でも書いてみたい。興味がある」という方が少なからずいらっしゃるかと思います。
ですので私なりに、シナリオセンター大阪校で学ぶメリット・デメリットをご紹介したいと思います。
ただし、これからお話しすることは大阪校のこと、私の主観が大いに盛り込まれていることにご留意ください。

↓ 前回の記事 ↓

https://note.com/kabakamon_note/n/n169c4200e065

メリット
・出口がある
 シナリオセンターにはライターズバンクという制度があります。シナリオセンターに仕事を依頼した企業とシナリオセンター生(以後、シナセン生)を繋いでくれるサービスです。つまりデビューを支援してくれます。他のシナリオ専門校では一般的に在籍期間を過ぎれば後は自力で何とかするのが一般的ですが、シナリオセンターではデビューの足掛かりを用意してくれています。ライターズバンクを利用するかどうかは各々の自由です。


・授業料が安い
 シナリオセンターに入る前に私が検討していた専門校のシナリオコースは、週一回の授業でひと月6万円でした。シナリオセンターは現在、週一回で約9千5百円です。その差、1/6。専門校のコースの授業内容は研修科、もしくは恐らく長編講評クラスとほぼ同様(所属したことないですけど)だったので、シナリオセンターの方がバカ安です。


・しっかりと基礎を固めてくれる
 シナリオセンターでは入学から3か月間はみっちりシナリオの技法を座学で学習します。つまり、いきなりシナリオを書いて、講師やちょっとこなれた生徒が回し読みして、批判されたり微妙な空気の中で批評されるなどの恥ずかしい事故を防ぐことが出来ます。シナセンで教えてもらったテクニックは脚本家としてほぼ必須のもので、プロになってからも大いに役立ちます。


・出身ライターに著名人が多い
 前回お話しした通り、シナリオセンター出身者には朝ドラや国民的アニメを手がけ、一般的に名前が知られている人が大勢います。
 例:
 ジェームス三木、内館牧子:(大御所)
 岡田惠和:『ひよっこ』『この世界の片隅に』『南くんの恋人』
 森下佳子:『義母と娘のブルース』『JIN』『おんな城主直虎』『白夜行』
 雪室俊一:『サザエさん』『ドラゴンボール』等
 吉田玲子:『ポケットモンスター』『SHIROBAKO』『おジャ魔女どれみ』等
 石川あさみ:『名探偵コナン』『はなかっぱ』『屍鬼』等

……このぐらいにしておきます。
これだけ活躍できる人は稀でしょうが、何にせよ国民の大半が知っている作品を名刺代わりに出来るというのは、とんでもなく名誉なことですし、夢がありますよね。羨ましい……


・在籍生の年齢層が幅広い
 現役学生がシナリオライターになりたい場合は専門学校や大学への進学を選ぶでしょうが、一度社会に出るとシナリオセンターぐらいのカルチャースクール的な学校の方が丁度よく、実に多くの人、年代の方が集まってきます。あくまでも私の所属していたクラスを参考にした場合ですが年齢層の内訳は、20代と30代が合わせて四割、4,50代とそれ以外が合わせて六割ぐらいの印象です。最年少が14歳、最年長が70歳ぐらいです。年齢層が広いことはメリットだと私は考えています。「同年代の人じゃないと気後れする、なに話していいか分からない」という方もいらっしゃるかと思いますが、異なる年代の人と話して好みを知ることであなたの視野が広がるとも私は思っています。


・通信制にも切り替えられる
 シナリオセンターの教室は東京と大阪しかありません。地方在住の方の中には交通費や通学の時間がもったいないと感じる人もいることでしょう。それにコロナで危機的なこのご時世、公共交通機関を利用して都心に赴くのも気後れするかと思います。そんな人のために、通信制も用意されています。また東京校ではオンライン講座なるライブ配信サービスも始まったらしいです。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.scenario.co.jp/online_course/index.html
ちなみにシナセンのステマのつもりはございません。

デメリット
・学歴にはならない
 シナリオセンターは専門学校・専修学校とは違い、カルチャースクール的な位置づけです。履歴書に学歴として書くのは不適当です。得られる資格もありません。ですから履歴書の見栄えを良くする目的で学ぶにはコスパが悪いと思います。シナリオライターや編集職として求人に応募する場合は、自己PRに書けば多少のアピールにはなるかもしれませんが。


・幅広いジャンルを書けないと詰む
 結構な落とし穴なのですが、シナリオセンターで提出する課題は『日本人を主人公にした現代もの、もしくは時代物を書いてくること』という不文律があります。つまり、近未来や架空の世界を舞台にした話を提出した場合は注意を受けることになります。
 また講師はベテランが多いので、サブカルチャー的な作風は全く好まれません。
 つまり、ライトノベルやゲームシナリオライター志望者、もしくはそれしか書きたくないという人には不向きです。練習と割り切って映画、ドラマ向けの脚本だけを書きましょう。根っことなるノウハウは同じなので、遠回りにはなりますが実力はつきます。
 そもそも最高クラスの作家集団まで進級するには課題を30作以上書かないといけませんし、各課題には異なるテーマが設定されています。強制的に多様なジャンルを書かされることになるので、「このテーマ、このジャンルじゃないと書かない!」という方は早々に詰みます。


・強制力がない
 シナリオセンターは厳密な意味では学校ではないので成績が悪いと退学させられるということはありません。宿題や課題の提出も任意です。自由にマイペースでステップアップしていける反面、意欲が低かったりスランプに陥るとずっと停滞してしまいます。人によっては半年に一本も課題を出さない、授業を聞きに来ているだけという人もちらほら見かけます。


明確なメリット、デメリットは以上です。
ではここからは、『どちらともいえない』、『シナリオセンター特有のものではない』部分をご紹介します。

・期限の定めがない
 シナリオセンターは厳密な意味では学校ではないので、卒業というものがありません。授業料を払えばいつまでも在籍できます。つまり、「一年以内にシナリオライターになる!」と意気込んでも、特に制裁がないので達成できなくてもダラダラと続けてしまい、結果、いつまで経ってもデビュー出来なかったり、他の学校に通うよりもデビューが遅れてしまう可能性があります。


・趣味の人が半分
 授業料が安く、カルチャースクール的なシナリオセンターには「趣味で脚本を書きたい」という人が多く入ってきます。大体半分ぐらいでしょうか。「真剣にシナリオライターを目指している!」「一刻も早くなりたい!」という人とギャップが生じるかもしれません。例えば、批評の際にキツイことを言われてしまう、または言ってしまう。教室の雰囲気が緩い、またはピリピリしているなど、思わぬところで居づらさを感じてしまうかもしれません。

・割とハートブレイクする
 最初の3か月を終えると、講師からの講評とクラスメイト同士で提出した作品を批評し合うことが主になる研修科に進級します。「否定ではなくまずは肯定」と教えられますが、実際は問題点を挙げることの方が多くなります。そこで手厳しいことを言われて心折れたり、「私には合わない!」と言って辞めていく人は一定数います。


以上が私の思いつく限りのメリット・デメリットです。
結論として、『シナリオを勉強したいと思った人』がシナリオセンターに通うべきかどうか、年代別にまとめると……

小学生以下:
ちょっと早いかな

中学生、高校生:
行くべし。いざ進路を選択するときに、本当にシナリオライターを志していいかどうか、早い段階で自分を試すことができる。他の生徒との世代間ギャップはあまり気にしなくていい。むしろ大切にしてもらえる。

20歳前後:
行くべし。ダブルスクールが容易。ただしゲームシナリオライターやライトノベル作家にしかなりたくない、書けない、という人には不向き。「一年以内に絶対デビューしたい」という人は専門学校の方が向いているかも? だけどそもそも初心者のほとんどはどこで習っても一年以内にデビューは困難。

フルタイムで務める人:
行くべし。専門学校よりもハードルはずっと低い。普段仕事で忙しくても夢をつかみたくてシナセンに習いに来たという生徒はたくさんいる。仲間や同志も出来る。

フリーター、パートタイマー、主婦、無職:
行くべし。時間に融通が利く分、他の生徒と差がつけられる。ただしシナリオを仕事にしたい人に念頭に置いてほしいことは、すぐに仕事にはならないし、費用対効果は薄くリスクは高い。定職に就きたいなら他の技術や資格を勉強する方がよっぽど有効。シナリオセンター自体も、『働きながら脚本家を目指すこと』を推奨している。

リタイアした人:
行くべし。いい趣味になる。脚本家、シナリオライターに年齢制限はない。一クラスに1,2人は60歳以上の人がいる。

追記(2021/7/17):

活躍したい媒体別でも通うべきかどうかを考えてみました。

ドラマ・映画脚本家になりたい:

シナリオセンターがベストです。非常に多くの先輩方が活躍されていると聞きます。私の所属していたクラスにも、NHKとテレビ朝日の脚本コンクール受賞者の方や、実際に脚本がドラマ化された生徒さんがいらっしゃいました。でも、そういう人は10人に1人ぐらいの割合なので、「私もシナリオセンターに入ったら脚本家になれる!」と安易に思わない方がいいです。

小説家・エッセイストなどになりたい:

おすすめします。ベストの選択とは言えないかもしれませんが、授業料が安く敷居が低くしっかりとした事を教えてくれるのでちょっと遠回りでも通って損ではありません。『目に浮かぶように簡潔に書く』のが脚本の技法の基本です。私がシナリオを学ぼうとしたキッカケも、『地の文をもっと簡潔に書けるようになりたい』というものでした。小説、エッセイに特化したオプションクラスも一応あります。

ゲームシナリオライターになりたい:

アリだと思います。基本的な技法は共通していますし、遠回りでも実力はつきます。履歴書に『~コンクール受賞』とか書けるとカッコいいですよね! ですがシナセンで学ぶ以上のことを、例えば自分でゲームを作ったり、コンクールに挑んだり、ライターズバンクでゲーム関連のコンペに応募するなど、他の生徒よりも数段階上の努力を要求されることになります。また、「ゲームシナリオ以外は書きたくない!」と言うのなら、違うところで学ぶのをおススメします。ちなみにライターズバンクに来るゲームの案件は、乙女ゲーやエッチいゲーム、アイドル版権のゲームがほとんどなので、幅広いジャンルが書けることを求められます。その時にシナセンで30作も40作もジャンルの異なる課題を書いてきたことが地味に活きてきます。

ライトノベル作家になりたい:

私は『キノの旅』で育ったのでラノベを貶める気はございませんが、特定のジャンル……ファンタジー、異世界、超能力、妹や幼馴染が無条件で俺のことを好きになってハーレムできるし、追放されたかと思ったら無双しちゃったけど、俺、なんかしちゃいました? 系は絶対シナセンでウケないので、それらを描かないように、かなり遠回りするつもりで挑まないとシナリオセンターは窮屈な思いをするばかりだと思います。とりあえず、『なろう』や『カクヨム』とかに投稿したり、持ち込みする方が近道かもしれませんね。

放送作家、ユーチューバーになりたい:

あまり聞きません。ユーチューバーになりたければとにかく投稿する方がいいでしょうし、放送作家ならテレビ局が主催している塾のようなものがあったと思いますので、そちらを利用されてはいかがでしょうか。

単なる趣味に留める:

シナリオセンターで学ぶ人の半分以上がそんな感じの人なので、ぜひエンジョイなさってください。クラスに一人二人は鼻息の荒い若者や、プロアマ似非評論家がいるかと思いますが、多少ムカッとくること言われても、生暖かい目で見守ってあげてください。彼らには余裕がないんです。


……とどのつまり、案ずるより産むがやすし。興味のある人はどんな方でも初めて見るべきだと私は思います。
ですけど、夢は見過ぎないように。夢を実現させるために現実を突きつけられるぐらいの心持ちで取り掛かれるのがいいと思います。

長文失礼しました。
次回から複数回に分けて、基礎科、研修科、作家集団の学習内容をご紹介したいと思います。
本記事をご覧いただき、ありがとうございました。

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